関節リウマチ 関節外病変

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なすび医学ノート

個人的なまとめノートで,医療情報を提供しているわけではありません.
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肺病変

肺病変は関節外病変の中で頻度も高く臨床上重要な位置を占める.

気管支拡張症

Cortetらは68 例中20 例(29%)のRA患者にHRCT所見上で気管支拡張症を認めると報告している.

逆に,気管支拡張症を有する患者77 例中4 例(5.2%)にRAが発症したという報告もあり,この数字は一般人口におけるRAの有病率と比較しても明らかに高いことから,気管支拡張症とRA発症の間に共通する免疫学的異常の存在を示唆する事実として興味深い.

閉塞性・濾胞性細気管支炎 bronchiolitis obliterans/follicular bronchiolitis;BO/FB

BOでは,病理学的に終末~呼吸細気管支領域にリンパ球浸潤と線維化を認め,内腔の狭小化と閉塞によって閉塞性換気障害が出現する.

FBでは細気管支周囲のリンパ組織の著明な過形成により同様の病態を起こすが,両者の病理所見は混在する場合が多い.

呼吸細気管支炎 respiratory bronchiolitis;RB

細気管支中心にマクロファージ(Mφ)が集簇し,細気管支壁の軽度の線維化と慢性炎症を特徴とする.画像的には小葉中心性結節性病変や小葉間隔壁の肥厚が認められる.

器質化肺炎を伴う閉塞性細気管支炎 bronchiolitis obliterans and organizing pneumonia/cryptogenic organizing pneumonia;BOOP/COP

病理学的に細気管支~肺胞内に肉芽形成を認めるが肺胞構造は保持される.

画像的にはスリガラス状陰影(ground-glass appearance:GGA)あるいは実質陰影が散在し,ときにair-bronchogramを伴う.

臨床的にはステロイド療法に良好に反応する.

通常型間質性肺炎(UIP)

病理学的には①肺構造の改変(高率に蜂窩肺)を伴う広範囲な線維化,②その辺縁部での線維芽細胞巣(fibroblastic foci)の形成,③分布が散在性で高率に小葉辺縁性(胸膜直下)である,という特徴を有する.

HRCT所見では両側肺底部に蜂巣肺(HO)が散在し,気管支血管束が周囲間質の線維化によって腫大した像が認められる.

非特異性間質性肺炎(NSIP)

胞隔周囲の細胞浸潤が主体のI型から,線維性病変が主体のIII型,その中間のII型に分類されている.

膠原病に合併する間質性肺炎(IP)では本症が最も多い.

HRCT所見では,中肺野~下肺野の血管気管支束周囲や胸膜直下にGGA,牽引性気管支拡張(TB),HOなど症例によって種々の病変が混在し多彩な画像所見を呈することが特徴である.

びまん性肺胞障害(DAD)

びまん性の硝子膜形成,間質の浮腫を初期の特徴とし,比較的急速に器質化(線維化)に到り,呼吸不全に陥る予後不良のIPであり,画像的には,初期にはGGAを呈し,線維化の進行に伴ってTBやHOが出現する.

剝離性間質性肺炎 desquamative IP;DIP

気腔内に顕著な肺胞Mφの集簇を伴い,間質にもリンパ濾胞の形成を伴う軽度の慢性炎症所見を認め,小葉内では病変は均等な分布を示す.

通常,間質の線維化や蜂窩肺は伴わず,線維化を伴う場合はATSERS分類ではFibrosing NSIPと定義される.

画像的には,下肺野背側優位の多小葉性のGGAで境界は明瞭であり,陰影内部に小囊胞性低吸収域を含む.

リンパ球性間質性肺炎 lymphoid IP;LIP

肺胞壁を中心としたリンパ球の浸潤を認め,浸潤リンパ球はT細胞が主体で,形質細胞,Mφが混在する.

ときにリンパ濾胞を形成し,悪性リンパ腫との鑑別を要することもある.

画像的には肺野に斑状のGGAが分布し,血管気管支周囲や小葉間隔壁の不整肥厚像を示す.

治療は中等量~大量のステロイド療法に反応する場合が多い.

肺内リウマトイド結節

RA固有の肺病変であり,皮下結節と同様に,リウマトイド因子強陽性で疾患活動性の高い時期にみられるが,本邦では欧米人に比較すると少ない.

胸膜病変

RAにみられる肺病変のなかで最も頻度が高く,HRCTでは約50% の症例に胸膜肥厚や癒着を認め,ときには胸水貯留を認める.

一般に呼吸器症状には乏しく,胸水が貯留している場合でも自然消退する場合が多いが,ときに急速かつ大量に貯留し,胸痛や胸部圧迫感などの症状が出現することがある.

薬剤性肺炎

RA治療薬の中で,メトトレキサート(MTX)は高い有効性と骨破壊抑制効果から,RA治療の第一選択薬である.

MTX lung頻度については,約1~7% とされる.

HRCTでは両側びまん性のGGAを認め,肺胞洗浄液の解析ではリンパ球が著明に増加する.
他にも金製剤やブシラミンに伴う肺炎も認められ注意が必要である.

日和見感染

MTXや生物学的製剤治療中に発症する呼吸器疾患では,日和見感染が問題となる.

日和見感染のなかでもPneumocystis pneumonia(PCP)は生命予後を大きく左右する合併症.

MTX肺炎と同様に,比較的急速に進行し,画像上も類似する所見を呈するため,両者の鑑別は困難である.

PCPの鑑別のためにHRCT所見やβ-D glucanの測定が有用であり,Pneumocystis jiroveciiの同定(PCR陽性や菌体検出)にて診断される.

消化器病変

RAと関連する消化管病変として,続発性アミロイドーシスや悪性関節リウマチの血管炎に伴う消化器病変がある.

非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs)や抗リウマチ薬(DMARDs)に起因する消化管障害,免疫抑制による日和見感染症などが出現し,治療経過や予後に影響を及ぼす.

生物学的製剤の出現やTight controlの概念などにより,関節リウマチの消化管病変の様相は徐々に変化しつつある.

続発性アミロイドーシス

続発性アミロイドーシスは慢性炎症性疾患に続発して,アミロイドA(AA)蛋白が種々の組織に沈着する病態である.

一般的に,RAに続発するアミロイドーシスの発症頻度について,Tiitinenらは早期RA患者を15 年間にわたってprospectiveに観察し,皮下脂肪織生検によって10.9% の患者にAAが証明されたと報告している.
・本邦では消化管生検診断によって約10% のRA患者にAAの沈着が証明される.

AAアミロイドの診断には過マンガン酸処理でコンゴ・レッド染色性が消失することで診断されるが,ALアミロイドでも同様の所見が得られることがあり,注意が必要である.

発症に寄与する因子としては,手足の小関節よりも,肘,膝,股関節などの大関節に炎症を有する患者に起こりやすいとされる.

発病後3 年次での朝のこわばり持続時間,血清炎症反応値(血沈,CRP),初期治療の差,の3項目において非発症群との間に有意差を認めており,AAの沈着には長期間にわたる疾患活動性の持続が重要である.

消化器症状は続発性アミロイドーシスの最も早期に出現しやすい症状であり,腹部膨満,嘔気,腹痛などに始まり,やがて頻回な下痢が出現する.

AAが粘膜下に高度に沈着すると,血管やAuerbach神経叢が侵され,血流障害や腸管運動麻痺が生じた結果,虚血性腸炎や麻痺性イレウスを来す.

粘膜固有層へのAA沈着が高度な例では吸収不良症候群を呈する場合もある.

内視鏡検査では阻血性の淡黄色で粗造な粘膜,血管透見像,不整潰瘍,出血斑,びまん性発赤などが特徴とされるがいずれも非特異的である.
・生検部位としては十二指腸が最も感度が高く,特に十二指腸第2 部ではAA陽性例の85% の感度で証明される.

これまで,消化管アミロイドーシスに対する特異的な治療はなく,いったん発症するとその管理に苦慮することが多かったが,生物学的製剤によるTight control中でも抗IL-6 レセプター抗体(Tocilizumab)治療にて消化管へのアミロイドの沈着が著明に改善することも報告され本病態に有効な治療であると期待される.

腎病変

RAに合併する腎病変としては間質性腎炎,アミロイド腎症,糸球体腎炎などが認められる.

アミロイド腎症を除けばRA自体による合併症との関連は少ない.

間質性腎炎は非ステロイドNSAIDsなどの薬剤により誘発されるものとRAに少なからず合併するSjögren症候群に伴うものが多い

糸球体腎炎においてもブシラミン腎炎などの膜性腎症が多く,薬剤誘性腎炎が大半を占める.

薬剤性以外ではメサンギウム増殖性糸球体腎炎の報告が多く認められるがRA自体との関連性は否定的である.

RA診療中に尿所見の異常が認められた際には蛋白尿であれば薬剤性・アミロイド腎症を念頭に,血尿が主体であれば尿路結石症を念頭に原発性糸球体腎炎の合併を考えるべきである.

リンパ節病変

RA患者において,リンパ増殖性疾患(lymphoproliferative disease:LPD)の合併が少なからず認められる.

RA患者は一般集団に比べ悪性リンパ腫の発症リスクは約2~6 倍とされる.
さらにRAの活動性と悪性リンパ腫の発症リスクは関連があるとの報告もある.

RAに合併するLPD(RA-LPD)は,通常のB細胞リンパ腫やT細胞リンパ腫などの細胞特性に基づく分類とは異なり,病因に基づく分類である.
→RA-LPDは細胞特性で分類すると多形性リンパ増殖性疾患やB細胞リンパ腫,T細胞リンパ腫,古典的ホジキンリンパ腫など様々な像を呈する.

メトトレキサート(MTX)関連リンパ増殖性疾患の一部はMTX中止に伴いリンパ節腫脹が自然寛解することが知られている.
MTXやEBウイルス感染がLPD発症のリスク因子となる可能性が示唆されている.

血管病変

RAに伴う血管炎は欧米ではrheumatoid vasculitis(RV)と呼ばれることが多い.

RVは①皮膚に微小血管炎を呈する型②多臓器に及ぶ系統的動脈炎を呈する予後不良のBevans型③四肢末端・皮膚の末梢動脈炎を呈するが予後は良好のBywaters型などが含まれる.

一般的にBevans型とBywaters型は難治性疾患克服研究事業の治療研究事業の対象疾患である悪性関節リウマチ(malignant rheumatoid arthritis)として分類される.

皮膚の血管炎はRA患者の1~5% に認められるとされる.

紅斑や紫斑として出現し病理組織学的には皮下組織の小動脈・細動脈・細静脈・小静脈などの小血管レベルで壊死性血管炎の像を呈する.

全身性動脈炎はKussmaul-Maier型の結節性多発動脈周囲炎(PN)と鑑別が困難な壊死性動脈炎を呈する.
しかしながらPNとは異なり腎の血管炎を呈する頻度は少ない.

Bevans型は発熱,体重減少など全身性血管炎の症状を伴い皮下結節,紫斑,筋痛,胸膜炎,心腹炎,多発性単神経炎,消化管出血,上強膜炎などの症状が比較的急速に出現し進展する.

Bywaters型は皮膚の梗塞,指趾の壊疽や潰瘍の皮膚症阻血症状や末梢神経障害を主症状とする.

RA治療の進歩に伴い抗TNF製剤を含む生物製剤の使用頻度が増加している.

生物製剤が全身性血管炎に対しては有効であるとの報告が認められる一方で皮膚の血管炎を誘発することが報告されており注意が必要である.

典型例は,リウマチ因子高値を呈し,リウマトイト結節や関節変形をきたした長期の罹病期間を持つ活動性の高いRA患者でありやや男性に多い.

RVを早期に診断するためには発熱などの全身症状の出現はもちろんであるが多発単神経炎や上強膜炎,原因不明の皮疹などを見逃さないようにすることが重要である.

治療は皮膚の微小血管炎を呈する型では少量のステロイドで改善する.

しかしながら全身性血管炎を伴う症例ではステロイド大量療法やシクロフォスファミド・アザチオプリンといった免疫抑制剤の併用が必要となるが難治例も多い.

難治例に対してはANCA関連血管炎に対してrituximabやTNF阻害薬の有効性の報告も認められている.

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