血管機能検査 Vascular function tests

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なすび医学ノート

個人的なまとめノートで,医療情報を提供しているわけではありません.
診療は必ずご自身の判断に基づき,行ってください.
当ブログは一切の責任を負いません.

ABI:末梢動脈血管の検出に有用.異常例では心血管系リスクが高くなる.
PMV:血管の硬さを表す指標.測定時の血圧の影響を受ける.
CAVI :血管の硬さを表す指標.測定時の血圧の影響をほとんど受けない.

CAVI・ABIともに高血圧・糖尿病・脂質異常症・メタボリックシンドロームなどの生活習慣病,虚血性心疾患,慢性腎臓病,脳血管障害の患者で上昇する.

足関節上腕血圧比 Ankel Brachial Index;ABI

末梢動脈血管の検出に有用で,下肢動脈の狭窄・閉塞がわかる.

ABI=足関節最高血圧/上腕最高血圧(左右で高い方)

・健常な血管では中枢側に近い上肢血圧より末梢側にある下肢血圧が高値を示し,通常,下肢は上肢より血圧が10~20mmHg高い.
・足関節血圧は,左右それぞれの足について,後脛骨動脈(PT)血圧と足背動脈(DP)血圧を測定し,そのうち高いほうの値を採用する.
・上腕血圧は、両側の上腕血圧のうち高いほうの値を採用し,左右いずれのABIを算出する際にもそれを用いる.

・ABIはPADの有症状者においては95%の感度,健常者では100%近い特異度をもつ.

・ABIは死亡の独立した予知指標であり,ABI≦0.9の群は相対的死亡危険率が3.8倍.
REACH registryではPAD症例の50%が冠動脈疾患,45%が脳血管障害を合併していると報告されている.

・ABIによる検査は自覚症状を問診で確認した場合の約3倍の患者を発見.

・糖尿病患者,透析患者の場合は動脈石灰化があり,下肢閉塞性動脈硬化症があってもABIが正常になる場合が多い.

ABI≦0.90 低下(閉塞,血流低下→下肢閉塞性動脈硬化症)
 0.71~0.90 Mild
 0.41~0.70 Modertate
 0.00~0.40 Severe
ABI 0.91~0.99 境界域(解釈に注意が必要,潜在的閉塞→運動負荷ABIを検討)
ABI 1.0~1.30 正常
ABI>1.30 異常高値(動脈の石灰化の疑い)

適応

糖尿病
・50歳以上の糖尿病患者(正常であっても5年毎に検査を繰り返すべき).
・糖尿病以外のリスクファクターを保有している50歳未満の糖尿病患者.
リスクファクター=喫煙,高血圧,脂質異常症,糖尿病罹患期間10年以上
・PADの下肢症状がある糖尿病患者

Pulse Wave Velocity;PWV

・PWV=血管の長さ/脈波伝達時間
*脈波=心臓の収縮により,血液が大動脈に押し出された際に発生する血管への圧力変化が 末梢方向に伝達する時の波動.
→脈波伝達速度をみることで「動脈硬化の程度」がわかる.

・大動脈など径の大きい弾性動脈は末梢の筋性動脈に比べて弾性線維に富んだ中膜を有し,左室血液駆出に伴い大きく伸展拡張する特性を有する.
→この特性により動脈は,「左室の仕事量(後負荷)の軽減」「血管壁への圧負荷軽減」「定常的な臓器血液灌流維持」などに作用する.
血管障害が進展し動脈伸展性が障害(動脈スティフネス上昇)されると左室後負荷,末梢臓器微小血管障害,臓器灌流障害が生じる.

あくまでも機能的血管障害を捉える.
・まだ狭窄がほとんど進行していない,ABIが正常に近い人において有用性が高く,予後予測が重要な目的.
・高血圧患者において,PWVが上昇すると心血管系のイベントの危険率を高める.

baPWV(brachial ankle法)

「上腕動脈(右が原則)~大動脈弁口~足首動脈」の脈波伝達速度を測定.

baPWV<1400cm/s→正常
baPWV 1400~2400cm/s→High morbidity
baPWV>2400cm/s→High mortality

血圧,年齢,性差が影響.特に血圧に大きく依存し,PWV単独で判断せず,血圧と合わせて総合的に評価する.
*血管の狭窄が高度になると,脈波が伝播されにくくなり,PWVは偽低値となる(特にbaPWV法はその影響を受けやすく,ABIが0.95以下になるとPWVは低下).

・心血管系事故の予測因子であることが判明してきている.Hypertension 60:556-562,2012

Cardio Ankle Vascular Index;CAVI

・「心臓~足首までの大動脈の硬さの程度」を示す指標.
・血圧に依存しない動脈の硬さ(arterial stiffness)を簡易にかつ正確に測定できる.
・日本で開発された.

原理
脈波の伝播は弁口から大動脈・大腿動脈を伝わり,足首に到達し,一方,逆方向は前腕部に向かう.
弁口から上腕までの時間t’bはⅡ音から上腕脈波の切痕までの時間tbによって,求められている.
⇒弁口から足首までの伝達時間はtb+tbaとなり,その間の距離Lとすれば,haPWV=L/(tb+tba)となる.

CAVI<8.0 正常範囲
8.0≦CAVI<9.0 境界域
9.0≦CAVI 動脈硬化の疑いあり

・生活習慣病と呼ばれる高血圧,糖尿病,脂質異常症,メタボリックシンドローム,肥満症でいずれも上昇し,治療により低下することが知られている.J Atheroscler Thromb 13:101-107,2006

・血圧の影響がないため,降圧薬の効果をみた報告が多くある.
 Ca拮抗薬とARBの組み合わせがCAVIをより下げる報告がある.

・CAVIは冠動脈疾患の病変枝数,左冠動脈主幹部のプラーク面積と相関し,さらに安定狭心症に比し,急性冠動脈症候群で高値を呈すると報告されている.

・大動脈が硬くなると,中心大動脈の収縮期血圧の後方成分(反射波)の増加とともに左室の壁厚増加と拡張障害を来す.左室収縮能が保たれた心不全患者で,CAVI値が高いほど,左室拡張能が低下している.

・末期腎不全患者において,動脈硬化の進行により心血管系疾患罹患率と死亡率が高くなることが方向されている.
→eGFRの低下に従い,CAVIは上昇する.
・維持透析患者ではCAVIは高値を示し,原疾患が糖尿病性腎症でより高く,虚血性疾患ありで高い.

脈波形

%MAP(Mean Artery Pressure)
・波形の面積平均値を脈波の振幅で割り,%で表示したもの.
・狭窄/閉塞があると,%MAPの数値は大きくなる.正常:45%未満.

UT(Upstroke Time)
・波形が拡張期から収縮期に移行する時間を表したもの.狭窄/閉塞があると,UTは延長し数値が大きくなる.

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