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脳卒中は,本邦の死因の第3位を占めるのみならず,寝たきり・要介護・認知症の主要な原因疾患であり,超高齢化社会において,予防と治療が極めて重要.
危険因子
高血圧
脳出血と脳梗塞を含めた脳卒中の最大の危険因子.
血圧値と脳卒中発症率の関係は直線的な正の相関関係にあり,血圧が高いほど脳卒中の発症率は高くなる.
・脳出血では,至適血圧(SBP<120,DBP<80)に比較して正常血圧レベル(SBP 120-129,DBP 80-84)でも有意に発症率が高い.
糖尿病
確立された危険因子.
血糖コントロールで細小血管症は減少するが,厳格な血糖管理は脳卒中発症を減少させず,逆に死亡率を有意に上昇させたと報告されている(低血糖発作の発症の関与が推測されている).
脂質異常症
スタチンを用いた脂質管理は発症・再発予防に有用であることは明らか.
心房細動
最も重篤な病型である心原性脳塞栓症の危険因子.
弁膜症に伴う心房細動だけでなく,非弁膜症性心房細動(non-valvular atrial fibirillation;NVAF)を有する患者では,適切な抗凝固療法を行うことが必要.
日本人は頭蓋内出血の発症頻度が欧米人と比較して高く,ワーファリンでPT-INRを治療域にコントロールしても発症することが問題.
→DOACは頭蓋内出血の発症頻度が低い(NVAFのみが保険適応).
疫学
死亡率は昭和40年代がピークあったが,その後急激に低下.
・降圧治療の普及によって病型別で最も死亡率が高かった脳出血による死亡率が激減
・生活習慣の変化に伴い,脳梗塞による死亡率が増加.
透析患者
脳梗塞より脳出血の頻度が高いことが特徴とされてきたが,近年,新規透析導入患者の高齢化,糖尿病患者の増加,透析機器の進歩によるヘパリン使用量の減量や低分子ヘパリンの開発,遺伝子組み換えエリスロポエチン製剤投与による貧血改善(血液粘調度の上昇)などにより脳梗塞が増加している.
慢性期治療
血圧管理
降圧治療の脳卒中予防効果は明らかであり,再発予防にとって極めて重要(PROGRESS,RESPECT試験).
高血圧ガイドライン2019では,慢性期脳卒中症例の降圧目標は130/80mmH未満が推奨.
両側頸動脈高度狭窄,脳主幹動脈閉塞を有する脳梗塞症例,未評価の場合は,特に下げすぎに注意.
→140/90mmHg未満が目標.