関節リウマチ 治療

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なすび医学ノート

個人的なまとめノートで,医療情報を提供しているわけではありません.
診療は必ずご自身の判断に基づき,行ってください.
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関節リウマチ  rheumatoid arthritis;RA
多発性の関節炎が増悪と改善を繰り返しながら,慢性に進行する全身性自己免疫疾患.罹患関節は左右対称性....
関節リウマチ 診断
問診 診察で直接把握できるのは,診察時の病態であり,個々の患者の関節病態を正確に把握する...

 分子標的薬の開発と豊富な臨床研究によってパラダイムシフトを迎え,予後を著明に 改善させることが可能となった.

 現在の治療目標は,臨床的寛解とそれに引き続く長期的な関節破壊阻止と身体機能維持で ,そのための早期の適切な診断と治療開始が重要であることが 広く認識されるようになった.

治療目標

1)関節リウマチの治療は,患者とリウマチ医の合意に基づいて行われるべきである.
2)関節リウマチの主要な治療ゴールは,症状のコントロール,関節破壊などの構造的変化の抑制,身体機能の正常化, 社会活動への参加を通じて,患者の長期的QOLを最大限まで改善することである
3)炎症を取り除くことが,治療ゴールを達成するために最も重要である.
4)疾患活動性の評価とそれに基づく治療の適正化による「目標達成に向けた治療(Treat to Target;T2T)」は, 関節リウマチのアウトカム改善に最も効果的である.

目標達成に向けた治療(Treat to Target;T2T)

 設定した治療目標に向かって,厳密な疾患管理をしていくアプローチ法で,RA治療において将来の関節破壊を防止するためには極めて重要なプロセスとなる.

1)関節リウマチ治療の目標は,まず臨床的寛解を達成することである.
2)臨床的寛解とは,疾患活動性による臨床症状・徴候が消失した状態と定義する.
3)寛解を明確な治療目標とすべきであるが,現時点では,進行した患者や長期罹患患者は,低疾患活動性が当面の目標となり得る.
4)治療目標が達成されるまで,薬物治療は少なくとも3ヵ月ごとに見直すべきである.
5)疾患活動性の評価は,中~高疾患活動性の患者では毎月,低疾患活動性または寛解が維持されている患者では3 ~6カ月ごとに,定期的に実施し記録しなければならない.
6)日常診療における治療方針の決定には,関節所見を含む総合的疾患活動性指標を用いて評価する必要がある.
7)治療方針の決定には,総合的疾患活動性の評価に加えて関節破壊などの構造的変化及び身体機能障害もあわせて考慮すべきである.
8)設定した治療目標は,疾病の全経過を通じて維持すべきである.
9)疾患活動性指標の選択や治療目標値の設定には,合併症,患者要因,薬剤関連リスクなどを考慮する.
10)患者は,リウマチ医の指導のもとに,「目標達成に向けた治療(T2T)」について適切に説明を受けるべきである.

治療アルゴリズム

抗リウマチ薬 disease-modifying antirheumatic drug;DMARDs

 従来のDMARDsは長期使用により効果が減弱する(エスケープ現象)ことがある.

メトトレキサート methotrexate;MTX

 臨床症状の改善,関節破壊の進行抑制,機能的改善効果が実証されている治療の中心を担う標準治療薬.

 単剤による治療はもとより,他の合成抗リウマチ薬や生物学的製剤と併用する場合も基本.
→軸に治療を固定する意味でアンカードラッグとも呼ばれる.

ジヒドロ葉酸レダクターゼの阻害により効果を発揮する.

使用方法

少量を12時間おきに2~3分割して,1週間に1回経口投与し,口内炎・胃腸障害・肝障害ならびに血球減少などに注意しながら,2~4週間後に2~4mgずつ漸増し,最大耐性用量まで増量し,臨床的効果を確認する. 
最大16mg/週まで使用可能

 妊婦・授乳婦,活動性の感染症や腎機能障害,間質性肺炎を有する患者に原則禁忌.

副作用

 口内炎,肝障害,胃腸障害,血液障害,間質性肺炎等が上げられるが,間質性肺炎以外の副作用の多くは葉酸を併用することで減る.

 骨髄抑制,肝機能障害,粘膜・消化管障害等の細胞毒性に起因する副作用が発現した場合には,本剤の拮抗剤であるホリナートカルシウム(ロイコボリンカルシウム)を投与することで対応が可能.

メトトレキサート関連リンパ増殖疾患 Methotrexate-associated lymphoproliferative disorders;MTX-LPD

原因不明の発熱やリンパ節腫脹,寝汗,体重減少などを認める疾患.

 B細胞リンパ腫ではDLBCLが多く,Hodgkinリンパ腫では混合細胞型が多い.
 薬剤中止で消失することが少なくないが,自然退縮傾向がない場合は,早期に血液内科専門医にコンサルトして化学療法を開始する.

ステロイド

 初期に活動性の高い場合,抗リウマチ薬とステロイドの併用は有用である.

 症状改善に伴い漸減,中止する.

免疫抑制薬

 一般的には効果の発現が遅いので,効果が出るまでにNSAIDsやステロイドと併用されることが多い.

生物学的リウマチ薬

1)生物から産生される抗体などのタンパク質を治療薬として用いた分子標的治療薬で,標的分子に特異性の高い抗体分子や受容体・免疫グロブリン融合蛋白からなる.
2)経口無機化合物が,代謝系の肝臓・腎臓に対して副作用を生じやすいのに対し,生物学的製剤そのものによる臓器障害は少ないとされる.
3)標的分子のみの活性を抑えることができる.
4)標的分子としては,滑膜細胞の増殖に不可欠な血管新生を促す血管内皮増殖因子(VEGF)や,その作用を増強するTNF,IL-1 とIL-6などの炎症性サイトカインの受容体,免疫応答細胞B細胞上のCD20,T細胞活性化調整を目的としたCD80/86がある.
5)強力な抗炎症作用,非常に速い効果発現,強力な関節破壊の抑制作用をもつ.
6)重篤な副作用の約半数が感染症.

■TNFを標的
インフリキシマブ,エタネルセプト,アダリムマブ,ゴリムマブ,セルトリズマブ

■IL-6 を標的
トシリズマブ

■T細胞の活性化に必要な共刺激シグナルを阻害するCTLA4と免疫グロブリンの結合タンパク
アバタセプト

JAK阻害薬

サイトカイン受容体と直接会合するJAKを標的とする経口無機化合物

それぞれ特徴的な半減期,代謝酵素ならびに代謝経路があり,肝臓や腎臓の合併症および併用薬剤などを考慮し,用量調節や薬剤選択を行う必要がある.

帯状疱疹の副作用の頻度が増加するとされる.

tofacitinib
用量:5mg×2回/day
消失半減期:3時間
排泄:肝臓20%,腎臓80%
代謝酵素:肝臓70%,CYP3A4,CYP2A19
薬物相互作用:ケトコナゾール,フルコナゾール,シクロスポリン,タクロリムス,リファンピシン,ミタゾラム

baricitinib
用量:2-4mg×1回/day
消失半減期:11時間
排泄:腎臓75%
代謝酵素:OAT3,CYP3A4
薬物相互作用:プロベネシド

peficitinib
用量:100-150mg×1回/day(40kg以下:50mg/day)
消失半減期:14-18時間
排泄:肝臓60%,腎臓40%
代謝酵素:肝臓60-80%,SULT2A1
薬物相互作用:P-gp,CYP3A,2C8を抑制

upadacitinib
用量:7.5-15mg×1回/日
消失半減期:8-14時間
排泄:肝臓 未変化体60%,腎臓 未変化体40%(代謝物は全体の34%)
代謝酵素:CYP3A4,2D6
薬物相互作用:ケトコナゾール,リトアビル,クラリスロマイシンなど

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