サルコペニア sarcopenia

スポンサーリンク
なすび医学ノート

個人的なまとめノートで,医療情報を提供しているわけではありません.
診療は必ずご自身の判断に基づき,行ってください.
当ブログは一切の責任を負いません.

図表は以下の文献より引用
日内会誌2018;107(9):1967-1701

加齢や疾患により骨格筋の筋量と筋力の進行性かつ全身性の減少に特徴付けられる症候群で,身体機能障害・QOL(quality of life)低下,死のリスクを伴うもの.

1)ギリシャ語のsarx(筋肉),penia(喪失)という語の組み合わせ.
2)高齢者のなかには,生活は自立しているものの,複数の疾患に罹患し,要介護状態となるリスクの高いフレイルな患者(精神的・身体的・社会的に脆弱な状態に置かれた患者)が増加しており,サルコペニアが主たる要因と考えられている.

疫学

1)一般高齢者における有病率は,大規模研究に限ってみると6~12%と報告されている.
2)2型糖尿病,慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease:COPD)等の疾患を合併するとサルコペニアの頻度は高くなる.
3)慢性腎臓病におけるサルコペニアの有病率は,保存期(G3~G5)で5.9~14%,透析期で12.7~33.7%とされ,プレ・サルコペニアの頻度は,病期の進行に伴って上昇することが示されている.

1)骨粗鬆症とサルコペニアは併存しやすく,両者の合併は歩行障害やバランス喪失と関連していた.
2)サルコペニアのアウトカムに関しては,転倒や骨折,フレイルとなるリスクが高く,サルコペニアを合併すると,がん患者の生存率が低下するだけではなく,手術後の死亡リスクが高くなることが明らかになった.

病態

サルコペニア発症の原因は,廃用や内分泌機能の低下,慢性疾患,炎症,インスリン抵抗性,栄養不足等,さまざまな原因が考えられる.

加齢以外に原因が明らかでない場合は「一次性サルコペニア」(加齢性),加齢以外に1つ以上の原因が明らかな場合(廃用性萎縮など活動性低下や低栄養,臓器不全や腫瘍などの疾患)は「二次性サルコペニア」とされ,「二次性」は活動に関連するもの,疾患に関連するもの,栄養に関連するものに分けられる.

加齢性

加齢とともに骨格筋量が減少し,筋力は低下する.

・ヒトの骨格筋量は30 歳代から年間1~2%ずつ減少し,20 歳代から比べ,80 歳頃までに約30%の筋肉が失われるといわれている.

慢性腎臓病

1)食事制限・尿毒症症状による食事摂取不良
2)MIA(malnutrition, Inflammation, Atherosclerosis)症候群
3)蛋白質異化亢進・同化抑制による低栄養
4)活動量減少や廃用症候群
5)運動耐容能低下で身体機能・筋力低下
6)代謝性アシドーシスやインスリン抵抗性などの代謝・内分泌異常
7)意欲低下や易疲労など精神機能の低下
8)加齢
9)併存疾患など

診断

日本,韓国,中国,台湾,香港,マレーシア,タイの7カ国(地域)の研究者からなるアジアサルコペニアワーキンググループ(Asian Working Group for Sarcopenia:AWGS)を設立され,アジア人のための診断基準が提唱された.

握力・歩行速度いずれかの低下を有し,骨格筋量の減少が認められる場合にサルコペニアと診断する.

握力

握力低下については,男性26 kg未満,女性18 kg未満と定める.

1)左右それぞれ2回ずつ測定して最大値を採用する.
2)測定機器については問わないが,JAMAR型握力計が推奨される.
3)座位で,上肢は肘関節を直角にして体幹近くに置き,検者は握力計を支持し,被検者が握力計の重さを感じないように測定することを基本とするが,立位・上肢伸展位での測定も可とする.

歩行速度

1)加速・減速を除く通常歩行速度を,4 m以上の歩行により評価することが望ましい.
→6 m以上のスペースを確保し,0 m地点から6 m地点まで歩行し,1 m地点から5 m地点までの4 m歩行に要する時間を測定する.
2)測定回数は原則1回とする.

四肢骨格筋量

1)四肢除脂肪体重または四肢筋肉量を測定し,身長(m)の2乗で割って補正する.
2)BIA法が採用されたのは,アジアではBIA法を用いた多くのエビデンスがあるということに加え,DXA法を実施できる施設が未だ少ないという理由による.

DXA法
男性7.0 kg/m2未満,女性5.4 kg/m2未満

生体インピーダンス(bioelectrical impedance analysisBIA)法
男性7.0 kg/m2未満,女性5.7 kg/m2未満

治療・予防

治療に関するエビデンスは,そのエビデンスレベルが非常に低く,今後の研究が待たれるが,体重1 kgあたり,1日1.2~1.5 gのたんぱく質摂取が推奨され,サルコペニアを有する高齢者には,レジスタンス運動を含む複合的な運動プログラムが必要である.

予防には適切な栄養摂取,特に1日に(適正体重)1 kgあたり1.0 g以上のたんぱく質摂取,運動習慣ならびに豊富な身体活動量は,サルコペニアの発症予防に有効である可能性があり,いずれも推奨される.

タイトルとURLをコピーしました