スルホニル尿素薬 sulfonylurea;SU薬

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なすび医学ノート

個人的なまとめノートで,医療情報を提供しているわけではありません.
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膵β細胞膜上のSU受容体に結合し,インスリン分泌を促進し,服用後短時間で血糖降下作用を発揮.

薬理

インスリン分泌機構において,KATPチャネルはグルコースの代謝シグナルを電気的シグナルへと変換する重要な役割を担うと同時に,SU薬の作用点となる.
→SU薬はKATPチャネルを閉鎖し(血中ブドウ糖濃度に関わらず),細胞膜の脱分極を介して,電位依存性Caチャネルを活性化し,細胞内Caの増加を介して,インスリン分泌を促進する.

長時間(12~24時間)強力にインスリン分泌を促進し,主に空腹時の血糖値を低下させる.

SU受容体にはSUR1,SUR2A,SUR2Bがあり,それぞれKir6.1,Kir6.2と組み合わせて,KATPチャネルを形成している.
・SUR1は膵β細胞,脳の視床下部や大脳基質に,SUR2Aは心筋や骨格筋に,SUR2Bは血管を含む平滑筋に分布する.
・SUR1にはSU構造とベンズアミド構造が結合し,SUR2AとSUR2Bにはベンアミド構造が結合する.

SU薬やグリニドの種類により,β細胞のKATPチャネルや膵外KATPチャネルに対する作用が異なる.
・ベンズアミド骨格を併せ持つグリベンクラミドやグリメピリドは,SUR1に加えて,低親和性ながらもSUR2A,SUR2Bとも結合する.

SU薬は心筋細胞のSUR2に作用し,KATPチャネルの開口率を低下させ,虚血時の防御機構である心筋虚血プレコンディショニング作用を抑制することが懸念されている.
・特にグリベンクラミドは心筋細胞への結合親和性が高く,心筋虚血時のプレコンディショニング作用に影響する可能性が指摘されており,グリメピリドと比較し,全脂肪および心血管死亡率を上昇させる報告がある.

エビデンス

UKPDS33
SU薬はインスリン,メトホルミンとともに平均10年間のfollow upで有意に糖尿病関連エンドポイントと細小血管障害,大血管障害を抑制したエビデンスを有する.

ランダム化比較試験では実証されていない.

SU薬二次無効の原因

SU薬の作用機序に特異的な原因
・膵β細胞の疲弊,破壊
・薬剤の無効(desensitization)

2型糖尿病の悪化原因と共通
・食事療法の不徹底
・インスリン抵抗性の増大(運動不足,肥満,感染症)
・ストレス
・不適切な薬剤投与量
・コンプライアンスの低下
・経口薬の吸収不全

SPIDDM(slowly progressive IDDM)

使い方

インスリン分泌能は比較的保たれているが,食事療法・運動療法によっても十分良好な血糖コントロールが得られないインスリン非依存状態の患者に用いる.

高度の肥満などインスリン抵抗性の強い患者にはよい適応ではない.

よいコントロールに達したら、食前や食事時間が遅れたときに低血糖が出現する可能性があり注意が必要(特に高齢者)
・疑わしい場合はSU薬を中止.

症例によっては薬剤量がごく少量でも低血糖を起こすことがある.
・SU薬の低血糖は遷延しやすいので注意.

少量の量であれば(グリミクロン®20mg,アマリール®0.5mg),副作用のリスク少なく,内因性インスリンを増やせる.
*内因性インスリン分泌があることが前提

腎/肝障害がある患者や高齢者では遷延性低血糖をきたす危険があり,特に注意.

投与初期から無効である場合(一次無効),あるいは投与後でもしばらく有効でも投与中に臨床効果がなくなる場合(二次無効)は原因を検索する.
 運動不足・生活習慣や食事の乱れ・悪性腫瘍の合併など

生活習慣を是正しても代謝改善が不十分な場合は速やかに薬剤を切り替えるか,他の経口薬との併用ないしはインスリン療法に変更する.
*血糖値が高いまま漫然と使用しない.

2種類以上のSU薬の併用や速攻型インスリン分泌促進薬との併用は治療上意味がない.

服用により体重増加をきたしやすいので注意.

腎不全症例(eGFR≦30)

血糖低下時であってもインスリン分泌刺激が持続するため,インスリンクリアランスが低下している腎不全患者では,低血糖が遷延しやすい.

グリベンクラミドとグリメピリドは処方してはならない.
やむをえず使用を検討する場合は,グリクラジドを少量(10~20mg).
*基本的には使用しない.

SU薬代謝は肝臓で行われるが,代謝物は主に腎から排泄される.
・グリクラジドの代謝物に活性は存在しないとされる.
・グリベンクラミド,グリメピリドでは,活性代謝物も蓄積により血糖降下作用を有することが報告されている.

グリベンクラミドとグリメピリドは,SU受容体のA site,B siteの両方に結合するが,グリクラジドは1点のみで結合するため,親和性が弱いとされる.

グリクラジド gliclazide

グリミクロン®

空腹時血糖低下が不十分な増量症例では朝夕分割投与を検討する.

主に肝臓で代謝され,腎排泄される.
・主要な代謝産物であるカルボキシ体には血糖低下作用はなく,他の代謝産物であるヒドロキシメチル体には未変化体の約1/3の血糖低下作用があるが,血中には検出されないことより,速やかに排泄されていると推測されている.

SU受容体への親和性が強くないため低血糖が起こりにくく,高齢者のSU薬は原則これにする.

血小板凝集抑制作用,線溶能亢進作用,血管壁プロスタグランジンI2産生促進作用や,フリーラジカルスカベンジ作用を持ち合わせていることが報告されている.
・側鎖のアザビシクロオチル環の特性によるものと考えられている.

心筋のSUR2Aへの結合親和性が低く,高齢者や心血管疾患を有する糖尿病患者に比較的使用しやすい.

他のSU薬と違い,Epac2Aを活性化せず,KATPチャネルの閉鎖が主な作用.

投与することで高血糖に伴う膵β細胞のアポトーシスが抑制されるという文献が散見される.

透析による血中濃度低下は9.1%.
・2007年のKDOQIガイドラインにおいて,CKDstage3~5において用量調整必要なく使用可能とされている(本邦では,重篤な腎機能障害では禁忌になっている).

ADVANCEでは血糖改善作用に加えて,腎予後を改善しうることも期待されている.

グリメピリド glimepiride

アマリール®

glibenclamideに比べてマイルドとされるが,半減期は1.5時間だが案外強力で長い作用時間を持つ.
→0.5mg/日からの開始が無難.

骨格筋や肝での糖取り込み促進や肝糖放出抑制,また脂肪細胞における糖取り込み促進作用を介して,インスリン抵抗性を改善する作用があるとされる.
・その機序として,細胞細胞のGLUT4(glucose transporter 4)の脱リン酸化を促進,活性型の糖輸送体の増加を介して糖取り込み促進作用を有することや,ジアシルグリセロールの産生促進を介してインスリン受容体以降のシグナル増強作用が報告されている.
・PPARγの転写活性刺激作用を介してアディポネクチン遺伝子発現増加を認め,臨床的にもアディポネクチンやHDLコレステロールの上昇作用が報告されている.
・心筋のSUR2Aへの結合親和性があるが,グリベンクラミドよりも結合性は弱く,血管内皮細胞においてNO産生を誘導する報告もあり,多面的な効果を介して抗動脈硬化作用を発揮する可能性が指摘されている.

(グリベンクラミド glibenclamide)

ダオニール®,オイグルコン®

最も強力で現在もまだまだ多く使用されている持続時間の長い薬だが,心筋虚血の注意が必要でまず使用しない.

膵β細胞のアポトーシスを促進する.

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