血小板減少症 thrombocytopenia

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なすび医学ノート

個人的なまとめノートで,医療情報を提供しているわけではありません.
診療は必ずご自身の判断に基づき,行ってください.
当ブログは一切の責任を負いません.

日常診療において貧血に次いで最もよく遭遇する血液異常.

血小板は核をもたない微小な細胞で,直径約2μmの碁石状の形状を有しており,末梢血中には約15~35μmの血小板が循環している.

肝疾患などでは血小板数約15万/μL未満の減少を線維化の指標としている.
血液疾患では血小板数が約10万/μL未満の減少を血小板減少とすることが多い.

血小板の産生,破壊,分布

血小板は,巨核球造血の最終産物として放出(産生)される.

巨核球は極めてユニークな細胞で,核のDNA量は倍化するが細胞質の分裂は起こらず,核が多倍体化し大型となる.

骨髄内の類洞の近傍に局在し,血管内腔にproplateletと呼ばれる突起用構造物を伸展させ,血小板を血管内に放出する.

産生された血小板は循環血液中で約7~10日間の寿命を有し,老化とともに主として脾臓・肝臓の網内系にて破壊される.
・血小板全体の約1/3は脾臓内に分布している.

症候

血小板数<10万/μLに減少しても,すぐに出血傾向が現れるわけではない.
出血傾向が明らかになるのは血小板数<5万/μLに減少した場合.

出血症状

皮膚や口腔粘膜を中心に点状出血の有無を詳細に観察する.
・点状出血は下肢にも認めることが多い.

主として皮下出血,歯肉出血,鼻出血,性器出血など皮膚粘膜出血.

血小板数<1万/μLになると,消化管出血・頭蓋内出血のリスクが高い.

EDTA(ethylenediaminetetraacetic acid)依存性偽性血小板減少症

血小板数測定には抗凝固薬としてEDTAが用いられているが,稀にEDTAの作用により血小板が凝集塊を形成する場合があり,自動血球計数器においてこの凝集塊が血小板として認識されず,見かけ上血小板減少をきたす現象.
(免疫グロブリンが,EDTA存在下で血小板同士を結合されるため)

発生頻度は0.1~0.2%.

血小板数<5万/μLでも易出血性を認めない場合や,末梢血塗抹標本において血小板凝集(+)と報告にある場合は,まず疑う.

塗抹標本における血小板凝集の有無や抗凝固薬なしの採血直後に測定し,血小板数が正常であることを確認する.

治療の必要なし!

鑑別疾患

後天性血小板減少症

血小板産生低下

・骨髄異形成症候群
・再生不良性貧血
・放射線,抗がん薬などの薬剤による骨髄抑制
・骨髄浸潤(癌,白血病など)
・巨赤芽球性貧血(ビタミンB12 or 葉酸欠乏症)
・発作性夜間血色素尿症(PNH)

血小板破壊・消費の亢進

・特発性血小板減少性紫斑病(ITP)
・二次性免疫性血小板減少症(SLE,リンパ増殖性疾患など)
・薬剤性免疫性血小板減少症(キニジン,ヘパリンなど)
・播種性血管内凝固症候群(DIC)
・血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)
・溶血性尿毒症症候群(HUS)

血小板分布異常 or 希釈

・脾機能亢進症(肝硬変,Banti症候群など)
・大量輸血

先天性血小板減少症

極めて稀.

幼少時からの発症,家族歴の聴取(家系内集積など),治療抵抗性などにより疑う.

常染色体劣性遺伝形式

・先天性無巨核球性血小板減少症(TPO受容体c-mpl遺伝子変異)
・橈骨欠損に伴う血小板減少症
・Bernard-Soulier症候群(GPⅠb-Ⅸの欠損症,巨大血小板)

常染色体優性遺伝形式

・May-Hegglin異常(MYH9異常症,巨大血小板)
・Bernard-Soulier症候群のキャリアー
・GPⅡb-Ⅲa異常症(GPⅡb-Ⅲaの活性化変異)
・Gray platelet症候群(血小板α顆粒欠損)

伴性劣性遺伝

・Wiskott-Aldrich症候群(WASPの遺伝子変異,小型血小板)

診断

血小板サイズ異常,家族歴あり

先天性血小板減少症

脾腫あり

血小板分布異常→脾機能亢進症,肝硬変など

脾腫なし→骨髄検査

異常細胞あり,形態異常あり

白血病,リンパ腫,MDSなど

巨核球数低下

再生不良性貧血,抗がん治療後など

巨核球数正常 or 増加

免疫性血小板減少症(ITP,SLE,薬剤性など)

治療

原疾患の治療

血小板輸血

予測血小板増加数(/uL)=輸血血小板総数÷循環血液量(mL)×2/3(脾のトラップ)×10^3
*血小板10単位=2×10^11個以上

ex) BW 60kg,男性の血小板数を5万/uL増加させるためには、循環血液量を約4000mL(70mL/kg)とすると3×10^11個の血小板が必要で、血小板1単位中には0.2×10^11個以上の血小板が含まれる.

血小板の生体内での半減期は約3~5日であり,血小板産生の停止した状態では通常1回10~15単位の血小板を週2~3回投与する.
*DICの場合は半減期が短縮している.

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