咽頭痛 throat pain

救急マニュアル

なすび専用のまとめノートで,医療情報を提供しているわけではありません.
ちゃんとした正書や情報提供サイトを強く推奨します.
当ブログは一切の責任を負いません.

killer sore throat

口腔深部から頸部にかけては,気道や血管などの重要な解剖学的構造物が狭いスペースに集中しており,気道閉塞・隣接部位への進展(降下性縦隔炎など)・敗血症など命に関わる病態へ急速に進行し得る.

5 killer sore throat(急性喉頭蓋炎,扁桃周囲膿瘍,咽後膿瘍,口腔底蜂窩織炎 Ludwig’s angina,化膿性血栓性内頸静脈炎 Lemierre症候群)は必ず鑑別疾患として考慮する.

その他,無頼粒球症,アナフィラキシー,穿通性頸部外傷,急性冠症候群も入る.

中でも急性喉頭蓋炎の場合には特に気道緊急と意識する!
→気管挿管,外科的気道確保の準備を早急に行う.

なすび院長
なすび院長

致死的疾患を否定するのが大切

red flag sign

激しい咽頭痛(唾も飲めない),流延,開口障害,ふくみ声,呼吸困難など
急性冠症候群を示唆するような胸痛も確認!

そのような症状を認めるようなら,すぐに評価し,耳鼻咽喉科や高次医療機関への紹介も検討する.

咽頭炎 pharyngitis

成人の咽頭炎の多くはウイルス性であり,抗菌薬は不要.

ウイルス性

特に咳・鼻汁・嗄声など咽頭以外の症状を伴う場合には,ウイルス性の可能性が高い.

細菌性

成人では細菌性咽頭炎は20%程度で,その多くがA群溶血性連鎖球菌(group A streptococcus;GAS)によるため,ペニシリン G or アモキシシリンで治療する.
→治療の目的は,症状の緩和(1~2日間罹病期間が短縮),扁桃周囲膿瘍のような化膿性合併症の予防,周囲への飛沫感染予防(投与後24時間で感染性が減少),リウマチ熱の予防.

診察のポイント

のどの赤み,扁桃,リンパ腺
*溶連菌感染はのどがかなり痛い.唾飲んで痛がらない場合は可能性低い.

Centor Score(GAS咽頭炎)

1)38℃以上の発熱の既往
2)扁桃の滲出液の存在
3)圧痛を伴うリンパ節の腫脹
4)咳がないこと

0~1点:可能性低い( 0点:2%,1点:3% )→対症療法
2~3点:不明(2点:8%,3点:19%)→迅速抗原検査
4点:可能性高い(4点:41%)→培養提出しつつ結果を待たずに抗菌薬処方

Modified Centor criteria(GAS咽頭炎)

38℃以上の発熱 :+1
咳の欠如 :+1
扁桃腫大,膿苔付着:+1
前頚部リンパ節有痛性腫大:+1
年齢3~14歳:+1
年齢15~44歳:±0
年齢45~歳:+1

-1~+1点→対症療法
2~3点→迅速抗原検査
4~5点→培養提出しつつ結果を待たずに抗菌薬治療

迅速抗原検査(Strep)(GAS咽頭炎)

10~15分程度で結果が得られる.
・感度は80-90%,特異度は95%以上.

迅速抗原検査が陰性でもCentor criteria で合計3 点以上の場合は,偽陰性の可能性(C 群・G 群溶連菌や Fusobacterium 属が原因菌である可能性)を念頭に治療を検討してもよい.

咽頭培養

golden standard(両側の扁桃あるいは扁桃化と咽頭後壁をしっかり拭ってちゃんととれば感度90%,特異度95-99%).

迅速抗原検査陰性の場合は,小児・青年期では,さらに咽頭培養を行うことがあるが,成人では不要
*培養には1~2日の時間を要するため,再診という条件つき.
*迅速検査と咽頭培養を同時に行うと保険で切られてしまうため注意

治療

ペニシリン G(バイシリン GⓇ)が第一選択であったが,現在国内で流通していない.
アモキシシリンを第1選択とする.
アモキシシリン
成人:1回500mg 1日2回 10 日間
小児:1回25mg/kg 1日2回 10 日間

*EB ウイルスによる伝染性単核球症(GAS 咽頭炎と症状・所見が似ている)の場合,高率に皮疹を起こすので,注意.

*ペニシリンアレルギーがある場合にはクリンダマイシンを使用するが,即時型反応でなければセファレキシンを検討してもよい.
クリンダマイシン
成人:1回300mg 1日3回 10日間
小児:1回 7mg/kg 1日3回 10日間
セファレキシン
成人:1回500mg 1日2回 10日間
小児:1回20mg/kg 1日2回 10日間

*日本ではマクロライド耐性溶連菌が増加しているのでクラリスロマイシンやアジスロマイシンは使わない.
*咽頭炎にレボフロキサシンや広域セファロスポリンを用いる意義はない.

難治性・再発性の場合,扁桃周囲膿瘍などの重症例を疑う場合は,感染症コンサルトを考慮する.

伝染性単核球症

若い層に多く,熱が1か月続く.

85%で扁桃が白い膜に覆われている.後頚部リンパ腺がごつごつと触れ,1/3に眼球周囲の腫脹がみられる.

半数に脾腫が認められる.

血液検査を行えば,異型リンパ球(目視)を認め,GPTよりLDHが優位な肝酵素の上昇を伴うため,診断は容易.

亜急性甲状腺炎

甲状腺の圧痛

レミエール症候群 Lemierre’s syndrome

Fusobacterium necrophorumなどのFusobacterium属菌が主に原因になって起こす症候群.
F. necrophorumによる敗血症,内頸静脈血栓性静脈炎,遠隔臓器の敗血症性塞栓によって特徴づけられる.

稀な疾患.
典型的には,若年(10~35歳)で,男性に多い.

菌性感染症,副鼻腔炎,耳下腺炎,乳様突起炎などが契機となる.

主に扁桃炎・扁桃周囲膿瘍から始まった感染が咽頭周囲組織・内頸静脈に波及し,血栓性静脈炎・菌血症・遠隔臓器の敗血症性塞栓・膿瘍形成へと至る.

典型的には,咽頭痛(特に扁桃膿瘍)の数日後に戦慄を伴う高熱が出現し,最初の症状から1~3週以内に内頸静脈血栓静脈炎の症状(疼痛・発赤・熱感・腫脹)や遠隔臓器の敗血症性塞栓・膿瘍形成の症状が起こる.
・内頸静脈血栓の確認は,エコーやCTなどの画像検査が有用.

遠隔臓器病変としては,肺病変(敗血症性塞栓・肺炎・肺化膿症・膿胸)が最も多く,他には関節炎・筋炎・骨髄炎・肝/脾膿瘍・中枢性神経病変(髄膜炎/硬膜外膿瘍)・心内膜炎などが知られている.
・CTなどの画像検査が有用.

微生物学的検査としては血液培養が最も重要.
・嫌気性菌であるため,発育に5~7日程度かかることも稀ではない.

治療としては, F. necrophorum に対して,メトロニダゾールがよく用いられる.
他には,カルバペネム系抗菌薬(メロペネム・イミペネム・シラスタチンなど),アンピシリン・スルバクタム,ピペラシリン・タゾバクタム,クリンダマイシンなどが用いられる.

少なくとも最初の2~3週間は点滴抗菌薬で治療し,その後,経口に変更して計3~6週間の治療を行われることが多い.

抗菌薬が適切であったとしても,しばしば解熱に時間(7~10日程度)を要することが知られている.

抗凝固治療を考慮してよいかもしれないシナリオ(低分子ヘパリンで開始し,ワルファリンに移行している例が多い)
1)抗菌薬治療に対して臨床的に不応
2)頭蓋内血栓
3)血栓性素因など

膿瘍や壊死組織のデブリードマンは治療に不可欠の要素.
頸部・遠隔臓器膿瘍が主な対象.

救急マニュアル
スポンサーリンク
なすび院長

勤務医に疲れ,定期非常勤と投資でなんとかしのごうというひっそり医.
好きな分野は,糖尿病・腎臓病です!(゚∀゚)

ネット上で念願のなすびクリニックを作るも,今日も改装中で,いつ再開するのやら・・・
勉強好きで,私用に細々とまとめています.

妻:りんご
長女:いちご
次女:れもん
三女:みかん
事務長:かえる

なすび院長をフォローする
なすびクリニックは今日も改装中!
タイトルとURLをコピーしました