尿細管間質性腎障害のバイオマーカー

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なすび医学ノート

個人的なまとめノートで,医療情報を提供しているわけではありません.
診療は必ずご自身の判断に基づき,行ってください.
当ブログは一切の責任を負いません.

 病理学的な尿細管間質の障害は腎予後を的確に表す予測因子.
 その一方で尿細管はそのセグメントにより機能が多彩であり,単独のマーカーで尿細管機能全般を的確に表すのは難しい.

β2ミクログロブリン β2 microglobulin; β2-MG

○分子量11.8kDaの低分子蛋白であり,糸球体を容易に通過し,近位尿細管で再吸収される.
→尿細管障害時には再吸収が阻害され,尿中の排泄量が増加する.
○尿中基準値は30~100mg/日.
○カドミウム水銀の慢性中毒による近位尿細管障害,ファンコーニ症候群,アミノ配糖体系抗生物質などによる急性尿細管壊死などで尿中に増加する.
○尿のpHが6.0以下の酸性尿ではβ2-MGは不安定で抗原性を失うため,保存の際にはNaOHを加え,pHを6.5以上にしてから暗所保存する.

N-acetyl-β-D-glucosaminidase; NAG

○尿細管上皮細胞のライソゾーム由来の酵素.
○これらの酵素が尿中に逸脱することにより尿細管上皮細胞の障害を推測する.
○尿中NAG活性は室温で徐々に低下し,数日で失活するため,できるだけ採取後早く早期に測定する.
○性差(男性>女性),日差(早朝>日中)が知られており,随時尿ではその判定に注意.

尿中neutrophilgelatinase-associated lipocalin;NGAL or lipocalin 2

○障害腎のヘンレ上行脚および集合管において炎症に反応して速やかに発現誘導され,腎障害における尿細管細胞増殖促進作用,腎分化誘導作用などを示すほか,鉄依存性に多彩な全身作用を有する.
○障害を受けた遠位ネフロンからの産生のほかに,尿細管間質障害や糸球体障害による近位尿細管での再吸収不全も関与する.

kidney injury molecule-1;KIM-1

○腎障害後に増殖する近位尿細管の刷子縁において発現し,酵素の働きで細胞膜から切断され尿中に排泄される蛋白で,アポトーシスを起こした細胞の貪食を促進する作用を有する.
○一般に急性腎障害における尿中KIM-1の増加はNgalの増加よりも遅れる.
○尿中KIM-1は他の 3 つの古典的なマーカーよりも正確に尿細管障害の有無を予測できることが明らかとなった.
○特に組織障害が軽微な際に尿中 KIM-1 は威力を発揮した.

liver-type fatty acid-binding protein;L-FABP

○脂肪酸を運搬する蛋白の一つで,障害を受けたヒト近位尿細管細胞で発現誘導され,有害な過酸化脂質を尿細管内腔側へ運び出すことにより腎保護効果を示す.
○尿細管周囲血流と非常に強い相関を有しており,NAG,β2MGとは異なる機序により尿細管障害を鋭敏に検出できる事が明らかになった.

尿細管間質障害のマーカーとして保険適応になっていないので注意!

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