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副甲状腺ホルモン(parathyroid hormone;PTH)分泌は保たれているにもかかわらず,標的臓器のPTHに対する先天的不応性により,低カルシウム血症や高リン血症などの副甲状腺機能低下状態を呈する.
PTHは近位尿細管のPTH受容体に作用し,Gsαを介してcAMP(cyclic adenosine monophosphate)を増加させ,P利尿をもたらす.
→GsαをコードするGNAS1変異や組織特異的インプリンティングなどの病因・遺伝様式が解明されている.
PTHがある程度以上分泌されているのに低Ca血症あるならば,偽性副甲状腺機能低下症を考慮する.
Ⅰ型
PTH受容体からアデニル酸シクラーゼ系の間に異常が存在し,外因性のPTH負荷に対し尿中cAMP及びリン酸排泄促進反応の両方に障害が認められる.
PTH受容体そのものではなく,Gsα遺伝子の異常によって発症する.
1)Gsα遺伝子(GNAS)は腎尿細管においては父方由来のアレルの発現が生じないという刷り込み(imprinting)現象が認められるため,母親から遺伝する場合にのみCa代謝異常を生じる.
2)父親から遺伝する場合はCa代謝異常はみられないものの短指や低身長などの身体的特徴を呈することがあり,偽性偽性副甲状腺機能低下症と呼ばれる.
Ⅰa型
PTH受容体からアデニル酸シクラーゼに情報を伝達するGs蛋白活性の低下を認める
家系により多様なGsαサブユニット遺伝子(GNAS)の変異が報告されている.
円形顔貌,低身長,中手・中足骨短縮ならびに皮下骨腫などを認め,この徴候はAlbright遺伝性骨異栄養症(Albright hereditary osteodystrophy;AHO)と呼ばれる.
Ⅰb型
腎近位尿細管でのGNASのプロモーター領域メチル化異常であるため,腎近位尿細管におけるPTH受容体シグナル以外は通常インタクト.
AHOを有さない.
Ⅰc型
アデニル酸シクラーゼ のcatalytic unitの異常が想定される
当初の報告例以外にはごく少数例しか症例は確認されていない.
Ⅱ型
cAMP排泄増加反応は保たれているものの尿中リン酸排泄促進反応が障害されている.
cAMP産生以降の細胞内情報伝達系に問題があるものと想定されている.
治療
遠位尿細管のPTH反応性が保たれている(50%残存)ことから,原発性副甲状腺機能低下症の約半量の活性型ビタミンD3でよい.
通常,はじめは最低維持量から開始する.高Ca尿症は来しにくい.
アルファカルシドール(アルファロール®,ワンアルファ®など) 1~3μg 1日1回朝食後