全身性毛細血管漏出症候群 systemic capillary leak syndrome;SCLS(Clarkson病)

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なすび医学ノート

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稀な疾患であるが,倦怠感や筋肉痛などの前駆症状に続き,急激な経過でショックを来たし,血液検査で著明な血液濃縮と低アルブミン血症を認める.
合併症を起こさなければ,数日で改善するが,反復することが特徴.

疫学

1)主に中年で発症するが,小児や高齢者の報告もある.
2)性差はない.

病態

1)明確な発症機序は現在もなお明らかではないが,血管内皮の機能障害により血管透過性が亢進し,血漿や蛋白が間質に漏出するために起こると考えられている.
2)約80%の患者にM蛋白血症を認め,関連が検討されている.

症候

1)著明な低血圧,低アルブミン血症,血液濃縮を三徴候とする.
2)繰り返すことが特徴であるが,頻度や重症度はさまざまであり,死に至ることがある.

通常は3つの病期の呈し,倦怠感や筋痛,発熱などの前駆期,血圧低下を来す漏出期,心不全を生じる回復期がある.

典型的な急性SCLSの進行

診断

急性発作が年に平均3回程度であり,発症から診断まで平均で約1年かかるという報告がある.

診断は,低血圧,低アルブミン血症,血液濃縮の三徴候を認め,他の鑑別診断(敗血症・アナフィラキシー・血管性浮腫など)を除外することが行われる.
・M蛋白血症の存在は診断を支持するが,必須ではない.

治療

近年,有効な治療法の報告がなされ,早期診断・早期治療介入が予後改善につながると考えられている.

原疾患の治療(維持期),急激に進行する臨床症状(急性期)に対する対症療法に分けて考える.

急性期

敗血症に準じて行う.

原疾患に対する急性期治療は,免疫グロブリン大量静注療法(intravenous immunoglobulin;IVIg)やテオフィリンなどで報告があるが,確立された治療法はない.

維持期

IVIgの有効性がこの10年間に次々に報告されている.
→IVIgが予防的に投与された報告では,5年生存率が90%台であり,予防的治療の重要性が示唆される.

theophyllineとtubutalineの併用療法は,β刺激作用によるcAMPの増加により,血管内皮の透過性亢進を抑制するとされ,IVIgの次に有効性が期待される.

予後

SCLS急性期の死亡原因は,回復期の肺水腫や漏出期の虚血性臓器不全であることが多く,最近の考えでは,重篤な合併症を引き起こさなければ,長期的な予後は良好と考えられる.

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