原発性アルドステロン症 病態

医学ノート(なすび用)

primary aldosteronism;PA

なすび専用のまとめノートで,医療情報を提供しているわけではありません.
ちゃんとした正書や情報提供サイトを強く推奨します.
当ブログは一切の責任を負いません.

副腎皮質からのアルドステロン過剰分泌により,高アルドステロン・低レニン性高血圧,低K血症をきたす病態.

アルドステロンは腎臓の遠位尿細管細胞に存在するミネラルコルチコイド受容体(type1)に作用
→Na再吸収亢進
→体液量増加,末梢血管抵抗の増大,血管の昇圧反応性の亢進
→高血圧
→レニンの合成と分泌は抑制,立位や利尿薬によるレニン分泌反応も抑制
→尿中へのKと水素イオンの排泄が増加(Naと交換)
→低K血症・代謝性アルカローシス

高血圧における頻度が高く,治癒可能な例があることに加え,本態性高血圧に比べ,脳卒中・心肥大・心房細動・冠動脈疾患・心不全などの脳心血管合併症の頻度が高い(約3倍).

なすび院長
なすび院長

2021年版のガイドラインで大きく変わっているので要チェック!!!

疫学

高血圧患者総数の5~15%と考えられており,二次性高血圧の重要な原因の一つとされ,治療抵抗性高血圧患者の20%は本症と考えられている.
・高血圧患者におけるPAの有病率はプライマリケア施設で3~12%,専門施設では5~29%と報告されている.

高血圧性の臓器障害に加えて,アルドステロンの心血管系の直接作用による心血管系合併症(心筋梗塞・狭心症・心房細動,脳出血,脳梗塞など),蛋白尿などの慢性腎臓病の頻度が高いことが報告されている.

1)若年および高血圧罹病期間が短い症例でも合併症の出現率が高い.
2)同程度にコントロールされた本態性高血圧症と比べると,脳卒中(オッズ比2.58),冠動脈疾患(オッズ比1.77),心房細動(オッズ比3.52),心不全(オッズ比2.05)と有意に発症リスクが高く,糖尿病(オッズ比1.33),メタボリックシンドローム(オッズ比1.53),左室肥大(オッズ比2.29)と有意に上昇することが報告されている.
3)高アルドステロン血症の程度,低K血症,片側性病変,合併するコルチゾール過剰などが主な寄与因子.

早期診断・早期治療が重要!!

病態

片側性副腎病変(手術対象)

分泌量:重度
低K血症:50~60%
治療:手術 or 薬物療法

アルドステロン産生腺腫 aldosterone-producing adenoma;APA

35%(本邦では約70%)

カリウムチャネルKCNJ5遺伝子変異をはじめとして,CACNA1D,ATP1A1,ATP2B3などのCa,ATP,Na/Kイオンの体細胞変異が同定されている.
→いずれの変異も細胞内Ca濃度の上昇によりアルドステロン自律性分泌を促進する.

KCNJ5遺伝子変異によるPAは,1)女性,2)若年,3)重症型,4)腫瘍サイズが大きいなどの臨床的特徴を有している.

微小腺腫が少なくないこと,加齢とともに非機能性副腎腺腫が増加することから,副腎静脈サンプリングが推奨される.

片側副腎過形成 unilateral adrenal hyperplasia;UAH

2%

アルドステロン産生副腎癌(aldosterone producing carcinoma;APC

<1%

片側多発性副腎微小結節性アルドステロン症 unilateral multiple adrenocortical micronodules;UMN

<1%

両側副腎病変

分泌量:軽度~中等度
低K血症:10~20%
治療:薬物療法

特発性アルドステロン症 idiopathic hyperaldosteronism;IHA,両側副腎過形成

60%(本邦では約20%)

原因は不明.イオンチャンネル変異・代謝障害?

コルチコイド反応性アルドステロン症 glucocorticoid-remediable aldosteronism;GRA

<1%

病理

アルドステロン産生腺腫の大きさは通常6g以下,径3cm以下が多いが,数mm程度のものもある.
数mmの腫瘍でも症状を認め,これらの腫瘍は現在の画像診断法では検出が困難でmicroadenomaと呼ばれる.

腺腫は被包され,その割面は肉眼的に黄金色を呈する.

組織学的には主に多形性の核と脂質に富み,正常の束状帯細胞に類似した形質を示す明細胞から構成され,胞巣状ないし索状の増殖像を示す.

腺腫周辺および対側副腎の球状帯細胞には結節性またはびまん性の軽度の過形成がみられることが多い(高血圧症の持続に伴う変化と考えられる).

コルチゾール産生腫瘍(Subclinical Cushing症候群)合併

PAにおけるコルチゾール共産生の頻度は,PA全体で3.9~77.6%,片側性PAでは23.4%との報告がある.
・腫瘍サイズが大きいほど,コルチゾール分泌の自律性が獲得される頻度が増加する.

コルチゾールを産生するAPAも存在するが,頻度は比較的少ない.

コルチゾール・アルドステロン同時産生腫瘍は,アルドステロン単独を産生する腺腫と比較して腫瘍径が大きく(>2cm),耐糖能異常,骨粗鬆症,蛋白尿,心血管イベントを合併する頻度が多い.

心血管系合併症

脳心血管疾患は,単に高血圧のみで起こるのではなく,高アルドステロン血症によるミネラルコルチコイドの活性化を原因としている.

約50%の症例で心血管系臓器障害を合併し,同等に血圧がコントロールされた本態性高血圧に比べて,心肥大の頻度が高い.

若年および高血圧罹病期間が短い症例でも合併症の出現率が高い.

インスリン抵抗性

アルドステロンは骨格筋や脂肪組織および肝臓におけるインスリンシグナルやグルコース取り込みを阻害し,インスリン抵抗性を惹起する(脂肪細胞からのサイトカインの産生,酸化ストレスを介するインスリン作用の抑制).

一方,高インスリン血症はアルドステロン合成を刺激する.

副甲状腺機能亢進症

腎や糞便からのカルシウムやマグネシウムの喪失が増えることで,PTHの分泌が刺激される.

PTH上昇すること自体も心血管イベントのrisk factorと考えられている.
PTH自体がRAS系を刺激し,アルドステロンを増加させることも考えられている.

アルドステロン関連高血圧(aldosterone-associated hypertension)

高血圧症でアルドステロン/レニン比が高値であるが,カプトプリル負荷試験などの負荷試験の結果,原発性アルドステロン症と診断されない.

治療抵抗性高血圧を呈する.

原因として肥満,糖尿病,睡眠時無呼吸症候群,慢性腎臓病などがあり,組織のミネラルコルチコイド受容体が活性化されている.

症候

 高血圧以外には特異的な徴候や症状が認められないことが多い.

高血圧

高血圧の程度はSBP 160~220mmHg,DBP 100~120mmHgが多く,血圧の変動は少ない.治療抵抗性.
1)典型例では,本態性高血圧患者に比べて若く(30~50歳代),高血圧の家族歴なし,低K血症(多飲・多尿・夜間尿など)が特徴.
2)アルドステロンによるNa・水貯留のため,循環血漿量が増加するが,浮腫を伴わないことが特徴.

 妊娠中は比較的血圧コントロールがよいことが多く,出産後に高血圧が悪化するのが特徴.
→妊娠中は,アルドステロン作用に拮抗する何らかのホルモンが母体血中に存在していると考えられている.

非特異的症状

高血圧に伴う頭痛や,低K血症に伴う多尿・夜間尿・筋力低下・筋痙攣などがみられる.

低K血症(約50%)

1)アルドステロンは,腎臓の皮質集合管細胞において,尿細管腔側に発現する上皮性Naチャネル(epithelial sodium channel;ENaC)を活性化させ,尿中Naの再吸収が亢進し,血管側ではNa+-K+ATPaseが活性化される.
→血液内にNaが取り込まれ,上皮細胞にKが排泄される.

2)上皮細胞尿細管腔側のROMK(renal outer medullary potassium channel)を通じて,尿中にKが排泄される.

 筋細胞は過分極状帯になるため,筋力低下や四肢麻痺を生じる.
・K≦3.0mEq/Lの高度低K血症を呈した場合は四肢麻痺・テタニー・不整脈が生じることがある.

 周期性四肢麻痺(periodic paralysis)は左右対称性で,下肢に強い傾向にある.
 過労などが原因となり,安静のみで数時間から1週間くらいで自然に回復することが多い.

 塩分制限や降圧薬内服により低K血症は改善する.

なすび院長
なすび院長

最近では,血清K濃度が正常範囲にとどまる軽症例が増えており,これだけで本態性高血圧との鑑別は困難.

血液検査

1)Na濃度は正常上限程度の上昇

2)低Mg血症

3)代謝性アルカローシス:近位尿細管でHCO3-の再吸収亢進
 近位尿細管でHCO3-の再吸収亢進→代謝性アルカローシス→蛋白がH+を離す→蛋白が陰性となり,Ca2+と結合=Caのイオン型が減り,蛋白結合型が増える→低Ca2+血症→テタニー

4)糖代謝異常(約20%)
 低K血症によるインスリン分泌低下とアルドステロンによるインスリン抵抗性の二つの機序の関与が示唆されている.

医学ノート(なすび用)
スポンサーリンク
なすび院長

勤務医に疲れ,定期非常勤と投資でなんとかしのごうというひっそり医.
好きな分野は,糖尿病・腎臓病です!(゚∀゚)

ネット上で念願のなすびクリニックを作るも,今日も改装中で,いつ再開するのやら・・・
勉強好きで,私用に細々とまとめています.

妻:りんご
長女:いちご
次女:れもん
三女:みかん
事務長:かえる

なすび院長をフォローする
なすびクリニックは今日も改装中!
タイトルとURLをコピーしました