腎生検 renal biopsy

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なすび医学ノート

個人的なまとめノートで,医療情報を提供しているわけではありません.
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当ブログは一切の責任を負いません.

腎臓病患者の有する腎障害の成り立ちおよび病態を把握し,今後の治療方針に活かすためのゴールドスタンダードの検査であるが,血管の豊富な腎臓から組織を採取するため,常に出血の危険がある.

適応

血尿単独△

慎重な意見が多いが,糸球体性血尿であれば,定期的に観察し,蛋白尿の合併を伴った場合は1つの診断ツールになりうる.

蛋白尿単独

1日尿蛋白量≧1g/day or UPCR≧1g/gCrを呈する場合は有用

1)1日尿蛋白量 0.5~1g/dayの場合は,良性蛋白尿(一過性蛋白尿や起立性蛋白尿)の除外を行った上で検討する.
2)遺伝性腎炎や異常蛋白(M蛋白や尿細管性蛋白)を伴う場合.

蛋白尿+血尿

1日尿蛋白量≧0.5g/day or UPCR≧0.5g/gCrで施行されている.

急性腎障害 AKI

腎性が想定される場合に,腎生検を検討する.

数週間から数ヶ月で腎不全が進行する場合にRPGNと考え,GBM抗体値(抗GBM抗体腎炎),ANCA値(ANCA関連腎炎)を参考にして,想定される場合には腎生検を検討する.

全身性疾患+検尿異常

特に全身性エリテマトーデス,血管炎症候群,dysproteinemia(軽鎖沈着症・アミロイドーシスなどの免疫グロブリン異常症)など.

検尿異常がない場合
・全身性疾患におけるsilent lupus nephritisや血管炎症候群などの確定診断の補助手段の1つとされている.
・尿細管間質性疾患が疑われる場合には腎生検が検討される.

糖尿病患者
典型的な糖尿病性腎症を呈した場合では,腎病理所見を詳細に検討することで,腎予後や生命予後などに関する有益な情報が得られる.
1)糖尿病に特有な糸球体病変を呈する糖尿病性腎症
2)糖尿病に特有な糸球体病変は乏しいが,細動脈病変が見られる場合
3)糖尿病性腎症以外の糸球体病変
4)1or2+3

ハイリスク症例

萎縮腎,末期腎不全
・全節性硬化糸球体の割合が高くなり,硬化を免れた糸球体数が少なく有用な組織学的情報が得られにくい.
・腎臓のサイズが小さいことや腎機能低下は出血性合併症のリスクのリスク因子.

両側に多発する腎嚢胞

補正できない出血傾向,抗血小板薬・抗凝固薬内服中,重篤な血小板減少
・行う場合には,緊急時の対応が可能な施設で施行する.

降圧薬でコントロールできない重症高血圧
・血圧が160/100mmHg未満,できれば140/90mmHg未満に管理

水腎症

腎動脈瘤などや馬蹄腎などの腎臓の解剖的な形態異常

片腎
・腎癌などで片腎を摘除された場合だけなく,対側腎が委縮/低形成の機能的片腎も含む.

妊娠中の腎生検
・極力避け,出産後に腎生検をすることが望ましい.

尿路感染症・腎盂腎炎・腎周囲膿瘍
・感染症が治癒した段階で腎生検を検討する.

腎生検の同意が得られない場合

検査の協力が得られない場合や検査中指示に従えない場合
・背臥位で安静で保てない,息止めができにくい,緊張で血圧が下がるなどでできない場合.

上記に該当し,高度の蛋白尿を有する症例や急速進行性の腎障害を呈した場合に,成人ではエコー下腎生検が難しいと判断された場合には開放腎生検や鏡視下腎生検を検討する.

1)必要な検体を確実に充分量に採取でき,目視で止血を確認できる.
2)全身麻酔が必要であり,入院期間が比較的長く,傷が大きくなる.
3)皮質表面の検体が多くなり,皮質深部の情報が少ない?

生検前のチェック項目

血小板機能

血小板数,APTTの測定を評価し,出血の既往や家族歴があれば,血小板凝集能,粘着能の検査が試行する.
→血小板数・APTTのみでは,慢性に経過する線溶亢進型DIC,大動脈瘤などを見逃すリスクがあるので,可能なら術前検査セットは,血小板数,PT,APTT,fibrinogen,FDP or D-dimerが望ましい.

生検の実際

生検後の安静法

1)用手圧迫時間は10~15分が目安とされている.
2)生検後に砂嚢を使用している施設は61.5%.
3)腎生検後の超音波検査は多くの施設で試行されている.
4)仰臥位安静時間は4~8時間,ベッド上安静時間は16~24時間が目安.
5)翌日に採血を実施する.
6)腎生検後の抗凝固薬や抗血小板薬の再開時期については生検後1~2日後,あるいは止血が確認された時が目安.
7)腎生検での入院期間は3泊4日~5泊6日.
8)腎生検後の運動制限を解除するのは症例に応じて7~30日.

合併症

出血合併症

腎臓は血管が豊富であるため,腎生検後に見られる出血合併症が重要.

1)腎動脈塞栓術が必要とされたのは0.2%.
2)動静脈瘻,仮性動脈瘤,腎被膜下出血などがある.
3)通常は安静などの保存的管理のみで止血するが,貧血が進行し腰痛が増悪した場合,出血量が多く,膀胱タンポナーデを起こす場合には持続灌流を行い,腎動脈塞栓術を検討する.

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