スパイロメトリー spirometry

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なすび医学ノート

個人的なまとめノートで,医療情報を提供しているわけではありません.
診療は必ずご自身の判断に基づき,行ってください.
当ブログは一切の責任を負いません.

呼吸による空気の流れを時間軸で記録し,肺活量(vital capacity;VC)や1秒量(forced expiratory volume in one second;FEV1)を測定する検査.

手技

SVC(slow VC)手技

緩徐な換気で測定する.

VCの他,予備呼気量(expiratory reserve volume;ERV)と予備吸気量(inspiratory reserve volume;IRV)も測定できる.

FVC(forced VC)手技

努力換気で測定する.
・最大吸気位から最大呼気努力によって一気に息を呼出させる.

FEV1,FVC,FEV1/FVC,フローボリューム曲線が得られる.

注意点

比較的低リスクの検査であるが,患者にできる限りの息を吐くことを強いる.
→呼吸循環動態の不安定なケースや胸腔,腹腔,口腔内,眼,頭蓋内に陽圧をかけられないケースでは慎重を要する.

本人が努力しなければ,適切な測定値が得られない.
→十分な検査協力が得られるかが重要.

測定値

肺活量 vital capacity;VC

最大吸気位と最大呼気位の間の肺気量に相当し,最大呼気位から吸入できる最大の肺気量を吸気肺活量(inspiratory VC;IVC),最大吸気位から呼気できる最大の肺気量を呼気肺活量(expiratory VC;EVC)と呼ぶ.

IVCとEVCは同時測定し,大きい方をVCとして採用するのが一般的.

VCの予測値は,年齢と共に低下し,その他,性別や身長の影響を受ける.

努力肺気量 forced vital capacity;FVC

最大努力呼吸で測定したときのVCに相当する値.

健常者であれば,FVCは緩徐な換気で測定したVCとほぼ同じ値.
[(VC-FVC)/VC]×100<5%

COPDなどでは,力一杯の呼気努力で末梢気道が虚脱し,air trappingが起こるため,FVCが小さくなり,FVCとVCの差が大きくなることが多い.

1秒量 forced expiratory volume in one second;FEV1

FEV1は,最大努力呼気の際に呼出開始から最初の1秒間に呼出される量を指す.

呼出の際,気流の抵抗が大きくなるにつれてFEV1が低下する.

1秒率には,FEV1/VC(Tiffeneauの1秒率),FEV1/FVC(Gaenslerの1秒率)があるが,通常,FEV1/VCが用いられる.
→1秒率<70%で閉塞性換気障害と判定する.

注意点

COPDの重症度判定には,%FEV1(FEV1の実測値を予測値で割った%)を用いる.

個人の経年変化を追跡するときや手術の可否などを判断するときにも,FEV1の絶対量や%FEV1を評価する.

判定

4つの呼吸障害パターンが診断される.

正常群

%VC≧80%
FEV1/FVC≧70%

閉塞性換気障害

%VC≧80%
FEV1/FVC<70%

上気道の気流閉塞(咽頭・喉頭腫瘍など)
下気道の気流閉塞(気管支喘息増悪期やCOPDなど)

拘束性換気障害

%VC<80%
FEV1/FVC≧70%

肺の弾性低下(間質性肺炎やサルコイドーシスなど)
肺容量の減少(肺腫瘍や肺切除後など)
胸郭・胸膜の異常(側弯症や悪性胸膜中皮腫など)
呼吸筋力低下など

混合性換気障害

%VC<80%
FEV1/FVC<70%

COPDを中心に,気流閉塞が進行した状態になると残気量(residual volume;RV)が増加しVCが減少し,混合性換気障害のパターンが呈する(実際は,閉塞性換気障害の進行).

間質性肺炎のような拘束性換気障害を呈する肺疾患では,分母のFVCが低値となり,1秒率は80%台や90%台の高値を呈することが多い.

フローボリューム曲線(F-V曲線)

FVC手技の際に,気流量(flow)と肺気量(volume)の関係を描いたもの.

曲線により,病態毎のパターン認識が可能.

肺気量分画

スパイロメトリーでは,1回換気量とERV,IRVを測定できる.

1回換気量とIRVの和は最大呼気量(inspiratory capacity;IC)と呼ばれ,呼吸困難感によく相関するとされている.

RVや機能的残気量(functional residual capacity;FRC),全肺気量(total lung capasity;TLC)の測定には,ガス希釈法かbody box法が必要.

肺気量分画が異常となる疾患

COPD→肺の弾性収縮力が低下し,FRCが増加

間質性肺炎→弾性収縮力が増加し,FRCは低下

重症のCOPD,気管支喘息発作→末梢気道が虚脱してair trappingが起こり,RVが増大.

神経筋疾患による呼吸筋の筋力低下→TLCは減少,RVは増加

重度肥満→VC自体が低下.RVはほぼ変わらないが,FRCやERVが低下

肺拡散能

肺胞気から肺毛細血管内への酸素取り込み能力の指標となる.

実際には,代用として,一酸化炭素の拡散能(carbon monoxide diffusing capacity;DLCO)を測定する.
→成績は,DLCOと,その値を肺容量(alveolar volume;VA)で割ったDLCO/VAで示される.

DLCOに影響を与える因子として,①肺胞毛細管膜の障害,②ガス交換面積,③肺毛細血管血液量,④血液中のHb濃度が挙げられる.

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