感染後咳嗽(かぜ症候群後咳嗽) Post-viral cough

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なすび医学ノート

個人的なまとめノートで,医療情報を提供しているわけではありません.
診療は必ずご自身の判断に基づき,行ってください.
当ブログは一切の責任を負いません.

かぜ症候群or気道感染の後から3週以上咳嗽が続き,他の遷延性・慢性咳嗽の原因となる疾患がない場合

胸部画像検査や呼吸機能検査に異常は認めない.

通常,自然軽快する.

咳嗽が遷延しており,睡眠障害,胸痛,不安,抑うつ,QOL低下につながるため,咳嗽を軽減することが重要.

疫学

遷延性咳嗽・慢性乾性咳嗽の大体50%?.

女性に多い.

年齢は24~74歳で,中央値は65歳.

咳嗽発生の時間帯は,昼間もみられるが,就寝前~夜間・朝が中心.

病態

十分に明らかになっていない.
カプサイシン咳感受性は一般に亢進している.

ウイルスや細菌感染での急性咳嗽は,それ自体が気道上皮に影響を与え,咳嗽を遷延化させる.

かぜ症候群などのウイルス感染時,気道上皮のニュートラルエンドペプチターゼ(サブスタンスPを分解する酵素)活性低下が報告されている.
・C線維からは化学的に刺激されサブスタンスPが遊離され,迷走神経終末のrapidly adapting receptors(RARs)の興奮性を高め,咳嗽を発生させる.

ウイルスによる気道感染時,ヒスタミン分解酵素であるヒスタミン-N-メチルトランスフェラーゼの酵素活性が低下する.
・内因性咳嗽誘発物質として,プロスタグランジンとヒスタミンが知られている.

ウイルス感染後の気道上皮傷害により知覚神経が露出することも影響している.

咳受容体からの刺激は,求心性知覚神経を介して,咳中枢やその上位にある大脳皮質に影響する.

咳嗽が既存の胃食道逆流を悪化させ,咳嗽を遷延化させると考えられる.

診断

問診(ASAHI-N)

A:ACE inhibitor内服の有無
→ACE阻害薬の咳嗽

S:smoking(現在喫煙,過去喫煙)の有無
→慢性気管支炎,喫煙による咳嗽

A:allergy(小児喘息,花粉症,アレルギー疾患の家族歴など)の有無
→咳喘息,アトピー咳嗽,喉頭アレルギー

H:heartburn(胸焼け;QUEST問診票,Fスケール問診票)の有無
→胃食道逆流による咳嗽

I:infection(家庭・学校・職場での感染症と地域での感染症の流行状況)の有無
→感染症による咳嗽,感染後咳嗽

N:nasal and paranasal sinus disease(鼻・副鼻腔疾患)の有無
→鼻・副鼻腔疾患による咳嗽,後鼻漏による咳嗽

身体診察(p-know)

p:postnasal drip(後鼻漏)の有無
→副鼻腔炎による咳嗽,後鼻漏による咳嗽

k:kyposis(脊椎後弯)の有無
→胃食道逆流による咳嗽

n:nasal voice(鼻声)の有無
→鼻・副鼻腔疾患による咳嗽

o:obesity(肥満)の有無
→胃食道逆流による咳嗽

w:wheeze(高調性連続音)の有無
→気管支喘息(咳優位型喘息を含む)
・咳喘息ではwheezeは聴取されない
・咳優位型喘息は,症状の主体が咳嗽である気管支喘息

臨床検査

末梢血好酸球数(増加)
→咳喘息,アトピー咳嗽,喉頭アレルギー

血清IgE値
→咳喘息,アトピー咳嗽,喉頭アレルギー

呼吸機能検査(末梢気道閉塞,閉塞性障害)
→咳喘息

鼻汁好酸球検査陽性
→咳喘息,アレルギー性鼻炎

喀痰細胞分画検査
 好酸球比率が有意に増加→咳喘息,アトピー咳嗽
 好中球比率が有意に増加→副鼻腔気管支症候群,後鼻漏による咳嗽,気管・気管支結核

副鼻腔CT検査
→鼻・副鼻腔疾患による咳嗽,後鼻漏による咳嗽

診断基準

下記の4つをすべて満たす.

1.かぜ症候群あるいは気道感染が先行し,咳嗽が3週以上続いている.
2.胸部X線写真に咳嗽の原因となる異常所見がない
3.他の遷延性・慢性咳嗽の原因が除外される.
(咳喘息,アトピー咳嗽,胃食道逆流による咳嗽,喉頭アレルギー,副鼻腔気管支症候群,ACE阻害薬による咳嗽,喫煙による咳嗽など)
4.非特異的咳嗽治療薬により,咳嗽が改善する.
(ヒスタミンH1受容体拮抗薬,麦門冬湯,吸入抗コリン薬[保険適応外],中枢性鎮咳薬など)

治療

結果的には自然軽快するが,咳嗽が続くことにより,睡眠障害,胸痛,不安,抑うつ,QOL低下につながるため,咳嗽を改善することが重要.

咳嗽が続くことにより,さらに気道傷害が惹起すると考えられる.

ヒスタミンH1受容体拮抗薬+麦門冬湯+非麻薬性中枢性鎮咳薬を併用した3剤カクテル療法(1週間)が有効.
*短期間の使用に限る.
*非麻薬性中枢性鎮咳薬は精神依存を起こすことがあり,安易に処方しない.

麦門冬湯

気道感染時のニュートラルエンドペプチターゼ活性低下抑制作用がある.

ヒスタミンH1受容体拮抗薬

抗コリン薬

チオトロピウムは,C線維にあるTRPV1(transient receptor potential vanilloid 1)受容体を介して,モルモットの咳嗽反射を抑制するという報告がある.

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