偽性低アルドステロン症,偽アルドステロン症 pseudohypoaldosteronism;PHA

スポンサーリンク
なすび医学ノート

個人的なまとめノートで,医療情報を提供しているわけではありません.
診療は必ずご自身の判断に基づき,行ってください.
当ブログは一切の責任を負いません.

アルドステロン分泌と腎糸球体機能には異常を認めないにもかかわらず,遠位尿細管でのミネラルコルチコイドに対する反応性低下に起因するナトリウム再吸収障害によって,低ナトリウム血症,高カリウム血症,代謝性アシドーシスを呈する稀な遺伝性疾患.

塩類喪失所見を認めるⅠ型(PHA typeⅠ)と塩類喪失を認めず高血圧を呈するⅡ型(PHA typeⅡ:Gordon 症候群)に分けられる。

PHA typeⅠ

腎臓などの諸臓器でアルドステロン不応性を示す

 1958年に Cheek と Perry によって初めて報告されて以来,今日までに100 例以上の症例がある.

 家族性に発症し,常染色体優性または常染色体劣性の遺伝形式をとる例と,後天的にアルドステロン不応性となる病態もある.

 高レニン血症および高アルドステロン血症を呈するが,Na喪失,低血圧,高K血症を呈する.

ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬を投与した状態と類似

 これらのほかに,閉塞性尿路疾患や尿路感染,間質性腎炎などに伴い発症することが知られている.
→原疾患の治療により病態の改善が知られる.

常染色体優性遺伝

ミネラルコルチコイド受容体(mineral corticoid receptor;MR)をコードする遺伝子(NR3C2)のヘテロ変異が原因.

腎症状のみを呈するため腎型と呼ばれる.

重症度はやや低い.

常染色体劣性遺伝

アミロライド感受性上皮型ナトリウムチャネル(epithelial Na+ channel;ENaC)をコードする遺伝子(SCNN1A,SCNN1B,SCNN1G)のホモ変異あるいは複合ヘテロ接合変異により発症する病型.

重症度は,常染色体優性遺伝よりやや重い.

ENaCは腎以外にも肺組織等広く発現分布を持ち,呼吸器症状等全身にわたる症状を呈することから全身型(あるいは多臓器型)とよばれる.

治療

Na補充が中心となるが,重篤な高K血症を呈する場合は,透析による除去が必要となる場合もある.

電解質が補正されれば,発育・発達は正常となる.
加齢と共に症状は緩和するとされている.

PHA typeⅡ(Gordon症候群)

常染色体優性遺伝形式をとる疾患で,高カリウム血症,代謝性アシドーシスに加え高血圧を呈することが特徴.
Na喪失はみられず,逆に尿細管におけるNa再吸収は亢進している.

 1964 年に Paver らにより家族性高カリウム性高血圧症(familial hyperkalemic hypertension;FHHt)として初めて報告され,その後1970 年に Gordon らにより記載された.

 一般に血漿レニン活性および血中アルドステロンも正常から低値を示し,高血圧,Na貯留症状を呈する.
・高血圧は,成人期以降に発症することが多い.

遺伝子異常

 発症には,遠位尿細管のNa-Cl共輸送体(thiazide-sensitive sodium chloride cotransporter;NCCT)によるNa再吸収亢進が関与している.

 その病因としてセリン・スレオニンキナーゼファミリーであるWNK(serin/threonine kinase with-no-lysine[K])系キナーゼのうち WNK1 と WNK4 の遺伝子異常が同定された.
 常染色体優性遺伝の遺伝形式を示す.
→SPAK(SPT20/SPS1-related proline/alanine-rich kinase)やOSR1(oxidative stress responsive kinase1)を介したリン酸化
→NCCT(Na+Cl-共輸送体)の機能亢進,ROMK活性低下
→高K血症,代謝性アシドーシス,高血圧
Gitleman症候群のminor imageと捉えられる.

 2012年に原因遺伝子として,WNKの調節因子であるKLHL3(Kelch-like 3)とCUL3(cullin 3)遺伝子が新規に同定された.
・これらはより重症で,早期に発症する.
・KLHL3異常の一部は,常染色体劣性遺伝の遺伝形式を示し,最も重症度が高い.

治療

食塩制限とサイアザイド系利尿薬を用いる.

サイアザイド系利尿薬はNCCTの活性を抑制するため,著効する.

高Ca尿症を呈するため,腎結石にも留意する必要がある.
・サイアザイド系利尿薬により,尿中Ca排泄は低下する.
・アルカリ化薬の投与も腎結石予防に有効

タイトルとURLをコピーしました