SGLT2阻害薬(心不全)

医学ノート(なすび用)

SGLT2阻害薬は糖尿病に対する血糖降下薬として開発されたが,心血管病を有する2型糖尿病患者に対する心不全入院抑制作用が明らかになった.

それに引き続き,SGLT2阻害薬は心機能低下を伴う慢性心不全患者の予後改善効果が明らかになり,さらに最近収縮力の保持された慢性心不全患者の予後改善効果も示された.

最適な薬物治療が導入されているにもかかわらず症候性で,収縮能の低下した慢性心不全患者に対し,心不全悪化・心血管死のリスク低減を考慮して,ダパグリフロジン or エンパグリフロジンを投与する(ClassⅠ,エビデンスレベルA)

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糖尿病患者における心不全予防効果

①SGLT2はグルコースと同時にNa再吸収を担うことから,SGLT2阻害薬には少なくとも一時的にはNa排泄を増加させNa利尿効果を有する.
②尿へのグルコース排泄増加により浸透圧利尿作用が発揮される.

比較的軽度な利尿作用などにより体液量の減少効果と軽度の血圧低下作用を有する.

エビデンス

EMPA-REG OUTCOME

EMPA-REG OUTCOME_循環器トライアルデータベース

P:7,020名の心血管病をすでに有する2型糖尿病患者
E:empagliflozin 10mg/25mg
C:プラセボ

主要評価項目(3-point MACE=心血管死,非致死性脳卒中,非致死性心筋梗塞)
10.5% vs 12.1%とempagliflozin群が有意に発生を抑制した.

あわせて,全死亡・心血管死亡・心不全入院においてもプラセボ群に比し,有意にイベントを抑制していた.

CANVAS Program

心血管病高リスク2型糖尿病患者に対し,canagliflozinを用いた2つの大規模ランダム化二重盲検試験であるCANVASとCANVAS-Rの統合解析

CANVAS Program_循環器トライアルデータベース

P:動脈硬化性心血管病を有するもの(二次予防)の割合が64.8%と66.7%であり,全体の34%が心血管病リスクは有するが動脈硬化性心血管病を有さない(一次予防).
E:canagliflozin群 100mg/300mg
C:プラセボ

主要評価項目(3-point MACE=心血管死,非致死性脳卒中,非致死性心筋梗塞)
26.9% vs 31.5%とcanagliflozin群で有意に抑制した.

全死亡・心血管死は有意ではなかったが,数的には抑制.
心不全入院は減少.

二次予防群は,一次予防群にくらべ,主要転帰の発生率が高く,canagliflozinによるイベント減少は二次予防群で高い傾向が示された.

DECLARE-TIMI58

DECLARE-TIMI 58 | 糖尿病トライアルデータベース

P:心血管病高リスク2型糖尿病患者(有する or ハイリスク) 17,160名(一次予防59.4%,二次予防40.6%) 4.2年追跡
E:dapaglifozin
C:プラセボ

主要評価項目(3-point MACE=心血管死,非致死性脳卒中,非致死性心筋梗塞)
非劣性であったが,有意な減少を示すことができなかった.

心血管死と心不全入院からなる複合転帰は有意に減少(4.9% vs 5.8%).
一次予防群と二次予防群で同程度.

心不全治療薬としてのSGLT2阻害薬

機序については,さまざまな説が提唱されているが,まだ確定的なものはない.
・軽度の利尿・体液量減少作用
・軽度の血圧低下作用
・腎負荷軽減作用
・血中ケトン体濃度上昇作用
・エリスロポエチン増加作用
・交感神経や血管内皮eNOS活性に対する作用
など

DAPA-HF

DAPA-HF_循環器トライアルデータベース

P:NYHA分類Ⅱ度以上の有症状でLVEF≦40%の慢性心不全患者4,744名.年齢平均約66歳.
(非糖尿病合併患者は全体の58.2%)
E:dapagliflozin 10mg+標準的治療
C:プラセボ+標準的治療

主要評価項目(心血管死,心不全悪化による入院,心不全悪化のために静注による治療を必要とした緊急受診)
16.3% vs 21.1%とdapaglifrozin群が有意に減少させた.
(糖尿病の有無関係なく,同程度に減少)
・サブ解析ではいずれの年代でもリスク軽減効果があり,75歳以上の高齢者において最もリスク低減効果が認められている.

治療中断に至るような有害イベントもわずか.

EMPEROR-Reduced

EMPEROR-Reduced_循環器トライアルデータベース

P:NYHAⅡ度以上,LVEF≦40%のHFrEF患者3,730名
(LVEF≧30%の場合は,12ヵ月以内に心不全入院歴,NT-proBNPが高値)
E:empagliflozin
C:プラセボ

主要転帰(心血管死と心不全入院)
19.4% vs 24.7%とempagliflozin群で有意に減少.
(糖尿病の有無は関係なし)

eGFRの年間低下率
-0.55 vs -2.28mL/min/1.73㎡とempagliflozin群で有意に小さい.

EMPEROR-Preserved

P:NYHAⅡ度以上,LVEF>40%のHFrEF患者5,988名
E:empagliflozin
C:プラセボ

主要転帰(心血管死と心不全入院)
13.8% vs 17.1%とempagliflozin群で有意に減少(主に心不全入院抑制によるもの).
(糖尿病の有無は関係なし)

真のHFpEFにもエンパグリフロジンは有効 日経メディカル 2021/11/25

医学ノート(なすび用)
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なすび院長

勤務医に疲れ,定期非常勤と投資でなんとかしのごうというひっそり医.
好きな分野は,糖尿病・腎臓病です!(゚∀゚)

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