腎性貧血 治療

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なすび医学ノート

個人的なまとめノートで,医療情報を提供しているわけではありません.
診療は必ずご自身の判断に基づき,行ってください.
当ブログは一切の責任を負いません.

治療目標

なぜ,慢性腎不全患者ではHb≧11g/dlをkeepしないといけないのか?
・cardio-renal-anemia症候群による心血管合併症(心不全・冠動脈疾患)のリスクを軽減させるため
・腎保護効果(GFR低下の抑制)
・QOL/運動耐用能の改善効果
→これらはHb 10~11g/dl以下で顕在化する.

赤血球造血刺激因子製剤 erythropoiesis stimulating agents;ESA

○ESAは主に赤血球系前駆細胞(BFU-E,CFU-E)に作用し,CFU-Eから赤芽球,網状赤血球を経て成熟した赤血球に分化増殖するには約1週間,BFU-Eでは約2週間要する.
○ESAを投与/増量した場合,投与1~2週間後よりHb濃度が上昇しはじめ,安定するまで最短で4週間以上を要する.
⇒ESAの効果判定は1ヶ月以上効果ない場合が目安

臓器保護

○動物実験では,ESAによる血管内皮前駆細胞(EPC)誘導作用および血管新生促進作用が報告されている.Blood 2004;103:921-926
○腎不全患者でもESAはEPC誘導作用を示し,EPCは正常機能を有する.Kidney Int 2003;64:1648-1652

目標 Hb値および投与開始基準

血液透析患者

1)ESA療法の目標 Hb値は,週初め(前透析中 2日後)の HD前の仰臥位採血による値で Hb値 10~12 g/dL を推奨する.
*Hb値 12 g/dLを超える場合を減量・休薬基準とする.
2)ESAの投与開始基準は,腎性貧血と診断され,複数回の検査で Hb値 10 g/dL未満となった時点とする.
*Hb値 12 g/dLを超える場合を 減量・休薬基準とする.

保存期慢性腎不全患者および腹膜透析患者

1)腹膜透析患者および保存期慢性腎不全患者に対する ESA療法の目標 Hb値は,11 g/dL以上を推奨する.
*Hb値 13 g/dLを超える場合は減量・休薬を考慮する.
2)ESAの投与開始基準は,腎性貧血と診断され,複数回の検査で Hb値 11 g/dL未満となった時点とする.
*重篤な心・血管系疾患の既往や合併のある患者,あるいは医学的に必要のある患者には Hb値 12 g/dLを 超える場合に減量・休薬を考慮する.

副作用

○主な副作用は高血圧(11.1%),血圧上昇(6.0%),動静脈瘻部位合併症(3.7%),動静脈瘻閉塞(2.5%),頭痛2.3%,倦怠感2.0%

高血圧

・原因としては血管収縮,ノルアドレナリン感受性亢進,NO産生抑制,心拍出量増加,blood viscosity(血液の粘度)増加などが考えられている.
・ESA使用開始早期に出現する場合が多い(特に使用開始後4ヶ月以内).

血栓

risk factor:高齢,糖尿病,人工血管

糖尿病性網膜症

・硝子体内のEPO濃度の上昇が網膜血管の増殖を促進している可能性が指摘されている.

心不全

・目標Hbが高すぎると心血管系イベントが多くなることが懸念される.
・重篤な心不全症例でESAを使用する場合は、Hb12g/dl以上に上昇させないことが勧められている.

鉄毒性

・鉄剤による治療,特に静注鉄剤の使用は,活性酸素の産生,網内系組織や心筋組織などへの鉄沈着,細菌やウイルスの増殖促進を招くことにもなり,生体に対して悪影響があるといわれている.

赤芽球癆

・最も重篤な副作用.リンパ球系細胞が感作され,EPOに対する自己抗体が産生され,赤芽球系細胞の増殖が抑制されるため発症.
・1日0.1g/dl程度のペースで貧血が進行する(結構速い).
・静注に比較して,皮下注による発症率が有意に高い。
・ESAの中止と免疫抑制薬(corticosteroid, cyclosporine, cyclophosphamide, anti-thymocyte globulin: ATGなど)による治療が必要といわれている.

■診断基準
主要症状:
・3週間以上のESA使用
・0.1g/dl/dayのHb低下が、輸血なしあるいは1単位/週の輸血下で認められる。
・網状赤血球<10×109/L
・血小板、白血球は正常
副症状:
・皮膚または全身のアレルギー症状
・骨髄穿刺液で正常細胞質、5%未満の赤芽球
・赤芽球前駆細胞の成熟停止
・抗EPO抗体の存在と中和活性の証明

遺伝子組み換えヒトエリスロポエチン製剤

エポエチン

エポエチンアルファ エスポ-® キリン
エポエチンベータ エポジン® 中外
エポエチンカッパ エポエチンアルファBS® JCRファーマ
 → バイオシミラー

■血液透析
・初期量として1回1500単位を週3回ゆっくりと静注する.
・投与量については通常,1回3000単位,週3回を上限とする.

ダルベポエチンアルファ darbepoetin alfa;DA

ネスプ® キリン
ダルベポエチンアルファ注シリンジ「KKF」® 協和キリンフロンティア
→Authorized generic(値段がネスプ®の2/3)
ダルベポエチンアルファBS注シリンジ「JCR」® キッセイ
→バイオシミラー

・エポエチンαの165個のアミノ酸残基のうちの5ヶ所が別のアミノ酸残基に置き換えられ,さらに2本の糖鎖が付加された遺伝子組換えヒトエリスロポエチン製剤.
・ダルベポエチンαの半減期は25.3時間と,エポエチンαの半減期(8.5時間)の3倍あり,受容体への親和性も十分維持されているため,少ない投与頻度(週1回)でHt値を目標域に維持することが可能になった.
・腎保護作用が示唆されている.
・ヘプシジンを下げる作用がある.
・投与対象の血清Cr濃度についての記載はなし.

■未投与の場合(保存期・腹膜透析)
初回30μg/2週から開始.
→貧血が改善してきたら,2倍量にして4週に1回に変更.最大180μg/4週まで.

■未投与の場合(血液透析)
初回20μg/週から開始.
→最大60μg/週まで.

上記に従い,1段階ずつ調整する.

■EPO製剤から切り替える場合(保存期・腹膜透析)
切替え前2週間のEPO製剤量の合計から,初回投与量を決定し,2週に1回から開始.
→貧血が改善してきたら,2倍量にして4週に1回に変更.最大 180μg/4週.

■EPO製剤から切り替える場合(血液透析)
切替え前1週間のEPO製剤量の合計から,初回投与量を決定し,週1回から開始.
→最大60μg/週まで.

切替え初回用量→EPO:DA=200:1.実際は300:1でうまくいくことが多い
 3000IU以下→15μg
 4500IU→20μg
 6000IU→30μg
 9000IU→40μg
 12000IU→60μg

エポエチン ベータ ペゴル epoetin-beta pagol

持続型赤血球造血刺激因子製剤 Continuous Erythropoietin Receptor Activator;CERAミルセラ® 中外

・エポエチン βに 1 分子の直鎖メトキシポリエチレングリコール(PEG)を化学的に結合させることによって血中半減期を著しく延長し,持続的な赤血球造血を可能にした.
・100時間以上の長い血中半減期.
・4週に1回投与により,長期にわたり安定したHb維持効果.
・皮下投与および静脈内投与のいずれも同等.
・投与7日後にhepcidinが最も低下し,10~14日後にTSAT・フェリチンが低下する.細胞 2012;44:261-268

■未投与の場合(保存期・腹膜透析)
初回25μg/2週から開始.
→貧血が改善してきたら,2倍量にして4週に1回に変更.最大250μg/月まで.

■未投与の場合(血液透析)
初回50μg/2週から開始.
→貧血が改善してきたら,2倍量にして4週に1回に変更.最大250μg/月まで.

■EPO製剤から切り替える場合(血液透析・腹膜透析・保存期)
切替え前1週間のEPO製剤量の合計から,初回投与量を決定し,4週に1回から開始.
 4500IU未満→100μg
 4500IU以上→150μg
→目標範囲に維持できない場合には,1回の投与量を1/2にし,2週に1回の投与間隔に変更できる

上記に従い,1段階ずつ調整する.

<MIRACLE-CKD>
Clin Exp Nephrol 2019; 23(3): 349–361
P:CKD保存期,Hb 11g/dL未満,日本人,解析対象2260例
E:腎性貧血に対し,ミルセラ®を使用
O:開始時平均Hb 9.45g/dL→104週後平均Hb 10.68g/dL(使用平均量 82.6μg/4週)

エリスロポエチン抵抗性貧血

■透析患者への高用量ESA投与と死亡率増加の関連
→投与量が多いほど,女性が多く,Hb・Albが低く,生存率が低い.
補正するとESA>8000単位以上(ダルベポエチンでは30~40くらい)で生存率が下がる.

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