尿細管性アシドーシス renal tubular acidosis;RTA

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なすび医学ノート

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尿細管腔への酸排泄を障害されることによって起こる代謝性アシドーシスの病態の総称.

診断時の尿anion gap, 血清K濃度, 酸負荷時の尿pHでほぼ鑑別できる.

原因

原発性

■遺伝性
■孤発性

二次性

■先天性
・シスチン血症(細胞内にシスチンが蓄積)
・チロシン血症I型(サクシニルアセトンの毒性による)
・糖原病Ia型(von Gierke 病.グリコーゲン蓄積.本症の成人ではしばしば高尿酸血症となる)
・ガラクトース血症
・Lowe症候群
・Wilson病
・フルクトース不耐症
・Dent病
・ミトコンドリア異常症

■後天性
・多発性骨髄腫(再吸収された軽鎖による毒性)
・アミロイドーシス
・ネフローゼ症候群
・間質性腎炎
・移植腎
・悪性腫瘍

■外因
・重金属(カドミウム[イタイイタイ病は慢性カドミウム中毒による近位尿細管障害,骨軟化症から多発骨折をきたしたと考えられている],水銀,鉛,ウラン,白金)
・薬剤(シスプラチン,アミノグリコシド,6-MP,バルプロ酸,アザチオプリン,期限切れのテトラサイクリンなど)
・化学薬品(トルエン,マレイン酸,パラコートなど)。

遠位尿細管性アシドーシス(type1 RTA) distal renal tubular acidosis;dRTA

○皮質集合管での酸排泄機構に必要な1)近位尿細管でのアンモニア合成,2)皮質集合管でのプロトン分泌のいずれかに問題がある場合に発生する.
○近位尿細管性と違い、アシドーシスは進行性だが、アルカリ補充に反応性.

○慢性アシドーシスが高度になりうるため,骨融解(骨軟化症/骨減少症)・蛋白異化亢進・高Ca尿症(尿路結石/高Ca腎症)の問題が生じる.
1)代謝性アシドーシスによる骨吸収亢進と遠位尿細管でのCa再吸収低下→尿中Ca排泄増加
2)アルカリ尿によるCa/P塩の溶解度の低下
3)Caのキレート剤であるクエン酸塩の尿中排泄の低下→Caがリン酸とシュウ酸と結合

○皮質集合管でのH+分泌低下→代償性のK喪失→高度の低K血症を合併する.
⇒積極的な治療適応

診断

○慢性腎不全+Shogren症候群などの膠原病+高Ca尿症があれば強く疑う.
○正AGの代謝性アシドーシスで低K血症や骨減少症や尿路結石などが合併していても疑われる.
○アシドーシス下での不適切に高い尿pH(>5.5)や重炭酸Na投与によるHCO3-値正常化時のFEHCO3-が3%以下になることも手助けになる.

治療

○アシドーシスとともに低K血症を合併するので,クエン酸カリウム(ウラリット®)が適切.
○クエン酸カリウムは尿路結石や骨減少症の予防にもなる.
○アシドーシスの正常化には約1-2mEq/kgの投与量が標準.
○高度のアシドーシスの場合は重炭酸ナトリウムの静脈投与が考慮されるが,低K血症の治療を先行させること.

近位尿細管性アシドーシス(type2 RTA) proximal renal tubular acidosis;pRTA

○近位尿細管での重炭酸イオン回収機構の異常.
・HCO3-の再吸収閾値低下により,通常(24mEq/l)より低い血清HCO3-濃度で,近位尿細管での再吸収がとまる.
○特徴としては遠位尿細管・皮質集合管へのHCO3-のdeliveryが多い.
⇒尿細管腔内の陰性荷電のため,K分泌が増加⇒低K血症
○アミノ酸や糖などのHCO3-以外の再吸収異常も併発(Fanconi症候群)を呈することが多い.
○高Ca尿症はあっても,尿路結石や腎結石症nephrocalcinosisは少ない.

診断

○多発性骨髄腫(免疫グロブリン軽鎖による尿細管障害)やacetazolamide服用の患者では特に疑う.
○確定診断は重炭酸Na投与でHCO3-を正常化した際のpH>7.5とFEHCO3-(>15%)で行う.

治療

○acidosisは軽度で進行性がないこと,治療には大量のアルカリが必要(中途半端では尿中に漏出するだけ)のため,成人では骨減少症がなければ,治療を必要とする.
○幼小児期では成長障害などの問題があるため,アルカリ(10-15mEq/kg)とカリウム補充を中心に行う.

高K血症性尿細管性アシドーシス(type4 RTA) renal tubular acidosis

 アルドステロン欠乏ないしはその作用不全によって起こる.
 低レニンであることが多い.

 特徴としては高K血症を伴った軽度~中等度の代謝性アシドーシス(HOC3-は典型的には17mEq/L以上)で,アシドーシスは高K血症によるアンモニア産生低下も原因として重要.

 基本的には尿酸性化は保たれているため,アシドーシスの際には尿pHは正常に低下(pH<5.3)する.

 糖尿病に合併することが知られている.
 低レニン血症を来す機序として,体液量過剰に加え,糖尿病の合併症として生じる細小血管障害や自律神経障害により,傍糸球体細胞からのレニン分泌が抑制されることもその一因と考えられている.

治療

高K血症の治療は難渋することが多い.
1)糖尿病性腎症に対してRAS阻害薬が投与されていることが多いため,まずは減量を考慮する.
2)重炭酸Naによるアシドーシスの補正や陽イオン交換樹脂製剤によるK吸着療法も必要に応じて検討する.

アルドステロン作用薬であるフルドロコルチゾン fludrocortisone(フロリネフ®)が適応.
・糖尿病の病態では,MRの感受性が亢進しており,フルドロコルチゾンの投与は蛋白尿などを悪化させる可能性があり,避けることが望ましい.
・高血圧などで使いにくい場合はK制限・利尿薬が使用される.

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