化膿性脊椎炎 pyogenic spondylitis

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なすび医学ノート

個人的なまとめノートで,医療情報を提供しているわけではありません.
診療は必ずご自身の判断に基づき,行ってください.
当ブログは一切の責任を負いません.

疫学

○年齢:あらゆる年齢層に発症するが,最近では発症年齢が高齢化し50歳以降が多い.
○性別:2対1で男性に多い.
○罹患部位: 腰椎,胸腰椎移行部発生が半数以上を占め,ほとんどが2椎体罹患.

病態

○大多数は血行性感染例であるが,手術や脊椎検査による医原性脊椎炎も少数ではない.
・脊椎instrumentation後の脊椎炎は増加しており社会的問題ともなっている.
○高齢者,免疫機能が低下した糖尿病患者,担癌患者の日和見感染症も増加している.
○尿路,呼吸器,皮膚感染症,虫垂炎,胆嚢炎,中耳炎,骨盤内感染症などが約3割の例で先行している.

○終板に接する前軟骨下層から始まり、椎間板、隣接椎体へと広がり、傍椎体の軟部組織へと至る.

■発症型
○急性型:高熱,脊柱不撓性,激しい疼痛などの典型的な急性炎症症状をもって発症.脊椎の可動域が減少し板状(脊柱不撓性)となる.
○亜急性型:微熱,背部痛で発症.
○潜行型:発熱がなく背部痛のみで発症.高齢者に多く,X線所見が現れてから気づかれ診断が遅れがちとなる.

起因菌

○菌の同定は膿,血液,手術材料の培養などで行われているが,同定率は30~40%程度.
○グラム陽性菌によることが60~70%で,黄色ブドウ球菌が起因菌の50%を占める.
・大腸菌,プロテウス,緑膿菌による例も少数ではない.
・MRSAも増加している.

症候

○激痛,高熱,スパイク状発熱など激しい臨床型を呈することが多い.
・圧痛が著明.
○初期から運動麻痺を呈することは稀.

血液検査

○白血球増加,好中球の左方移動,CRP高値,赤沈の中等度亢進(50~100mm)がみられる.
・亜急性型,潜行型では白血球増多がほとんどみられず,CRP値の上昇も軽度にとどまる.

血液培養

○抗生物質投与前の血液培養で起因菌が同定されることもあり,敗血症例では必須の検査である.
・スパイク状発熱時に採取された血液培養の診断的価値は高い.
・脊椎炎の診断前に多くの例で抗生物質が投与されていることが多く,起因菌の確定ができないことも多い.

単純X線

○断層像で,発症後2~8週で椎間腔狭小化,椎体終板の骨破壊像が現れ,2~4か月で骨棘,骨橋形成,病巣周囲に幅広く濃厚な反応性骨硬化像が出現する.
○椎体辺縁硬化,椎体の破壊,反応性の骨硬化像,骨棘形成などが程度と時間経過に伴い出現する.
○最終的には椎間の癒合像がみられる.

CT

○椎体の破壊,反応性骨硬化像,周囲脂肪織濃度上昇.
・軸位断のみの観察では容易に見逃され得るため,発熱と腰痛のある患者では常に注意する必要がある.

MRI

○炎症性病巣は基本的にT1強調像で境界不明瞭な低信号を認め,椎間板を挟んで上下の終板が不明瞭となる.
・病変の進展範囲は造影脂肪抑制T1強調像が最もわかりやすいため,積極的な造影剤使用も推奨される.
○T2強調像で高信号を示し,内部に液体貯留が見られる.
・変性でも見られうるため,脂肪抑制T2強調像での周囲炎症波及の所見に注目する.
○初期病巣は椎体終板近傍に始まり,終板の不整,断裂像が捉えられる.
○椎間腔が狭小化し,隣接椎体に病変が波及すると単純X線像から想像される病変より広範囲に,椎体がT1強調像で低信号,T2強調像で高信号を示す.
○化膿性脊椎炎では肉芽の形成,骨新生といった炎症の修復反応が盛んで,この時期のGd造影像では形成された肉芽がある広さをもってほぼ均一に増強される(diffuse enhancement).
・治癒機転が進んでも比較的長期間高信号像を呈する場合が多い.
・次第に病巣が縮小する過程がよく示され,診断的価値が高い.

治療

○入院安静(ベッド上安静)
○ギプス,硬性コルセットを検討.

抗生物質

○菌の同定と薬剤感受性結果がでるまでは広域スペクトルの抗菌薬を点滴静注する.
・第1世代セフェム系.
・MRSAを視野に入れるならば,バンコマイシン
○起炎菌同定,薬剤感受性結果が出た後は,その結果に合わせて抗菌薬を選択する.
・大腸菌ではセフタジジム,イミペネムなど.
.緑膿菌ではセフタジジム,アミカシンなど.
○抗菌薬投与期間は一般的には8週間程必要な場合が多いが,CRP,血沈やMRIの画像所見を参考とする.
・終了には,CRPの陰性化,血沈値の正常化を認め,少なくとも2週間は継続すること,またMRIではT2,T1強調像での正常化(T1低輝度は長引くことあり)を目処にする.
・治療に反応性の急性化膿性脊椎炎では画像上の経時的変化が明らかであり,とくにMR像の信頼性が高い.

○椎体破壊が明らかに進行する例では発症からの期間にかかわらずドレナージを含めた積極的な手術治療を考慮し,治療の長期化を予防する.

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