間質性肺炎 pneumonitis,間質性肺疾患 interstitial lung disease;ILD

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なすび医学ノート

個人的なまとめノートで,医療情報を提供しているわけではありません.
診療は必ずご自身の判断に基づき,行ってください.
当ブログは一切の責任を負いません.

肺の間質と呼ばれる肺胞(隔)壁に,炎症や線維化病変の主座を置く疾患の総称.

原因の明らかな疾患と原因不明の疾患に大別される.

改訂 ATS/ERS 国際的多分野合意分類

主要特発性間質性肺炎

慢性線維性間質性肺炎

特発性肺線維症 idiopathic pulmonary fibrosis;IPF
特発性非特異性間質性肺炎 idiopathic nonspecific interstitial pneumonia;iNSIP

喫煙関連間質性肺炎

呼吸細気管支炎間質性肺疾患 respiratory bronchiolitis-associated interstitial lung disease;RB-ILD
剥離性間質性肺炎 desquamative interstitial pneumonia;DIP

急性/亜急性間質性肺炎

特発性器質化肺炎 cryptogenic organizing pneumonia;COP
急性間質性肺炎 acute interstitial pneumonia;AIP

稀少特発性間質性肺炎

特発性リンパ球性間質性肺炎 idiopathic lymphocytic interstitial pneumonia;LIP
特発性 PPFE idiopathic pleuroparenchymal fibroelastosis iPPFE

分類不能型特発性間質性肺炎 unclassifiable idiopathic interstitial pneumonias

特発性間質性肺炎 idiopathic interstitial pneumonias;IIPs

原因不明の間質性肺炎.指定難病の1つ.

9つの疾患に分類されているが,なかでも,特発性肺線維症は最も頻度が高く,良性肺疾患でありながら,5年生存率が約30%と予後不良.

自己免疫性間質性肺疾患 Connective Tissue Disease-Associated Interstitial Lung Disease ;CTD-ILD

進行性線維化を伴う間質性肺疾患 progressive fibrosing interstitial lung disease;PF-ILD

病態名.

2019年にINBUILD試験において,ニンテダニブの効果が報告され,保険適応が認められた.

過敏性肺炎 Hypersensitivity Pneumonitis;HP

免疫学的な機序で発症する原因の明らかな間質性肺疾患.

鳥関連抗原や真菌・細菌,無機物(イソシアネート)などの特定の抗原を反復吸入して感作が成立した個体において,再び同一の抗原を吸入した際に肺局所で生じるⅢ型・Ⅳ型アレルギー反応が発症に関与する.

2020年のガイドラインでは,非線維化性・線維化性に分類され,「線維化」が分類の基準となった.

抗原暴露があれば,病理にて決定的でない場合でもBALでリンパ球分画が多いならば確信度が上がりえる.

非線維化性

抗原や発症日が明らかであることが多く,急性・亜急性に発症して抗炎症薬にて改善しやすい.

線維化性

検索しても抗原がわからず,BALのリンパ球増加がなく,蜂巣肺を来たしてくることも稀ではなく,IPFなどの線維化性ILDと区別がつかないものも多い.

蜂巣肺があるタイプの5年生存率は約50%と非常に悪い.

薬剤性間質性肺炎 Drug induced interstitial pneumonia

診断

ILDを早期から正確に判断し,抗線維化薬による治療を提供することが重要.

ILDを疑う

身体診察

ILDは,下葉背側に病変があることが多く,聴診は必ず背側で行う.
・fine cracklesの有無,どのタイミングで聴こえるかを確認.
・coarse cracklesがまじっていないかも確認(喀痰が出るような病態の有無).
・強制呼出時にwheezesやrhonchiが聞こえないかどうかも確認(気道疾患の合併の有無).

検査

肺胞上皮由来のマーカー
KL-6(Krebs von den Lungen-6),SP(surfactant protein)-D,SP-A,LDH

炎症所見
血算,赤沈,CRP,フィブリノーゲン,α2分画,フェリチン

栄養状態
アルブミン,ChE

動脈血液ガス
呼吸不全の有無を評価.
ILDは末期にならないとⅡ型呼吸不全にならない(あれば他疾患の合併を疑う)

胸部単純X線

容積減少の有無をみる→おおよその経過を推定する.
(容積減少ない→急性,容積減少あり→線維化を伴う慢性)

胸部HRCT(高分解能CT:high-resolution CT)

通常2mm以下のスライス厚で撮影.

UIP(usual interstitial pneumonia),propable UIP,indeterminate for UIP,alternative diagnosisの4つのパターンに分類される.

呼吸機能検査

VC,FVCで行う.

初診時や病態が変化した際には,肺気量分画としてVC(FVC)のみならず,全肺気量(TLC),残気量(RV)の測定をすることが望ましい.
・気道疾患を合併していると,RVが増加することがあり,VCの低下の原因が線維化だけでない可能性を考える.

6分間歩行試験

30mの平坦な直線コースを6分間にできるだけ長い距離を歩く.

原因が明らかな間質性肺炎の診断

問診

膠原病,感染症,薬物,職業暴露,家族性など

身体診察

身体診察では,顔面(ヘリオトロープ疹・蝶形紅斑など),手(ばち状指・Gottron徴候・メカニックバンド・逆Gottron徴候・爪上皮出血点・爪囲紅斑・Raynaud現象など),肘・膝・耳介の皮疹など,関節の腫脹などを確認する.

自己抗体

膠原病を示唆する臨床所見のない間質性肺炎でも,一定の頻度で検出される.
経過中に膠原病の症状が出現してくることがある.

リウマトイド因子,抗核抗体(染色パターンまで),抗CCP抗体
MPO-ANCA,PR3-ANCA
抗アミノアシルtRNA合成酵素抗体(ARS抗体),抗MDA5抗体など

尿検査

血尿,蛋白尿→腎病変の合併の評価

喀痰検査

一般細菌+抗酸菌検査

心エコー

肺高血圧症のスクリーニング

ILDに肺高血圧症を合併した際には,第3群だけでなく,第1群,第1’群,第2群の可能性を考える.

気管支鏡検査

BALの評価は,外観・細胞成分・非細胞成分に分けられる.

細胞成分

細胞数,細胞分画,細胞診を行う.

フローサイトメトリーでは主にCD4/CD8比の測定を行う.

細胞分画に関しては,リンパ球15%以上,好中球3%以上,好酸球1%以上を細胞増加とする.

非細胞成分

各種培養,Pneumocystis jirovecii,各種ウイルス,抗酸菌などのPCR検査

クライオ生検 transbronchial lung cryobiopsy;TBLC

クライオプローブの先端が凍り,組織を凍結させ,検体を採取する.

軟性気管支鏡を用いて鎮静・自発呼吸下に施行可能.

検体は1cm弱のものが得られるため,外科的肺生検には劣るが,従来の経気管支肺生検よりは圧倒的に病理学的診断が可能になる.

内科的に気管支鏡があれば可能であり,必要があれば何度でも行える.

外科的肺生検 surgical lung biopsy;SLB

病理学的に評価するために十分な組織が採取できるため,必要時に呼吸器外科に依頼する.

現実的には呼吸器外科が不在の施設も多く,検体採取が何度も行えない,高齢者・呼吸機能低下者に施行困難などの問題がある.

早急な診断が必要 and 診断のために大きな組織が必要である場合が第一選択

multidisciplinary discussion;MDD

臨床的に強くIPFが疑われる場合は,呼吸器内科医,放射線科医,病理医,膠原病内科医,腎臓内科医などによるディスカッションを行う.

必要があれば,気管支肺胞洗浄,外科的肺生検を行う(しなくても,IPFの診断はできる)

治療

炎症が主体の間質性肺炎の治療には,ステロイド・免疫抑制薬が使用され,奏功する例も多い.

IPFには,ステロイド・免疫抑制薬は無効であり,抗線維化薬(ピルフェニドン・ニンテダニブ)が使用される.

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