尿路結石症 urinary stone,urolithiasis

スポンサーリンク
なすび医学ノート

個人的なまとめノートで,医療情報を提供しているわけではありません.
診療は必ずご自身の判断に基づき,行ってください.
当ブログは一切の責任を負いません.

尿の流れる道にできる結石の総称.
 腎臓→腎結石
 尿管→尿管結石
 膀胱→膀胱結石
 尿道→尿道結石
 腎結石+尿管結石→上部尿路結石
 膀胱結石+尿道結石→下部尿路結石

上部尿路結石は腎で発生し,尿管に下降して,尿管結石となる.
・腎結石の場合,重力の関係で下腎杯や腎盂に多い.
・尿管結石では,生理的狭窄部(腎盂尿管移行部,腸骨動脈交差部,尿管膀胱移行部)に停滞しやすい.

疫学

本邦で,人口 10万人に対する年間有病率は 92.5人,生涯罹患率は 5.4%であり,年々増加している.
20~50歳代が大半を占める.
男女比は 2~3:1,下部尿路結石では6:1 .
95%が上部尿路結石,5%が下部尿路結石.

原因

尿路結石症の60~80%は基礎疾患の明らかでない特発性結石症とよばれるもので,1~2%は遺伝性疾患,残り20~40%がそのほかの基礎疾患に関連して結石を発生してくる.
→基礎疾患の発見に努めることが重要

結石形成

・尿中に溶解する結石成分が析出し,有機物のマトリックスとともに凝集,結石となる.

結石生成を促進する因子
尿路奇形や排尿障害による尿流停滞,脱水,尿路変向術など.

結石成分

尿中にはさまざまな物質が溶解しており,結石の成因も複雑多岐にわたる.

頻度の高い順にシュウ酸カルシウム,リン酸カルシウム,リン酸マグネシウムアンモニウム,尿酸,シスチン,キサンチンなど.Ca 結石が 80%以上を占める.

シュウ酸カルシウム結石

原発性上皮小体機能亢進症
ビタミンD中毒
長期臥床
Cushing症候群
腸管性高Ca尿症(腸管からのCa吸収増加)
腎性高Ca尿症(腎尿細管での Ca 再吸収障害)
高シュウ酸尿症
低クエン酸尿症など

リン酸カルシウム結石

遠位尿細管型腎尿細管性アシドーシスなど

リン酸マグネシウムアンモニウム結石

ウレアーゼ産生菌による尿路感染.腎盂腎杯を覆いつくす珊瑚状結石になりやすい.

尿酸結石

高尿酸尿症,痛風,白血病など.

特殊な結石

シスチン尿症,キサンチン尿症など.

症候

疼痛,血尿,結石自然排出が3主徴

疝痛発作
・結石が腎盂や尿管に嵌頓して尿流を遮断すると,腎部に激しい痛みをきたす.
・鼠径部から陰嚢に放散する.
・悪心・嘔吐,冷汗などの症状を伴う.
・下部尿管結石でも腎部に疼痛を感じる.
・嵌頓しない限り疼痛はない.

膀胱刺激症状
尿管口の結石や膀胱結石.

尿流途絶,排尿困難
膀胱結石,尿道結石.

身体所見

肋骨脊柱角(costovertebral angle;CVA)叩打痛(CVA tenderness)がみられる.

尿検査

血尿:肉眼的または顕微鏡的血尿がみられる.

感染結石では膿尿,細菌尿.尿 pH も重要.

腹部エコー

上部尿路の閉塞による水腎,水尿管の程度を診断するのに有用.
無侵襲.
腎,上部尿管,膀胱近傍の結石を識別することが可能で,5mm以上の結石では,感度,特異度とも95%以上.
*全部位では,感度78%,特異度31%となり,尿管結石では同定できないことも多い.

腹部単純CT

単純CT の診断率(感度94〜100%,特異度92〜100%)は静脈性尿路造影(intravenous urography;IVU)(感度51〜66%,特異度92〜100%)と比較して高く,尿路以外の腹部所見を得ることもできる.
→単純CT で尿路結石の診断ができない場合は,急性腹症の他の原因を探索することが必要

単純CT は尿酸結石,キサンチン結石,シスチン結石などレントゲン陰性結石も同定可能.

治療

自然排石

自然排石が基本で,尿管結石のうち自然排石が十分期待できる大きさ(長径9mm以下,短径6mm以下)で水腎症が比較的軽度であれば,まず内科的に治療を行う.

対症療法(疼痛管理)

鎮痛薬,鎮痙薬を用い,水分の多量摂取,点滴静注で,1日2,000~3,000 mL以上の尿量を確保し,鎮痙薬などで,尿管を弛緩させる.

尿管結石の疼痛緩和には非ステロイド性抗炎症薬が第一選択
・第二選択薬はペンタゾシンであるが,副作用として嘔吐の発現率が高い.
・臭化ブチルスコポラミンはあくまで補助薬剤として使用すべきである.

体外衝撃波結石破砕療法 extracorporeal shock-wave lithotripsy;ESWL

衝撃波を体内の結石に集束させて破砕する.

2cm以下の結石が対象で,疝痛発作にも有効.
合併症として,破砕片の嵌頓,腎被膜下血腫があり,妊婦は禁忌.
現在では,ほとんどがESWLで治療されており,一部大きな結石などが内視鏡手術となっている.

経皮的腎結石破砕術 Percutaneous Nephrolithotripsy;PNL

経皮的に腰背部より腎尿路にいたるルートを作成し,ルートより内視鏡を挿入し腎尿管内の結石を砕石,除去する.

ESWLのみでは治療が困難で,尿管からの排泄が不良と考えられる腎結石,結石長径2cmを超える大きな結石など,比較的治療に難渋するタイプの結石に対して,単独,あるいは他の治療と併用して行う.
全身麻酔,硬膜外麻酔,あるいは局所麻酔下に行う.

経尿道的尿管切石術 transurethral ureterolithotomy;TUL

破砕不能な結石は尿管鏡手術または経皮的腎盂鏡手術で破砕,摘出する.

経尿道的に尿管内へ挿入した内視鏡下に結石を砕石する経尿道的腎尿管結石砕石術(transurethral nephrolithotripsy;TUL)と,背部から経皮的に腎内に内視鏡を挿入して砕石する経皮的腎尿管結石砕石術(percutaneous nephrolithotripsy;PNL)がある.

砕石手段は超音波やレーザーが主流.

難治性結石の場合,内視鏡手術を第一選択とすることもあるが,通常はESWL治療の際の補助療法もしくは併用療法として行う.

結石溶解療法

結石成分別の治療において結石の溶解療法は,尿酸結石とシスチン結石のみ可能である.

シスチン結石
重曹やクエン酸を用いて尿pHを7.0~7.5に維持することによって,シスチンの溶解度が上昇することより可能である.
・その際に,D-ペニシラミンやチオプロニンなどの溶解剤を併用する.

尿酸結石
重炭酸ナトリウムやクエン酸を用いて尿pHを6.5以上に維持し,アロプリノールにより尿酸の合成を抑制する.

シュウ酸カルシウム結石
サイアザイド系利尿薬は尿中カルシウムを減少させ(20~30%),結石抑制因子であるマグネシウムを増加させるが,高尿酸血症をきたす恐れがあり注意が必要である.
・マグネシウムはシュウ酸カルシウムの溶解度を高める.
・ビタミンB6はシュウ酸生成を減少させる.

予防

尿量を増加させる

1日2Lを目標に水分を補給.

・おしっこの量が多いほど尿が薄くなるため、結石をつくる物質も溶けやすくなり、おしっこと一緒に排泄されやすくなる.
・通常の1日の尿量は1.2Lほどですが,尿路結石の予防には,尿量2Lが理想的.
・食事以外で水分を2L以上とるようにする.
・お茶類でとる場合には,シュウ酸の多い玉露や紅茶は避け,番茶や麦茶、ほうじ茶といったシュウ酸の少ないものにする.
・ウーロン茶にもシュウ酸を多く含む種類のものがあるので,大量に飲むのは避けたほうが無難.

食事療法

脂肪分の多い食事を避ける

カルシウムは積極的に摂取
・脂肪酸がCaと結合して,消化管内Caを低下させる結果,シュウ酸と結合するCaが相対的に減少し,遊離シュウ酸の増加を惹起する.
→消化管におけるシュウ酸吸収を増加させ,尿中シュウ酸排泄が増加する
・カルシウムは,乳製品,大豆製品,海藻類,小魚などのほか,春菊や小松菜やなどの野菜にもたくさん含まれているので,1日600mg以上を目安にいろいろな食品からとる.

シュウ酸を多く含む食品をとりすぎない
・シュウ酸を多く含む食品には,ホウレンソウ,タケノコ,チョコレート,ココア,紅茶などがある.
・ホウレン草はゆでておひたしにすると,シュウ酸を半分程度に減らせる.
・シュウ酸の多い食品はカルシウムと一緒にとる.
→カルシウムはシュウ酸が腸から吸収されるのを妨げ,尿中へのシュウ酸排泄量増加を防ぐ働きをする.

タイトルとURLをコピーしました