腎移植:適応

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なすび医学ノート

個人的なまとめノートで,医療情報を提供しているわけではありません.
診療は必ずご自身の判断に基づき,行ってください.
当ブログは一切の責任を負いません.

腎移植希望者(レシピエント)適応基準

日本移植学会生体腎移植ガイドライン

末期腎不全患者であること
・透析を続けなければ生命維持が困難であるか,または近い将来に透析に導入する必要に迫られている保存期慢性腎不全である.
・成人ではeGFR 15mL/min/1.73m2未満,小児・腎移植後ではeGFR 20mL/min/1.73m2であれば,先行的献腎移植の登録が可能.
・生体腎移植の先行的腎移植では,eGFR 10mL/min/1.73m2前後が移植時期の目安とされる.

全身感染症がないこと
・HIV感染は抗ウイルス薬治療を行い,一定期間血中ウイルスが測定感度以下にコントロールされ,感染症がなければ,腎移植の適応になる.

活動性肝炎がないこと
・HBs抗原が陽性の場合は,移植後に悪化する恐れがあり移植は禁忌である.
・C型肝炎の患者は移植前に治療を行っておき,血中ウイルスを消失したことを確認する.

悪性腫瘍がないこと
・腎移植に伴う伴う免疫抑制療法は,悪性腫瘍への抵抗性を減弱すると考えられており,レシピエントが悪性腫瘍治療後の場合には,腫瘍の種類によって異なるものの2年間の待期期間が推奨されている.

年齢

年齢に関しては,概ね60代までは移植可能である(75歳くらいが最高).
・高齢かつ長期透析患者が生体腎移植を受ける際は,移植手術が禁忌となるような全身合併症がないことを確認する必要がある.
・老健施設や介護施設では,免疫抑制剤内服を断っているところが多いので注意が必要.

心臓

心機能が低下している症例では,移植手術自体が危険であり回避すべきである.心機能の改善後に移植手術を行うことが望ましい.
・EF 30~40%の症例は数多くみられるが,急性尿細管壊死のリスクがある.
・術前に耐運動能の評価を行い,慎重に検討する.

PCI後,抗血小板薬を2剤飲んでいる場合は適応から外れる.

肝臓

肝硬変の場合,周術期に血圧が低下し,肝不全を起こす可能性がある.死亡率は5%.
・脱水を招き,急性尿細管壊死を発症し,graft lossに至るケースもある.
・血小板減少や静脈瘤にも注意が必要.

精神疾患

・内服アドヒアランスが良好であるかが重要(内服管理ができる施設に入所しているか)
・ADLが低下していないか?施設の協力が得られるか?

腎臓提供者(ドナー)適応基準

腎移植ドナーの適応基準あるいは不適格基準としては,日本移植学会のガイドラインと,世界的に利用されているアムステルダム・フォーラム基準がある.
・一応一つの目安であり,判断が難しいドナーの場合は,倫理委員会を各施設が開催して適応を決定することもある.

改正臓器移植法では,本人の意思が不明な場合に,家族の承諾で臓器が提供できることになった.
これにより,15歳未満の小児の脳死での臓器提供も可能となっている.

腎提供後の長期予後においては,
1)生体腎ドナーは健康な非ドナーと比較して生命予後が悪い
2)腎提供後,加齢に伴う血圧上昇は加速する可能性がある
3)腎提供後,有意に高尿酸血症や痛風のリスクが上昇する
4)腎提供後,妊娠高血圧症の頻度が上昇する
などの報告があるため,説明する必要がある.
(QOLは高い傾向にあるというプラスの報告はある)

日本移植学会生体腎移植ガイドライン

1.以下の疾患または状態を伴わないこととする
 a .全身性の活動性感染症
 b .HIV 抗体陽性
 c .クロイツフェルト・ヤコブ病
 d .悪性腫瘍(原発性脳腫瘍及び治癒したと考えられるものを除く)

2.以下の疾患または状態が存在する場合は,慎重に適応を決定する
 a .器質的腎疾患の存在(疾患の治療上の必要から摘出されたものは移植の対象から除く)
 b .70 歳以上

3.腎機能が良好であること
GFR≧80mL/min/1.73m2(イヌリンクリアランス or アイソトープ法,クレアチニンクリアランスで代用可)
*日本人のためのeGFR式は,eGFR高値でのばらつきが大きいため使用しない.

アムステルダムフォーラムの生体腎ドナーガイドライン

よく知られる数値基準に先立ち,完璧な医学的・心理的評価を行うことと十分な説明に基づいた同意が前提であること,自分自身の意思に基づく提供であることが強調されている.

特にドナーの安全に必要な検査項目は必ず行うこととされている.

1.年齢は65歳以下

2.血圧は140/90 mmHg未満(日常生活時の血圧測定値)

3.BMIは35 kg/m2 以下

4.GFRが80 mL/min/1.73 m2 以上,あるいは正常の-2SD 以上ある.
・GFR での評価を行うべき.
・クレアチニンクリアランスは信頼性に乏しい.
・eGFR(MDRD 式やCockcroft-Gault 式)はGFR の標準評価ではない

5.蛋白尿は24時間蓄尿で300 mg/day 以下
・アルブミン尿の評価が望ましいが基準値は確立していない

6.糖尿病(耐糖能障害)がないこと
・早朝空腹時血糖値で126 mg/dL 未満(2 回以上126 mg/dL 以上は不可)
・OGTT検査の2時間値200 mg/dL 以上は不可

マージナルドナー

摘出腎の条件が必ずしも良好でなく境界領域であるが,移植可能なドナー.

献腎移植においては心臓停止下摘出腎が,生体腎移植においては高齢者の他に,高血圧,肥満,軽度の糖尿病を合併したドナーが挙げられる.

マージナルドナー基準
1)70 歳代の高齢者(80歳以下)であること.身体年齢も考慮する.
2)高血圧を有するが降圧剤の内服にて血圧が 130/80 mmHg 以下にコントロールされており,かつ尿中アルブミン値が正常範囲内であること.さらに高血圧によって心筋肥大や眼底変化,重篤な動脈硬化の合併がないこと.
3)肥満があっても体格指数(body mass index:BMI)が 32 kg/m2 以下であること.高値の際は25kg/m2以下への減量に努める.
4)イヌリンクリアランスまたはアイソトープ法,クレアチニンクリアランスによる糸球体濾過量(glomerular filtration rate:GFR)が 70 mL/min/1.73m2 以上であること.
5)糖尿病を有する場合は経口糖尿病治療薬にてHbA1c 値が 6.5% 以下でありアルブミン尿(UACR 30mg/gCr未満)がないこと.ただしインスリン治療中の場合はドナーとして不適格となる.
6)臨床的に確認できない腎疾患(検尿異常のないIgA腎症など)は器質的腎疾患に含めいない.

この基準を逸脱する生体腎移植ドナー候補者から強い腎提供希望があったとしても,腎提供後にドナーに不利益な腎障害などの出現する可能性が極めて高いことを十分に説明し,腎移植が行われないように努力する必要がある.

血液型不適合

ABO血液型不適合移植からの移行患者は全移植患者の15%程度を占める.

A→O,B→O,AB→O,AB→A,AB→B,A→B,B→A
 現在ではレシピエントの循環血液中に存在するドナーのABO血液型に対する抗体の力価が高い場合に,それを除去する血漿交換(DFPP)と,その抗体の産生を抑制する処置(脾臓摘出・リツキシマブ投与)を行うことで多くが超急性拒絶反応を起こさず,移植できるようになってきている.

血液型不一致移植

O→B,O→A,O→AB,A→AB,B→AB
血液型は一致していないが,輸血の法則として輸血が可能な血液型間で移植するもの.

HLA遺伝子が完全に不一致(ミスマッチ)

・移植の成績(移植腎の生着率)の低下は少なく,これも腎移植の禁忌とはならない.

ドナーがCMV IgG抗体陽性,レシピエントが陰性

移植後のCMV感染症の発症率は100%に近く,CMV抗原のチェックなどによる十分な感染のモニタリングが必要であるが,発症しても早期に発見すれば抗ウイルス薬でほとんどが治癒可能であり,移植の禁忌ではない.

禁忌

リンパ球クロスマッチ陽性

・超急性拒絶反応のリスクが高く,(術前の血漿交換やリツキシマブ投与などで陰性化するなどの方策も検討されているが)移植の禁忌である.

糖尿病性腎症の血縁の家族が糖尿病の場合

・腎症発症のリスクが高く,治療の有無によらず腎提供は望ましいとは言えない.

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