個人的なまとめノートで,医療情報を提供しているわけではありません.
診療は必ずご自身の判断に基づき,行ってください.
当ブログは一切の責任を負いません.
評価
qSOFAスコア
1)呼吸数 22回/分以上
2)意識変容(GCS<15)
3)収縮期血圧 100mmHg以下
A-DROPシステム
市中肺炎
医療・介護関連肺炎
A(Age):男性70歳以上,女性75歳以上
D(Dehydration):BUN 21mg/dL以上または脱水あり
R(Respiration):SpO2 90%以下(PaO2 60torr以下)
O(Orientation):意識変容あり
P(Blood Pressure):SBP 90mmHg以下
軽症→上記5つの項目のいずれも満たさないもの
中等度→上記項目の1つまたは2つ満たすもの
重症→上記項目の3つを有するもの
超重症→上記項目の4つまたは5つを満たすもの.ただし,ショックがあれば1項目のみでも超重症とする.
I-ROAD
院内肺炎
I(Immunodeficiency):悪性腫瘍または免疫不全状態
R(Respiration):SpO2>90%を維持するためにFiO2>35%を要する
O(Orientation):意識レベルの低下
A(Age):男性70歳以上,女性75歳以上
D(Dehydration):乏尿または脱水
3項目以上が該当すると重症群(C群)
2項目以下でCRP≧20mg/dL,胸部X線画像陰性の拡がりが一側肺の2/3以上に該当すれば中等度群(B群),該当しなければ軽症群(A群)
耐性菌のリスク因子
1)過去90日以内の経静脈的抗菌薬の使用歴
2)過去90日以内に2日以上の入院歴
3)免疫抑制状態
4)活動性の低下:PS≧3,バーセル指数<50,歩行不能,経管栄養または中心静脈栄養法
2項目以上で耐性菌のハイリスク群

市中肺炎(CAP)
治療の場と治療薬の決定
1)敗血症の有無の判断(qSOFAスコア)
2)重症度の判断(A-DROP)
軽症~中等症
外来→外来患者群治療
中等症~重症
一般病棟入院→一般病棟入院患者群治療
敗血症,重症~超重症
ICUまたはこれに準ずる病室へ入室→ICU入室患者群治療
院内肺炎(HAP),医療・介護関連肺炎(NHCAP)
患者背景のアセスメント
1)誤嚥性肺炎のリスクの判断
2)疾患終末期や老衰状態の評価
易反復性の誤嚥性肺炎のリスクあり or 疾患末期や老衰の状態
個人の意思やQOLを考慮した治療・ケア
治療薬の決定
1)敗血症の有無の診断(qSOFAスコア)
2)重症度の判断(HAPではI-ROAD,NHCAPではA-DROP)
3)耐性菌リスクの判断
重症度が高くない and 耐性菌リスクなし
A-DROPで中等症以下,I-ROADで軽症
耐性菌のリスク因子で1項目以下
Escalation治療
重症度が高い or 耐性菌リスクあり
A-DROPで重症以上,I-ROADで中等症以上 or
耐性菌のリスク因子で2項目以上
De-escalation単剤治療
重症度が高い and 耐性菌リスクあり
A-DROPで重症以上,I-ROADで中等症以上 and
耐性菌のリスク因子で2項目以上
De-escalation多剤治療
HAP/NHCAPにおける主な検出菌
耐性菌リスクなし
肺炎球菌
MSSA
グラム陰性腸内細菌科細菌(クレブシエラ属,大腸菌など)
インフルエンザ菌
口腔内レンサ球菌
耐性菌リスクあり
(上記の菌種に加え,下記の菌を考慮する)
MRSA
緑膿菌
ESBL産生菌
AmpC型β-ラクタマーゼ産生菌
エンピリック治療抗菌薬
Escalation治療
・敗血症なしで,重症度が高くない
かつ
・耐性菌リスクなし
内服薬(外来帰宅が可能な場合)
■β-ラクタマーゼ阻害薬配合ペニシリン系薬+マクロライド薬
スルタミシリン
アモキシシリン・クラブラン酸
クラリスロマイシン
アジスロマイシン
■レスピラトリーキノロン
ガレノキサシン
モキシフロキサシン
レボフロキサシン
シタフロキサシン
トスフロキサシン
*結核に対する抗菌力を有しており,使用に際しては結核の有無を慎重に判断する.
注射薬
■スルバクタム・アンピシリン
■セフトリアキソン,セフォタキシム
*嫌気性菌感染を疑う際は使用を避けるか,クリンダマイシンまたはメトロニダゾールを併用する.
■レボフロキサシン(非定型肺炎が疑われる場合)
De-escalation単剤治療
・敗血症あり,または,重症度が高い
または
・耐性菌リスクあり
注射薬(単剤投与)
■タゾバクタム・ピペラシリン
■カルバペネム系薬
メロペネム
ドリペネム
ビアペネム
イミペネム
シラスタチン
■第4世代セフェム系薬
セフォプラゾン
セフェピム
セフピロム
*嫌気性菌感染を疑う際は使用を避けるか,クリンダマイシンまたはメトロニダゾールを併用する.
■ニューキノロン系薬
レボフロキサシン
シプロフロキサシン
パズフロキサシン(高用量)
*嫌気性菌感染を疑う際は使用を避けるか,クリンダマイシンまたはメトロニダゾールを併用する.
De-escalation多剤治療
・敗血症あり,または,重症度が高い
かつ
・耐性菌リスクあり
注射薬(2剤併用投与,ただしβ-ラクタム系の併用は避ける)
■タゾバクタム・ピペラシリン
■カルバペネム系薬
■第4世代セフェム系薬
■ニューキノロン系薬
■アミノグリコシド系薬
アミカシン
トブラマイシン
ゲンタマイシン
MRSA感染を疑う場合は,抗MRSA薬を追加
リネゾリド
バンコマイシン
テイコプラニン
アルベカシン
フォローアップ
効果判定
3日後(重症例は2 日)の判定;初期抗菌薬の有効性の評価
7日以内の判定;有効性の評価や終了時期の決定
14日以内の判定;終了時期や薬剤変更の決定
抗菌薬投与終了時期の目安
感染防御機能が正常と考えられる場合(明らかな基礎疾患が無い場合)
下記効果判定基準4項目中3 項目以上を満たした場合
感染防御機能が冒されていると思われる場合(基礎疾患がある場合)
下記判定基準4項目中3項目以上を満たした4日後
効果判定の指標と基準
1.解熱(目安;37℃以下)
2.白血球増加の改善(目安;正常化)
3.CRP の改善(目安;最高値の30 %以下へ低下)
4.胸部X 線陰影の明らかな改善
点滴静注から経口投与への切り替え時期
米国感染症学会のガイドライン(2003)では以下の状態になった場合に,経口薬に変更できるとしている.
1)臨床的改善
2)薬物摂取が可能
3)血行動態が安定
4)胃腸管が機能
内服薬へ変更するときは,
ジェニナック (Garenoxacin:GRNX)200mg 2T 1×朝食後