偽性アルドステロン症,偽アルドステロン症 pseudoaldosteronism

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なすび医学ノート

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 狭義には,甘草(licorice)やその主成分であるグリチルリチンを含む医薬品の服用により, 原発性アルドステロン症と類似の病態を示す症候群.

 広義には,AME(apparent mineralocorticoid excess)症候群(11β-HSD2 遺伝子の不活性化変異による遺伝性高血圧),Liddle症候群(アミロイド感受性上皮性Naチャネル ;ENaCの遺伝子異常)などのミネラルコルチコイド関連遺伝子の異常を含む.

 高血圧,低カリウム血症,代謝性アルカローシスを特徴とし,所見がアルドステロン過剰の病態に酷似するにもかかわらず,血漿アルドステロン濃度は低値である.

病態

 病因としては,甘草(ないしグリチルリチン)によって腎尿細管細胞内のコルチゾール代謝酵素(コルチゾールをコルチゾンに不活性化する)である腎型11β-水酸化ステロイド脱水素酵素 11β‒hydroxysteroid dehydrogenase 2(11β-HSD2)が抑制されることによる.
→尿細管においてコルチゾールからコルチゾンへの変換が阻害されるため,コルチゾールのミネラルコルチコイド受容体(MR)への作用が強まり,上皮型ナトリウムチャネル(ENaC)を介してNaが再吸収され高血圧を発症する.

メモ 皮質集合管(CCD)の細胞は,アルドステ口ンの特異的受容体(mineralocorticoid receptor : MR)を発現しているが, この受容体はアルドステ口ンだけでなくコルチゾールにもほぼ同等の親和性をもっている.
 しかし,血中のコルチゾール濃度はアルドステ口ンよりはるかに高い(1,000倍程度)ので,通常の状況ではMRはすべてコルチゾールに結合してしまい,アルドステ口ンによる特異的な作用は機能しなくなる.
→CCDの細胞には11β-HSD2が発現しており,局所でコルチゾールを不活化することにより,アルドステ口ンのMRへの結合を助けている.

メモ 甘草は植物の根より抽出される物質で種々の食品に甘味料として,また,肝疾患やアレルギー性疾患の治療薬や抗潰瘍薬など医薬品の成分として広く使用されている.

症候

 特徴として過剰なミネラルコルチコイドによる高血圧,低カリウム血症と,(ネガティブフィードバックによる)レニン抑制とアルドステロンの低下が認められる.
・NaはMR作用により亢進した側底膜Na-KATPaseを介してKと交換され,Kは管腔側膜のカリウムチャネル(ROMK)を介して分泌される.

 血漿レニン活性,血漿アルドステロン濃度はいずれも低値.

 低カリウム血症は高度(2 mEq/L前後)の場合も多く,脱力(ミオパチー)やインスリン分泌不全をきたし,ときに横紋筋融解症を生ずる.

治療

○薬剤の中止により,数週間の経過で病態が改善するが,しばらくカリウム製剤の補充を必要とし,速やかに血清K値が改善することはない.

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