腎移植:術前管理

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なすび医学ノート

個人的なまとめノートで,医療情報を提供しているわけではありません.
診療は必ずご自身の判断に基づき,行ってください.
当ブログは一切の責任を負いません.

問診

○自身のHLA抗原に対して抗体産生は生じないため,HLAに対する抗体が産生されるには輸血,妊娠(特にドナーが夫である場合),以前の移植歴による感作が必要である.
→そのために,問診では,妊娠歴,輸血歴,以前の移植歴を確認することは,移植前のHLA既存抗体の有無を推定するのに重要である.

抗ドナー抗体

リンパ球交差試験 Lymphocyte Cytotoxicity Test;LCT

・ドナーリンパ球とレシピエント血清を用いたLCT(ダイレクトクロスマッチ試験)を必ず事前に実施する必要がある.
→陽性の場合は,急性拒絶反応が移植後に出現する.
→感度は低いが,特異度が高い.

フローPRA(FPRA)

・ドナーリンパ球を必要としない.
・あらかじめ精製したタイプⅠあるいはタイプⅡのHLA抗原をコーティングしたマイクロビーズをレシピエント血清と反応させ,フローサイトメトリーの原理で反応するHLA抗体を確認する方法.
・LCTより感度は高い.

ルミネックス法(LMX)

・ドナーリンパ球を必要としない.
・シングルの精製HLA抗原が大量にコーティングされたマイクロビーズとレシピエント血清を反応させる.
・極めて感度が高い.鋭敏である分,特異度が低い.

HLAタイピング

○ドナーとレシピエントのHLA型を確認する.
○遺伝子解析による方法,ELISA法による方法がある.
○遺伝子解析によるHLAタイピングのほうが判別精度が高い.

注意事項

輸血は控える

 行うと,panel reactive antibody(PRA)といわれる抗HLA抗体を産生する確率が上昇する.
→PRAのtiterが高いと移植後の拒絶のリスクが上昇する。
→安易な輸血は慎むべき.

ワクチン接種

○移植後は免疫抑制剤を投与するため,生ワクチンの投与が禁忌になる.
→移植前に生ワクチンを接種しておくことは非常に重要

〇生ワクチンに限らず,移植後はワクチン接種後の抗体獲得率が下がるため,できる限りのワクチンを投与しておくことが推奨されている.

○移植をしても移植腎の機能廃絶のリスクは常にあり,血液透析をしないといけない可能性があるので,すべてのCKD患者(悪性疾患などで,腎代替療法に至るまでの生命予後が期待できない患者を除く)で,保存期にB型肝炎ワクチンを接種することが推奨されている。

C型肝炎

○C型肝炎に対するインターフェロン治療も移植後には禁忌になるため,慢性C型肝炎の患者は移植前に治療を行っておくことが推奨されている.

○慢性C型肝炎患者では肝生検で線維化がみられれば,腎単独の移植はできない(肝腎同時移植の適応)が,線維化がなく,治療によって血中ウイルスが消失していれば,腎移植の適応である。

HIV感染

○抗ウイルス薬治療を行い安定した抗ウイルス薬レジメンで,一定期間血中ウイルスが測定感度以下にコントロールされ,感染症がなければ,腎移植の適応になる.

○HIVに対する抗ウイルス薬と腎移植に用いる免疫抑制剤は相互作用があるため,十分な注意と専門的な知識が必要である。

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