腎移植:再発腎炎 recurrent nephritis

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なすび医学ノート

個人的なまとめノートで,医療情報を提供しているわけではありません.
診療は必ずご自身の判断に基づき,行ってください.
当ブログは一切の責任を負いません.

○すべての腎炎は基本的に再発する可能性がある(特に,組織学的な再発も含めれば).
・死亡を移植腎喪失とせず打ち切りとする糸球体腎炎の再発によるグラフト喪失率は,全糸球体腎炎でハザード比2.59(1.85-9.71),膜性増殖性糸球体腎炎6.79(2.69-17.2),巣状分節性糸球体硬化症4.97(2.45-10.1),IgA腎症3.44(1.22-9.71),膜性腎症1.36(0.27-6.76)の報告がある.Kidney Int 2017; 91: 304-314
○原疾患の再発は6~19.4%の移植患者にみられ,再発腎炎はgraft lossの原因として1.1~4.4%を占めるとされる.
○近年,免疫抑制療法の進歩に伴い,急性拒絶反応の頻度が減少するとともに再発腎炎のgraft 生着に及ぼす影響の重要性が高まっている.

★巣状分節性糸球体硬化症(一次性)

○移植後の再発が認められる腎炎の一番目.
○特に移植直後に約30%に発症するとされている(再発の既往があれば75~90% ).
・若年発症,診断後3年以内の末期腎不全への進行,移植前の大量蛋白尿,初回移植後は再発のリスクが高い.Kidney Int 2017; 91: 304-314
○血流再開直後から大量の蛋白尿を呈する例もみられ,再発の大部分は移植1ヶ月以内に起こる。
○その液性因子の性質が一部解明されつつあるが,必ずしもすべてに発症するわけではなく,未解決の分野である.
○対症療法として,血漿交換療法やアフェレシス療法が施行され,著効を示す場合もある.

★Dense deposit病

 次に頻度の高いのは膜性増殖性糸球体腎炎のなかのⅡ型とされるDense deposit病で,80%以上に発症するとされている(typeⅠは30~50%).
 巣状糸球体硬化症と異なり,移植後数カ月経って発症するケースが多く,発症初期には軽度の補体C3の沈着のみのこともあり,典型的な病像を呈するのに時間がかかる.

上2つはgraft lossにつながる重篤な再発性腎炎

★IgA腎症

○組織学的にはほぼ100%,臨床的にも30~60%程度と,臨床的に有意な再発の頻度が高い.
○IgA腎症の再発は原疾患と同様に潜行的な臨床経過をたどり,血尿・蛋白尿を呈さない状態でもprotocol biopsy によって組織学的再発を認めることがしばしばある.
○IgA腎症再発に関する問題点は,透析導入患者における腎生検実施率の低さにある(1997年のデータでは,糸球体腎炎を原疾患とする透析導入患者のうちわずか8%しか腎生検を受けていない).
○再発IgA腎症の長期予後は,以前考えられていたより悪いとの報告が最近相次いでいる.

糖尿病性腎症

 組織学的にはほぼすべて発症してくるが,その進行は緩徐でgraft lossにつながるものは稀.

ループス腎炎

 SLEに対する移植はほぼ非活動性の状態で施行されるべきで,その後もプレドニン®の中止をするのに慎重でなくてはならないが,これらを守れば再発は稀である.
 ループス腎炎は10%以下とされている.

嚢胞腎

 腎不全は中年以後に起こり,これは腎実質構成細胞の分子異常であり,持ち込まれる腎に再発することは考えられにくい.

膜性腎症

○30~44%の再発とされている.Clin J Am Soc Nephrol 2010; 5: 2363-2372,Transplantation 2016; 100: 2710-2716

ANCA関連糸球体腎炎

 再発率は10%未満.

抗糸球体基底膜抗体腎炎

○抗糸球体基底膜抗体腎炎で維持透析となった場合の腎移植は抗糸球体基底膜抗体価が12カ月以上にわたり陰性化し,治療終了後6カ月以上病気が落ち着いている場合に行われる.
○移植後に約50%の移植腎に線状のIgG沈着が認められるが,多くの症例は無症状のままである.
○血尿・蛋白尿を呈して再発する場合も稀にあるが,治療には反応し,移植腎の機能が廃絶することは稀である.
○移植後の再発が少ないのは,本疾患が元来治癒する性質の疾患であること,および免疫抑制薬が投与されていることによると考えられている.
○一方,Alport症候群などの遺伝性腎炎で移植後に抗糸球体基底膜抗体腎炎を発症する場合がある(生来有していなかったIV型コラーゲンαV鎖などを異物と認識するため).
○発症頻度は3~4%程度と低いため,移植は禁忌とはされていない.
・抗GBM腎炎の移植後再発率は~10%と報告されている.Nephrology 2014; 19 Suppl 3: 6-10

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