von Willebrand病 von Willebrand disease;VWD

スポンサーリンク
なすび医学ノート

個人的なまとめノートで,医療情報を提供しているわけではありません.
診療は必ずご自身の判断に基づき,行ってください.
当ブログは一切の責任を負いません.

血中のvon Willebrand factor(VWF)の量または機能の異常による出血性疾患.

女性の先天性出血疾患としては最も多い.

病態

von Willebrand factor;VWF

VWFは,巨大且つmultimericなglycoproteinであり,生体では,血漿,血小板α顆粒,内皮細胞Weibel-Palade小体,内皮下結合組織に存在する.

VWFはその他の一般的な凝固因子と異なり,酵素蛋白ではないが,第VIII因子,血小板表面膜タンパク,結合組織等さまざまな要素への結合を通して,止血機能を発揮する.
・VWFは2203 アミノ酸からなるサブユニット内のドメイン構造をそれぞれの結合相手(リガンド)への結合部位として利用している.
・病的な場合を除いて,流血中でVWFが血小板に自然に結合して凝集させることはなく,VWFの血小板への結合は制御されている.
・VWFの結合組織への結合や高ずり応力はVWFの血小板への結合を促進させることから,VWF分子自体に対するこれらの働きかけが血小板結合を制御していると思われる.

遺伝形式

複数の亜型があるが,日常診療で遭遇するVWDは顕性遺伝であることが多い.
・両親のどちらかに出血傾向があることが多い.

後天性von Willebrand症候群 Acquired von Willebrand syndrome;AVWS

後天的にVWFが低下する疾患の総称.

心臓弁膜症が強い場合,二次性に機能的なVWFが減少し,出血傾向に結び付くことがある.

弁膜症が存在し,軽度のAPTT延長と出血傾向がある際には必ず鑑別に挙げる.

症候

出血症状

小児期から鼻出血や軽度の外傷による出血傾向

女性では月経過多.

出血時間

VWDでは出血時間の延長が特徴であり,多くは10~15 分以上の著明な延長を示し,原則,正常とされる血友病と対照的である.
・出血時間の延長は血小板機能異常症でもみられる特徴であり,VWFが凝固因子でありながら,その機能は一次止血機能であることを反映している.

凝固検査

APTTの若干の延長を認めることが多い.
・VWFは第Ⅷ因子を安定化させるキャリアとなるため,VWF低下で第Ⅷ因子が低下する.

血小板凝集能

リストセチン凝集能のみVWDでは低下する.
・リストセチン惹起血小板凝集(ristocetin-induced platelet aggregation;RIPA)は,リストセチン存在下での多血小板血漿(platelet-rich plasma:PRP)の凝集能を検討するものであり,VWDでは低下するが,感度は低い.
・VWD type 2Bや血小板型のVWDでは,低濃度のリストセチンによる血小板凝集が亢進することが特徴的.

リストセチンコファクター活性(VWF:RCo)とVWF抗原量(VWF:Ag)定量

VWFの測定法には,GPIb結合活性を測定するVWFリストセチンコファクター活性(VWF:RCo) と免疫学的方法(ELISA(enzyme-linked immunosorbent assay)法など)による抗原量(VWF:Ag)がある.

VWF:RCoは,ホルマリン等で固定したヒト血小板に対するリストセチン存在下における凝集能を吸光度計にて半定量するものである.

SDSアガロースゲル電気泳動解析によるマルチマー解析

SDS-PAGE(sodium dodecyl sulfate polyacrylamide gel electrophoresis) 法と同様のバッファーを用いるが,ゲル担体はポリアクリルアミドではなく,アガロースを用いる.
・VWFマルチマーの分子量はダイマーでも500 Kda以上であり,核酸を泳動するのに用いるアガロース担体が必要である.

第VIII因子のVWF結合能

マイクロプレートに純化ヒト第VIII因子(遺伝子組み換えrFVIII等が用いられる)を固相化し,被検血漿を添加,抗VWF抗体を用いて検出する.

タイトルとURLをコピーしました