原発性アルドステロン症 診断・治療

スポンサーリンク
なすび医学ノート

primary aldosteronism;PA

総論はこちら↓

個人的なまとめノートで,医療情報を提供しているわけではありません.
診療は必ずご自身の判断に基づき,行ってください.
当ブログは一切の責任を負いません.

診断

スクリーニング対象

1)高血圧+低K血症(利尿薬誘発性を含む)
2)高血圧を伴う副腎偶発腫瘍 (原発性アルドステロン症であることは少なく,非機能性腺腫やコルチゾール産生腫瘍が多い)
3)二次性高血圧が疑われる場合(40歳以下など比較的若年)
4)グレードⅡ以上の高血圧(160/100mmHg以上)
5)難治性の高血圧(3種類以上の降圧薬を服用しても目標血圧まで低下しない)
6)40歳代までの高血圧患者で臓器障害(脳卒中・心肥大・心不全)を伴うケース.
7)睡眠時無呼吸症候群
8)第1度近親以内に原発性アルドステロン症の家族歴を有する(2016年米国ガイドラインで追加)

ホルモン検査

血漿レニン活性(plasma renin activity;PRA,ng/mL/hr)
・レニンのアンジオテンシンを作る能力を評価する.

活性型レニン濃度(active renin concentration;ARC,pg/mL)
・レニンそのものの濃度を測定する
・血漿レニン活性と異なりアンジオテンシノーゲンの量に影響されず,レニンの絶対量を特異的に測定可能

血漿アルドステロン濃度(plasma aldosterone concentration;PAC,pg/mL)
・測定方法により,pg/mLとng/dLの両者が行われており,pg/mL表記の値はng/dLの値の10倍に相当することに注意!ARRを計算する場合はpg/mLに換算する.
・2009年以降,RIA法による測定が主流であったが,2021年4月からはCLEIA法による測定のみとなった.

1)採血は塩分制限をしない状態で,早朝空腹時の安静臥位後の採血が望ましい.
(難しい場合は,まずは随時条件で測定し,適宜より厳密な条件で再検査する)
・臥位より立位で高値になる.
・PACは早朝に高く深夜に低下する日内変動を示す.
2)降圧薬の休薬や変更をせずに,まずスクリーニング検査
(陰性の時は,Ca拮抗薬,α遮断薬に変更して2週間後に再検査を検討)

CLEIA法
①アルドステロンに対するより特異的な抗体を用いていることからアルドステロン以外のステロイドなどとの交差性が極めて低く,従来のRIA法よりPACが低値を示す.
②真の値に最も近似し,海外でも標準的に用いられているLC-MS/MS(液体クロマトグラフィー・ダンデム質量分析法)とも良好な相関を示す.
③CLEIA法による至適カットオフ値がみつかれば,また基準値が変わる可能性あり.

ARR(aldosterone-renin ratio,PAC/PRA)を計算

PAC/PRA比≧200(ARC/PRA比≧40) and PAC≧60pg/mLであればスクリーニング陽性

ARR単独では偽陽性が多くなることから,ARR高値(≧200)とPACが一定値以上(≧60pg/mL)であることを組み合わせたスクリーニングを推奨される.

PAC/PRA比 100~200(ARC/PRA比 20~40)をARR境界域と位置づけ,PAC≧60も満たせば,暫定的に陽性とし,患者のニーズや臨床所見を考慮し,精密検査・治療を個別に検討する.

塩分摂取量が多い症例や高齢者、糖尿病患者ではPRAが低下し、偽陽性になりやすい.

低PRA(<1.0ng/1hr)と高PAC(臥位>100pg/mL,座位>120pg/mL)
→機能確認検査(負荷試験)へ
・低レニン血症による偽陽性を防ぐため,ARR高値かつPAC>120pg/mLを目安としてスクリーニング陽性とする.
・PAC<120pg/mLでもPAは完全には否定できない.

PRA<0.6ng/mL/hrかつPAC>300pg/mL
→PAとほぼ診断できる

降圧薬の休薬

多くの降圧薬は,レニンやアルドステロンの値に影響するが,β遮断薬や直接的レニン阻害薬以外の降圧薬でレニン抑制(PRA≦1ng/mL/hr)のときは,降圧薬の変更や休薬の必要はない.

レニン非抑制(PRA>1ng/mL/hr)でARRがカットオフ値の境界域を示すときには,可能な限り降圧薬を比較的影響の少ないCa拮抗薬(ニフェジピン,アムロジピンなど),α遮断薬(ドキサゾシン)に変更して,2週間後以降に再検査を実施することが推奨される.

昔はRAS阻害薬などは休薬して測定していたが,現在は内服したままで検査することになっている!

1)MR拮抗薬は,PRA・PAC両者の上昇をきたし,PRAへの影響が大きく大きくARRが低下するため,4週間以上の休薬が望ましい.
2)サイアザイド系利尿薬はレニンを上昇させ,アルドステロンも上昇させるが,ARRは相対的に低値になることが多い.

Cushing症候群の合併の検索

デキサメタゾン1mg抑制試験

PAにコルチゾール自律分泌が合併した場合,AVSの診断や治療方針に影響するため,CTで明確な副腎腫瘍を認める場合は,1mgDEX抑制試験の実施が推奨される.

機能確認検査 confirmetory tests

ARRによるPAのスクリーニングの感度は64~94%と良好であるが,偽陽性を30~50%に認めるため,アルドステロンの自律的過剰産生を確認する目的で機能確認検査を実施する.

機能確認検査は少なくとも1種類の陽性の確認が推奨される.
・2種類の機能確認検査の陽性確認は1種類のみの陽性確認よりも特異度が高いと考えられるが,陽性検査数と診断の感度・特異度,費用対効果に関するエビデンスはない.

機能確認検査のいずれかの検査が他と比較して感度・特異度でより優れていることを示すエビデンスはない.

検査の容易さ,安全性の面からまずカプトプリル試験の実施が推奨されるが,症例ごとに個別に実施検査を選択する必要がある.

PAC>100pg/mL,低K血症(K<3.5mEq/L),レニンが検出限界以下(PRA<0.5ng/mL/hr,ARC<2.5pg/mL)のすべてを満たす場合は,機能確認検査は省略してPAの確定診断が可能.

食塩負荷が十分なことを確認する!
(入院では,食塩10~12g/日,3日連続)

カプトプリル負荷試験

感度:70~100%,特異度:68~95%

カプトプリル50mg経口投与
①PAC/PRA比(60分 or 90分)≧200であれば陽性
*ARR 100~200は「ARR境界域」とし,暫定的に陽性とする.
②PAC/ARC比(60分 or 90分)≧200であれば陽性
*ARR 20~40は「ARR境界域」とし,暫定的に陽性とする.

健常人ではACE阻害薬内服によりアンギオテンシンⅡ・アルドステロンが減少し,レニン活性が増加する.

原発性アルドステロン症ではアルドステロンが過剰自律分泌しており,強力かつ持続的にレニン活性が抑制されているため,ACE阻害薬内服後もレニン活性は増加しない.

副作用→血圧低下,稀に血管浮腫

なすび院長
なすび院長

心不全などで他の検査の実施が不可の場合でも比較的安全に施行可能.
外来でも実施可能.

生理食塩水負荷試験

感度:66~92%,特異度:72~97%

生理食塩水 2L/4hr点滴静注→PAC(4時間,仰臥位施行時)≧60pg/mLで陽性
*PAC 12~60pg/mLを「PAC境界域」とし,暫定的に陽性とする.

健常人では生理食塩水により循環血液量が増加し,レニン活性・アルドステロンが抑制される.原発性アルドステロン症ではアルドステロンが過剰自律分泌しており,生理食塩水負荷後もアルドステロンは抑制されない.

なすび院長
なすび院長

比較的簡便だが,コントロール不良の高血圧・腎不全・心不全・重症不整脈・重度低K血症では禁忌

副作用→血圧上昇,血清K低下
*心・腎機能低下例では実施しない.

フロセミド立位負荷試験

感度・特異度データなし

フロセミド40mg静注・2時間立位→PRAmax≦2.0ng/mL/hrであれば陽性

健常人では利尿剤による循環血液量減少(腎灌流量減少)と立位による交感神経系の刺激で ,レニン・アンギオテンシン系の賦活およびアルドステロン分泌増加がおこる.

原発性アルドステロン症では、アルドステロンが過剰自律分泌しており,強力かつ持続的にレニン活性が抑制されているため,フロセミド立位負荷後もレニン活性は増加しない.

副作用→起立性低血圧,血清K低下

経口食塩負荷試験

感度96%(エビデンス不十分),特異度93%(エビデンス不十分)

外来にて24時間畜尿→尿中アルドステロン≧6μg/day(ただし,尿中Na≧170mEq/day)

副作用→血圧上昇,血清K低下

コントロール不良の高血圧・腎不全・心不全・重症不整脈・重度低K血症では禁忌.

畜尿の信頼性不十分,腎不全で疑陽性.

迅速ACTH負荷試験

感度:約98%,特異度:約91%

アルドステロンの分泌刺激は正常では主としてレニン・アンギオテンシン・アルドステロン系に支配されるが,ACTHも若干の刺激因子となる.

レニンの著明に抑制された原発性アルドステロン症ではACTHが主要な調節因子に変わり,ACTH刺激にアルドステロンは過剰反応する(腺腫で多い).
特発性アルドステロン症ではアンギオテンシン依存性のアルドステロン分泌を示し,過剰反応は認めない.

画像診断

副腎腫瘍検出におけるCTとMRIの感度・特異度の差を示す明確なエビデンスはないことから,まずは実施が容易and安価なCTが推奨される.

腹部CT

臨床的にAVS実施が予想される場合は,空間分解能が高く,撮影時間の短縮による患者負担の軽減と副腎静脈の確認が可能な造影ダイナミック multi-detector row CT(MDCT)が推奨される.

*CKDステージG3b以上の例で造影CTを実施する場合は,造影剤腎症の発症リスクを考慮して,検査前の生理食塩水の点滴静注が推奨される.

・アルドステロン産生腺腫(APA)を検出するのが目的.1~2cmと小さい場合が多い.
・5mm以下ではCTでは判断しにくく,APAの20~30%はCTで判断されないとの報告がある.
・特発性アルドステロン症(IHA)は両側副腎皮質の過形成であり,CTで評価できるほどのものではない.

手術を考慮する症例では過大評価せずに,副腎静脈サンプリングによる局在診断を施行し,診断を確実にしたほうが望ましい.

典型的な所見としては,造影前の腺腫は脂肪成分を含むため,低吸収値を示す(CT値は+15以下~マイナス).造影後CTでは正常副腎部分に造影効果が認められるが,腺腫部分は造影効果が弱く,コントラストが著明になる.
・APAとその他の腺腫(非機能性腺腫,subclinical Cushing症候群)との鑑別はCTでは困難.
・稀ではあるが,予後不良な副腎癌の除外診断に有用.

腹部MRI

1)T1強調画像,T2強調画像ともに低信号の腫瘍として描出されるが,解像度はCTに劣る.
・APAは腫瘍径が小さく,また非機能性結節とIHAの合併症例も多く存在することから,画像診断のみでは20~50%は局在診断を誤る可能性がある.

131I-アドステロール副腎シンチグラフィー

副腎腫瘍を認める典型的なPA患者において,AVSが実施困難・不成功・患者が希望しない場合は,補完的にデキサメタゾン抑制副腎シンチグラフィSPECT or SPECT/CTの実施を考慮する.

副腎腫瘍の検出感度は造影CTが副腎シンチグラフィSPECTより優れているが,APA診断の特異度,陽性的中率,陰性的中率は後者がより優れている.

AVSの代替になりうるが,NP-59の集積は主に腫瘍径と相関しアルドステロン産生能との相関が弱い,検査が可能な施設が限定される,耐糖能異常を有する症例での高血糖誘発の懸念などの欠点がある.

副腎静脈サンプリング:adrenal venous sampling;AVS

外科的治療によりアルドステロン過剰の正常化,高血圧の治癒・改善,臓器障害の改善・防止が期待できる片側性PAの診断のために推奨される.
→確実な局在・病型診断にはAVSがCT/MRIより有用.

機能的局在診断法で,適切に遂行された場合はCT/MRIより感度・特異度に優れていることから,手術を考慮する場合はAVSの実施が推奨される.

患者の年齢など一定の要件を満たす明らかな片側副腎腫瘍症例やAVS実施不可能な場合,十分な説明の上でAVSを省略されることも考慮される.
*典型的な臨床所見(低K血症,副腎腫瘍,PAC高値など)を呈する35歳未満の例では片側性の可能性が高いことから,十分なICの上でAVS省略可能.

成功率を向上させる方法

①経験豊富な専門医療施設での実施
②術前のMDCTによる副腎静脈の解剖所見の確認(右副腎静脈の解剖学的走行の確認に有用)
③ACTH負荷(カテーテル挿入の成否判定を容易にする)
④術中造影による副腎静脈へのカテーテル挿入の確認
⑤術中コルチゾール測定の実施(術中にカテーテル挿入の成否を判断できる)

ACTH投与の目的

・検査中のストレスにより引き起こされるアルドステロン分泌変動の緩和
・下大静脈末梢と副腎静脈のコルチゾールの格差を増大し,AVS成功の有無を確認しやすくなる.
・アルドステロン産生腺腫においてアルドステロン分泌を最大まで刺激することで左右差を明確にする.
・微小副腎病変による原発性アルドステロン症の場合,ACTH刺激を行なわない場合患側副腎からのアルドステロン過剰分泌が明らかでないことがあり,診断精度を向上させるためにACTH刺激を行なってからサンプリングを施行する.

副腎静脈へのカーテーテル挿入の成功判定基準

Selectivity Index;SI=副腎静脈と下大静脈or末梢静脈とのコルチゾール濃度の比で判定される.

ACTH負荷前SI≧2,ACTH負荷後SI≧5の場合に成功と判定する.

アルドステロン過剰分泌・左右差の局在判定基準

ACTH負荷後LR(Lateralized ratio:LR=[A/C高値側÷A/C低値側])>4をカットオフ値として手術適応を決定する.
ACTH負荷後CR(Contralateral ratio:CR=[A/C低値側÷A/C下大静脈末梢側])<1を有用なカットオフ値とする報告もあり,手術適応の判断をより厳密にする場合はCR<1を加える.

ACTH負荷後LRが境界域(2~4)である場合
ACTH負荷前後or判定基準間で局在判定が乖離した場合

→CR<1,副腎静脈血中PAC・臨床所見(低K血症,副腎CT所見,年齢など)を考慮して,総合的に局在判定する.
片側性PAを予測する臨床指標:血清K<3.5~3.8,CTにおける径10mm以上の片側副腎腫瘍,35歳未満,女性,ARR>500など

コルチゾールの同時産生を認める場合
血中アルドステロン/コルチゾール比(A/C比)による局在判定に影響する可能性があるため,LRに加えて副腎静脈血中PACやその左右比などを考慮して総合的に局在判定することが推奨される.

治療

早期診断,治療ができれば予後は良好

片側性の場合
・手術治療では,94%で生化学的治癒が期待できる.
・薬物療法では通常,治療を生涯継続する必要がある.
・降圧効果は,副腎摘出術がMR拮抗薬より優れている.
・低K血症是正・長期的な臓器障害の進行・生命予後に対する効果は,副腎摘出術がMR拮抗薬と同じかより優れている.
→APAでは副腎摘出術が第一選択であり,手術希望や手術適応がない場合に薬物療法が代替治療となる.

手術希望や手術適応がない場合
MR拮抗薬を主とする薬物療法が推奨される.
・AVSを試行したPA患者のうち,50~70%は両側性と診断され,薬物療法の適応となる.

手術や薬物療法によりアルドステロン過剰が改善されると,治療効果とともに高K血症,GFR低下を高頻度に認めるため,モニタリングが必須.
*特に治療前に高齢(53~63歳以上),eGFR低値(<58.2~70),健常側アルドステロン分泌抑制,低K血症が該当する場合は,要注意.

片側副腎摘出術

片側性PAでは,病態の治癒,過剰アルドステロン分泌と高血圧の正常化,臓器障害の改善と進展防止が期待できる(生化学的治癒)ため,患側副腎摘出術が推奨される.

生化学的治癒の割合は94%と報告されている.
・通常,PACは術後早期(1週間程度)に有意な低下を認める(CLEIA法では測定感度以下).
・レニンの抑制解除,対側副腎のアルドステロン分泌抑制の解除には,通常1~3ヵ月を要する.

高血圧の治癒率は,約30~52%にとどまり(臨床的治癒),特に高齢者では18%と報告されている.
・高血圧に関わる生活習慣,閉塞性睡眠無呼吸,腎障害,肥満症などの合併によると考えられている.
・術後の高血圧の治癒を予測する因子として,服薬している降圧薬数,高血圧の罹病期間,性別が重要であるが,年齢・腎機能・BMIなども関与する.

手術療法の第一選択は,腹腔鏡手術.

術前

MR拮抗薬は高血圧・低K血症に有用なため,術前の薬物治療の第一選択薬.

血圧コントロールが不十分なら,Ca拮抗薬を使用する.

良好な周術期管理のために術前に脳MRIや心エコーなどで臓器障害に関する全身評価を行い,心血管系合併症を評価しておく.

術後

術後にはK補充やスピロノラクトンは中止する.

術後には血中アルドステロン低下により,循環血漿量が減少し,初期に腎機能が低下しやすい.
・PAC高値と低K血症が術後初期のGFR低下の重要な予測因子
・術前に腎機能障害がある場合は,Cr・Kが上昇するため,注意が必要.
*長期的には腎機能低下を抑制する.

血圧は週から年単位で改善する.高血圧歴が5年以上,本態性高血圧の合併,腎障害の合併,スピロノラクトン不応例では血圧低下が不良だが,降圧薬が減量できるなどコントロールは改善する.

レニンの抑制は,術後1~3ヶ月程度遷延する.

術後,高K血症が持続し,長期に持続することがある(約10%).
→定期的な経過観察と必要に応じた薬物治療が必要.

コルチゾール同時産生

1mgDEX抑制試験を含む複数方法で術前に評価した報告では,20%が術後副腎不全を発症している.
→過剰の程度にあわせて,術中・術後にグルココルチコイド補充を開始する.

①腫瘍摘出時にヒドロコルチゾン100~200mg静注後,同量を24時間かけて点滴静注し,翌日からは症状をみながら減量を行う.
②15~20mg/dayの維持量へ漸減後は,身体症状や血中ACTHを参考に副腎皮質機能回復が期待できる10mg/dayへの減量を試み,10mg/day以下において健側副腎の機能を評価して休薬する.

薬物療法

両側性PAや手術の適応・希望がない場合は,MR拮抗薬を中心とする薬物療法を行う.

薬物療法では,血圧と血清K濃度の正常化,PRA抑制の解除を目安にMR拮抗薬を投与するとともに,腎機能障害などの臓器障害の改善や増悪に関する慎重な経時的な評価が必要.

高血圧や低K血症の管理とレニン抑制解除(PRA≧1ng/mL/hr)を目安にすれば,心腎血管リスクを本態性高血圧と同等まで改善できることが報告されている.

1)SPRLはEPLより降圧作用が強く,高血圧や心不全での臓器保護作用が示されている.
2)EPLはMRへの選択性が高いことから,女性化乳房などの性ホルモン関連副作用が少ない.
3)PAの長期予後に対して両者の治療効果に差があることを示すエビデンスはない.

通常の降圧薬により血圧管理が良好で血清K濃度が正常な場合でも,アルドステロン過剰状態に対する特異的治療を行うことが推奨される.
・アルドステロン過剰状態自体に組織障害性がある.
・診察室血圧が良好でも仮面高血圧の可能性がある.
・正常高値や高値血圧であっても将来の高血圧発症リスクや心血管イベントリスクが上昇しうる.

降圧効果が不十分な場合は,他の降圧薬を積極的に使用する.
・Ca拮抗薬→副腎からのアルドステロン分泌に関与する細胞内へのCa流入を阻害する
・ACB/ACEI→効果は少ないが,IHAではAngⅡに対する分泌反応性が亢進しているので有効
・塩分制限

ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬 Mineralocorticoid receptor antagonist;MRA
腎臓の遠位尿細管および接合集合管の基底側細胞膜を通って,細胞内に入り,ミネラルコルチコイド(アルドステロン)の...

スピロノラクトン spironolactone;SPRL

12.5~25mg/日より開始(最大400mg/日).

1)安価で,作用時間が長く,1日1回の投与でよい.
2)MRに対する親和性が高く強いMR拮抗作用がある.
3)アンドロゲン受容体拮抗作用やプロゲステロン受容体刺激作用のため,男性には女性化乳房,閉経前女性では月経不順などの性ホルモン関連副作用が多い.
4)K製剤との併用が可能(併用注意)

エプレレノン eplerenone;EPL

セララ®
添付文書上は1日1回25mg(最大100mg/日).

MRに対する親和性が低く,MR拮抗作用は弱いが,MR選択性が高く,性ホルモン関連副作用は極めて少ない.

1)投与量は血圧ではなく,血清Kに基づいて決定する.
2)蛋白尿を呈する糖尿病患者には投与禁忌とされる
3)降圧効果以外に臓器保護および代謝改善作用を有する.
4)K製剤との併用が禁忌

エサキセレノン Esaxerenone

ミネブロ®

エプレレノンと同様にK製剤との併用は禁忌だが,アルブミン尿または蛋白尿を伴う糖尿病患者や中等度の腎機能障害(eGFR 30~59)のある患者には慎重投与となっている.

妊娠中・妊娠希望の女性の場合

高血圧は,妊娠時使用が推奨される降圧薬(αメチルドパ・ヒドララジン・ラベタロール,20週以降はニフェジピンも可)を用いて治療する.
→治療が困難で,治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合は,MR拮抗薬の投与を考慮する.
*スピロノラクトンは,他剤に比べ抗アンドロゲン作用が強いため,妊娠初期は避ける.

低K血症はK製剤による補正を行う.

精査を希望しないスクリーニング陽性の場合

スクリーニング陽性で機能確認検査を行わない場合
MR拮抗薬を含む降圧薬治療を考慮する.
PAの典型的な所見を呈する場合は,MR拮抗薬の使用が推奨される.

スクリーニング陽性で機能確認検査陰性の場合
本態性高血圧として適切な治療を行うが,機能確認検査陰性でもPAの可能性を完全には否定できないため(感度85~95%),慎重な経過観察が必要.

合併症の評価

・脳MRIや心臓超音波検査などの臓器障害に関する系統的な評価が必要.

なすび医学ノート
スポンサーリンク
なすび院長

医療に疲れ、現場から離れたどろっぽ医ε- (´ー`*) フッ
ネット上で念願のなすびクリニックを作るも,今日も改装中で,いつ再開するのやら・・・
医学勉強などの日々のことをまとめています。
なんちゃって内科・糖尿病・腎臓病専門医です!(゚∀゚)

健康が一番の節約になる!これがモットー。
健康のためには、「自分を大切にすること」「生活習慣を見直すこと」「健診を受けること」が3本柱です!

妻:りんご夫人
長女:いちご
次女:れもん
事務長:かえる

もう少しで3児の父。とにかくかわいいε- (´ー`*)
twitterやっています(余裕がでてくるまで鍵垢)↓

なすび院長をフォローする
なすび院長をフォローする
なすびクリニックは今日も改装中!
タイトルとURLをコピーしました