血栓性微小血管障害症 thrombotic microangiopathy:TMA

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なすび医学ノート

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臨床的に,血小板減少,微小血管症性溶血性貧血,腎臓や脳などの臓器障害の3 徴候を呈する疾患群.

血管内皮細胞は通常抗血栓物質を産生し,血小板機能や凝固線溶系を制御することで血液循環を維持しているが,血管内皮細胞が障害されると血栓形成傾向となる.
→微小血栓形成による血管内溶血や虚血による臓器障害,消耗性の血小板減少をきたすと考えられている.

TMA類似病態であるが,凝固血栓を主体とし凝固異常を伴う播種性血管内凝固(DIC)は,原則として凝固異常がないTMAとは異なった病態カテゴリー.
*凝固血栓が血小板血栓を核として形成される事はあるので,病初期はTMAで後期にDICに移行する症例も多いと考えられる.

TMA病態を示す代表的疾患として溶血性尿毒症症候群(hemolytic
uremic syndrome;HUS)と血栓性血小板減少性紫斑病(thrombotic thrombocytopenic purpura;TTP)がある.

二次性TMAは,コバラミン代謝異常症や自己免疫疾患,悪性腫瘍,薬剤性,造血幹細胞・臓器移植後が知られている.

産科領域では妊娠高血圧症候群(旧妊娠中毒症)は妊婦の約1割に見られる高頻度合併症であるが,その中で溶血,肝遊離酵素上昇,そして血小板減少を伴う最重症型はHELLP症候群(hemolysis,elevated liver-enzymes.low platelets syndrome)と呼ばれ,TMAのカテゴリーに入る.

原因

TMA を引き起こす原因により,ADAMTS13欠損TMA,感染症合併TMA,補体関連TMA,二次性TMAなどに細分化されている.

薬剤性TMA

機序として,薬物曝露により抗体が産生される免疫学的メカニズムと,用量依存性に直接内皮細胞障害を引き起こす薬物毒性がある.

免疫学的メカニズムを引き起こす薬剤としては,抗菌薬としてキニーネやST合剤,免疫抑制薬であるムロモナブCD3(発売中止)などが知られている.
・特徴としては,1回,少量のみの内服でも発症し,急激な経過をたどる.

薬物毒性を原因とするものとしては,多くの抗癌剤,抗VEGF薬(ベバシズマブ,アバスチン®),シクロスポリンやタクロリムスなどのカルシニューリン阻害薬が知られている.
・非特異的な微小血管への細胞毒性により内皮下層が露出し,血小板活性化を引き起こすため,用量依存性であることが特徴.

ゲムシタビンは免疫学的機序および毒性機序の両方の報告がある唯一の薬剤.

抗血小板薬であるチクロピジンやクロピドグレルもTMAを引き起こすことで知られているが,その多くはADAMTS13活性低下や抗ADAMTS13抗体陽性であり,二次性TTPである.

薬剤性のTMAの治療は原因薬剤の中止であり,血漿交換は原則適応にならない。ステロイドパルスや免疫抑制薬の適応もない。

病態

共通する病態は血管内皮細胞傷害.

NETs による血管内皮細胞傷害,NETsを介した免疫学的血栓による循環障害が想定されている.

・TMA 患者血清では可溶性NETs の指標であるDNA-ヒストン複合体やMPO の上昇が認められ,微小血栓を伴う腎組織にNETs が同定されている.
・TMA 患者血清では健常者血清と比較し,NETsを分解するDNase I 活性が低下しており,NETs の分解障害が病態形成にかかわっている.
・NETsは,ヒストンを介して血小板のTLR を刺激するとともに,細胞膜への直接刺激を介して血小板を活性化・凝集させ,凝固系に対してはNETs 由来DNA の第Ⅻ因子活性化作用や,NETs 由来セリンプロテアーゼを介した組織因子活性化作用を介して血栓傾向を誘導する.
・血管内皮細胞傷害などにより活性化された血小板はHMGB1 を放出してNETs を誘導する作用があり,好中球と血小板は協調して免疫学的血栓を形成する.

症候

悪性高血圧

13%に認めることが報告されている.

検査

溶血性貧血

典型的にはLDH(LDHアイソザイム1/2)の上昇,間接ビリルビン優位の上昇,ハプトグロブリン著減がみられる.
→特にLDH上昇とハプトグロブリン低下の両方がある場合,診断の特異度は高い.

鏡検で赤血球の形態を確認する.
 破砕赤血球→TMA,DIC
 球状赤血球→自己免疫溶血性貧血

クームス試験

ADAMSTS13活性

10%以下であればTTPの診断が可能.

ADAMSTS13に対する中和抗体(inhibitor)が陰性であれば先天性,陽性であれば後天性と診断する.

血清補体価

Atypical HUSは補体第二経路の異常活性化が原因であるため,C3低値,C4正常を示すことがある.
実際にC3が低下する例は半数程度であるとされる.

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