振戦 tremor

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なすび医学ノート

個人的なまとめノートで,医療情報を提供しているわけではありません.
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一定のリズムと一定の運動パターンがあるふるえ.

分類

安静時(静止時)振戦 resting tremor

・安静時に出現する.
・手指のpill-rolling tremorなど

○疾患→Parkinson病

姿勢時振戦 postural tremor

・ある一定の姿勢を保持した状態で主に上肢に出現する.

○疾患→本態性振戦,尿毒症,甲状腺機能亢進症,CO2ナルコーシス

運動時振戦 kinetic tremor

・運動時に上肢に出現する.企図振戦を含む.

○疾患→小脳障害,Wilson病,多発性硬化症

本態性振戦 essential tremor

■概念

○ほとんど頸部や上肢の姿勢時の規則的な振戦のみが症状で,パーキンソニズムや小脳症状を伴わない疾患.
○進行性であるが,数年たって振り返ってみてようやくわかる程度のきわめてゆっくりとした進行である.
○約半数例は孤発性,約半数が家族性で,家族性の場合は常染色体優性遺伝の場合がある.

疫学

○発症年齢は10歳代から70歳代まで幅広い.
・家族性の例は若年発症が多く孤発例では高齢発症が多い.

○有病率は40歳代以上では0.41~5.6%,70歳以上では10%程度.

臨床症状

○両側性で左右差のある,周期は5~12Hzの姿勢時の振戦が特徴.
○頸部,上肢以外に声帯や下肢などにも生じる.
○筋緊張が低下していたり,手首固化徴候のような軽微な錐体外路徴候を伴っていることがあるが,ほとんど姿勢時の振戦のみといえる.
○座っているときの頸部の振戦(縦にふるえる場合と横にふるえる場合がある),上肢を前方挙上するときに生じる振戦,発声時の声のふるえ,立位を保つときの体幹のふるえ(下肢帯筋の振戦orthostatic tremor)などがある.
○上肢の振戦は書字や水の入ったコップを持つなど振戦の静止が必要な状況でより高度になる.飲酒をすると軽減する.
○精神的緊張で増悪し,アルコール,鎮静薬で軽減する.

検査所見

・表面筋電図の記録では拮抗筋が相反性律動性に収縮する場合(振戦)と拮抗筋が同期して収縮する場合(ミオクローヌス)がある.

診断・鑑別診断

○経過が非常に緩徐であることと姿勢時の振戦であること,パーキンソニズムや小脳症状がないことが重要である.
○二次的に姿勢時振戦を生じる異常(甲状腺機能亢進症,アルコール中毒,リチウムやバルプロ酸の副作用,薬物中毒など)の除外が必要である.

経過・予後

○年単位で気づく程度のきわめてゆっくりした振戦の進行をみる.振戦のみで経過するため生命予後には影響しない.

治療

○β遮断薬(アロチノロール)やプリミドンの単独ないし併用で振戦が軽減される.
○ジアゼパム,クロナゼパムも有効なことがある.
○定位脳手術(一側視床腹側中間核の破壊)で対側の振戦を消失させられる.

アルコール性振戦

○アルコールの離脱症状(俗にいう禁断症状)のひとつで,長期間の飲酒歴のある重度のアルコール依存症者が,飲酒を中断または減量した際に生じる.
○多くは大量のアルコール摂取を中止または減量してから2~4日目頃に出現し,通常3~4日で回復するが,個人差が大きく,長引くこともある.
○身体的な合併症がある場合に起こりやすいといわれている.

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