ニューモシスチス肺炎 Pneumocystis pneumonia;PCP

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なすび医学ノート

旧名:カリニ肺炎

個人的なまとめノートで,医療情報を提供しているわけではありません.
診療は必ずご自身の判断に基づき,行ってください.
当ブログは一切の責任を負いません.

細胞性免疫が低下した際に発症する日和見感染症.

病態

肺胞上皮に付着して存在するPneumocystis jirovecii(P. jirovecii)表面のβ‒D‒グルカンなどが,宿主の免疫反応を誘発し,炎症性サイトカインによる肺胞上皮や血管内皮の障害を引き起こすことが主な機序と考えられている.

検査

血算

リンパ球数減少
・特にCD4陽性リンパ球の著減(200個/μL以下)が最も重要な所見であり,これを欠く場合は他の疾患を鑑別する.

血液生化学

LDH:増加は多くの症例でみられるが,特異的な所見ではない.

CRP:軽度―中等度の増加.

血液ガス

低酸素血症は必須.
・陰影が出現する段階では,室内気でPaO280mmHg以下に減少していることが多い.
・酸素吸入によっても低酸素血症は改善しにくい傾向がみられる.

血清β‒D‒グルカン値

PCP の診断において血清β‒D‒グルカン値は感度が高く,ヒト免疫不全ウイルス(human immunodeficiency virus;HIV)患者ではPCPのほぼ全例で陽性となるとされる.
・100pg/mL以上といった高値を示す.
・診断に有用だが,他の真菌症との鑑別が必要.
・治療による症状回復後もβ–D-グルカンの改善は遅れる傾向がみられる.

KL-6

肺胞上皮の損傷を表すKL-6も上昇する.
*特異的な所見ではない.

HIV検査

CD4陽性リンパ球数の著減の大半はHIV感染による
→本人の了解を得たうえでHIV抗体検査を行う.

細胞診(BALF)

Diff‒Quick染色やGrocott染色により菌体が証明されれば診断は確定される.

画像

胸部X線写真

両側性,びまん性のすりガラス様陰影が基本.
・すりガラス様陰影の部分では血管陰影が透見される.
・病状の進行に伴い浸潤影に移行し,血管陰影もみえなくなる.
・時に片側性,あるいは限局性の陰影を呈する.

胸部CT

両側肺野に,肺区域とは無関係に不規則に広がる地図状の濃度上昇(すりガラス様).
・すりガラス様陰影の中にしばしば細かな網目状陰影がみられる.
・進行するとすりガラス様陰影は次第に浸潤影となり,主軸気管支周辺を中心とした濃度上昇域が胸膜に平行した帯状の影を形成する傾向がみられる.

単発性or多発性の嚢胞が時に出現し,これに伴い気胸も発生する(5%程度).

治療・予防

非HIV患者における治療は,第一選択としてST合剤が使用され,追加治療として副腎皮質ステロイドの併用が集中治療・酸素投与の期間を短縮させると報告されている.
*非HIV患者におけるPCPの死亡率はHIV患者と比較して高く,膠原病疾患ではPCPの死亡率は 45.7%と高率とされる.

予防投薬においても,ST 合剤が高い効果を示すことから第一選択として推奨されており,ST合剤が使用できない場合は,アトバコンやダプソンの内服や,PM吸入が選択される.

抗菌薬

ST合剤

バクタ® 第一選択薬.

治療期間はAIDS症例では3週間,非AIDS症例では2週間.
肺炎改善後,再発防止にST合剤の予防内服を行う.

AIDSでは,副作用の発現率は高い(50%以上)

ペンタミジン Pentamidine;PM

ペンタミジン静注(ベナンバックス®)

ST合剤が使用できない場合

予防的投与:月に1回.1回300を注射用水3-5mLに溶解し、吸入装置を用いて30分かけて吸入.

HIV患者におけ吸入は,忍容性は良好であるが,CD4 細胞数 100/mm3 以下のグループでは ST合剤やダプソンと比較して効果が低いとされる.

エアロゾル拡散が到達しない肺内領域においては,PCP の予防効果が認められない可能性も指摘されている.

アトバコン

サムチレール®

作用機序はST合剤とは異なり、ニューモシスチス・イロベチーのミトコンドリア内膜に存在する電子伝達系に選択的に作用する。
・4つ存在する電子伝達系複合体のうち,複合体Ⅲに対して作用し.最終的にATP合成を阻害すると考えられている.

ダプソン Dapsone 

副腎皮質ホルモン

PaO270mmHg以下の場合は副腎皮質ホルモンを併用する.

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