超速効型インスリン rapid-acting insulin analog(Q)

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なすび医学ノート

個人的なまとめノートで,医療情報を提供しているわけではありません.
診療は必ずご自身の判断に基づき,行ってください.
当ブログは一切の責任を負いません.

薬理

六量体形成の原因となっているヒトインスリン分子の28~29番目のアミノ酸を修飾し,自己会合能を低減させることで,皮下投与後,六量体から速やかに二量体,単量体へと解離する.
・ヒトインスリン製剤は六量体や多量体となりやすく,その吸収・作用発現が遅延する特徴を有する.

遺伝子組み換え

皮下注射後の作用発現が速く(5~15分後),最大効果発現も45~75分,効果時間は2~4時間となっている.
→食直前の投与によって内因性インスリンの追加分泌(食後高血糖の抑制)に近い血中濃度曲線を実現.

CSII療法にも使用可能.

pH 7.2~7.8

インスリン リスプロ Insulin lispro;Lis

ヒューマログ®(バイオシミラーあり)

ヒューマログ(イーライリリー) ミリオペン® ディスポーザブル 1400円
ヒューマログ ミリオペンHD® ディスポーザブル 0.5単位刻み 1400円
ヒューマログ カート® 1175円
ヒューマログ 注射(100単位/1V) 277円

インスリン リスプロBS注 HU「サノフィ」 ソロスター® 1258円 バイオシミラー
インスリン リスプロBS注 HU「サノフィ」 カート® 586円
インスリン リスプロBS注 HU「サノフィ」 注射(100単位/1V) 194円

ヒトインスリンの2量体の形成に関わるB鎖28位のプロリン(Pro)とB鎖29位のリジン(Lys)を置換(2ヶ所)
→製剤中では六量体として存在するが,皮下注射後速やかに単量体へと解離される.

最高血中濃度50%到達時間 31分
平均滞留時間 191.6分

値段の安さがダントツ.
若い人でお金を気にする人なら,こちらをまず選ぶ.

ルムジェブ® Lymjev® Ultra rapid リスプロ;URLi

Ultrarapid lispro;URLi

ルムジェブ(イーライリリー) ミリオペン® ディスポーザブル
ルムジェブ ミリオペンHD® ディスポーザブル 0.5単位刻み
ルムジェブ カート®
ルムジェブ 注射(100単位/1V)
2020年6月17日発売.

ヒューマログ®にトレプロスチニル(注射部位の局所血管を拡張)とクエン酸(注射部位の局所血管透過性を亢進)を加えることで,作用発現を高めている.

ヒューマログ®よりも血清中リスプロ濃度の立ち上がりが速い(Tmax 47分 vs 59分).
→食事開始時投与(食事開始前2分以内),必要な場合は食事開始後投与(食事開始から20分以内)も可能.
*食後5時間までの血糖降下作用はどちらもまだ健常者に劣る.

エビデンス

PRONT-T1D試験(1型糖尿病を対象とした国際共同第Ⅲ相臨床試験)

対象
頻回注射法によるBasal-Bolus療法をしている18歳以上の1型糖尿病患者1222例.
ルムジェブ®食直前打ち 451例(日本人62例)
ルムジェブ®食直後打ち 329例(日本人46例)
ヒューマログ®食直前打ち 442例(日本人59例)

主要評価項目 HbA1cのベースラインからの変化量(26週)
ルムジェブ®食直前打ち HbA1c 7.34%→7.21%
ルムジェブ®食直後打ち HbA1c 7.36%→7.42%
ヒューマログ®食直前打ち HbA1c 7.33%→7.29%
→非劣性

多重性を調整した副次項目 混合食事負荷試験時の食後血糖値の上昇幅のコントロール(26週)
食事1時間後 ヒューマログ®より27.9mg/dLの減少(食直前打ち)
食事2時間後 ヒューマログ®より31.2mg/dLの減少(食直前打ち)
→優越性

PRONT-T2D試験(2型糖尿病を対象とした国際共同第Ⅲ相臨床試験)

対象
頻回注射法によるBasal-Bolus療法をしている18歳以上の2型糖尿病患者673例.
ルムジェブ®食直前打ち 336例(日本人47例)
ヒューマログ®食直前打ち 337例(日本人46例)

主要評価項目 HbA1cのベースラインからの変化量(26週)
ルムジェブ®食直前打ち HbA1c 7.28%→6.92%
ヒューマログ®食直前打ち HbA1c 7.31%→6.86%
→非劣性

多重性を調整した副次項目 混合食事負荷試験時の食後血糖値の上昇幅のコントロール(26週)
食事1時間後 ヒューマログ®より11.8mg/dLの減少
食事2時間後 ヒューマログ®より17.4mg/dLの減少
→優越性

インスリン アスパルト Insulin aspart;Asp

ノボラピッド®(バイオシミラーあり)

ノボラピッド フレックスタッチ® 新型ディスポーザブル 1918円
ノボラピッド フレックスペン® 旧型ディスポーザブル 1905円

インスリン アスパルト BS 注ソロスター NR「サノフィ」 1418円
インスリン アスパルト BS 注カート NR「サノフィ」 746 円
インスリン アスパルト BS 注 100 単位/mL NR「サノフィ」 218 円

ヒトインスリンの2量体の形成に関わるB鎖28位のプロリン(Pro)をアスパラギン酸(Asp)に置換(1ヶ所).
→製剤中では六量体として存在するが,皮下注射後速やかに単量体へと解離される.

最高血中濃度50%到達時間 32分

デバイスのフレックスタッチが秀逸.弱い力で注射できる.
指の押す力の弱い高齢者や小児などで活躍する.

フレックスタッチ®

単位合わせがしやすくなり,打ちやすくなった(注入ボタンが伸びない,注入圧が軽いなど).
→力の入れにくい高齢者や小児に有用.

フィアスプ® Faster Aspart

フィアスプ® フレックスタッチ® 1918円
フィアスプ® ペンフィル® 1338円
フィアスプ® 100単位/mL(1バイアル 10mL) 334円/mL
2020年2月7日発売

ニコチン酸アミドを添加剤として加えることで,皮下投与後速やかに吸収されるようになり,作用発現時間がノボラピッド®より速い.
→食後打ち(食事開始から20分以内)が可能になった.
→食事直前(食事開始2分以内!).投与後は速やかに食事を食べる.

バイアル製剤は,ポータブルインスリン用輸液ポンプを用いた投与や静脈内注射を行うことができる.

エビデンス

国内第1相臨床試験

成人1型糖尿病患者を対象としたBasal-Bolus療法におけるインスリンデグルデク併用下でのフィアスプ®とノボラピッド®との比較

Fast‐acting insulin aspart in Japanese patients with type 1 diabetes: Faster onset, higher early exposure and greater early glucose‐lowering effect relative to insulin aspart
Fast‐acting insulin aspart (faster aspart) is insulin aspart (sp) in a new formulation with two added excipients (niacinamide and L‐arginine) in order to obtain...
第3相臨床試験(onset 8試験) 国際共同治験

成人1型糖尿病患者を対象としたBasal-Bolus療法におけるインスリンデグルデク併用下でのフィアスプ®とノボラピッド®との比較

P:成人1型糖尿病(12ヶ月以上前からBasal-Bolus療法をしている18歳以上),Basal-Bolus療法(Baselはデグルデグ),26週間
E:フィアスプ®食直前 342例 vs フィアスプ®食直後341例 vs ノボラピッド®食直前342例

主要評価項目(HbA1cのベースラインからの変化量)
-0.12% vs -0.002% vs -0.10% 非劣性

副次評価項目(食後血糖増加量)
-18.34 vs +16.15 vs -2.10 フィアスプ®食直前に優越性

Fast‐acting insulin aspart versus insulin aspart in the setting of insulin degludec‐treated type 1 diabetes: Efficacy and safety from a randomized double‐blind trial
To evaluate the efficacy and safety of mealtime or post‐meal fast‐acting insulin aspart (faster aspart) vs mealtime insulin aspart (IAsp), both in combination w...
第3相臨床試験(onset 5試験) 国際共同試験

成人1型糖尿病患者を対象としてインスリンポンプを使用したフィアスプ®とノボラピッド®との比較

P:成人1型糖尿病(6ヶ月以上前からCSIIをしている18歳以上),CSII,16週間
E:フィアスプ® 236例 vs ノボラピッド® 236例

主要評価項目(HbA1cのベースラインからの変化量)
-0.05% vs -0.15% 非劣性

副次評価項目(食後血糖増加量)
-15.12 vs +1.28 フィアスプ®に優越性

https://dom-pubs.onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/dom.13610

インスリン グルリジン glulisine

アピドラ ソロスター®

ヒトインスリンの6量体の生成に関わるB鎖3位のアスパラギン(Asp)をリジン(Lys)に,2量体の形成に関わるB鎖29位のリジン(Lys)をグルタミン酸(Glu)に置換(2ヶ所) .

亜鉛を含まない.
→亜鉛非存在下でも単量体として安定し,製剤中における単量体の割合が多い.

皮下注射後,速やかに吸収され,短時間で消失することにより,生理的な追加インスリン分泌を再現する.

最高血中濃度50%到達時間 21分
→食後注射したい場合に向いていたが,ルムジェブ®とフィアスプ®の登場で出番がなくなった.

平均滞留時間 100.6分

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