下垂体腫瘍 pituitary tumor

スポンサーリンク
なすび医学ノート

個人的なまとめノートで,医療情報を提供しているわけではありません.
診療は必ずご自身の判断に基づき,行ってください.
当ブログは一切の責任を負いません.

偶発的下垂体腫瘍(インシデンタローマ,incidentaloma)
慢性頭痛,めまい,頭部外傷,健診など下垂体腫瘍による症候(視野異常・下垂体機能低下症など)以外の理由で施行された画像検査(CT・MRI など)で偶然に発見された下垂体部腫瘍 or 腫瘤性病変.

おすすめサイト

間脳下垂体機能障害の診断と治療の手引き(平成30年度改訂)
http://www.acromegaly-center.jp/medical/pdf/treatment_guidance.pdf

病態

腫瘍性疾患
下垂体腺腫,頭蓋咽頭腫,下垂体後葉腫瘍(下垂体細胞腫など),髄膜腫,脊索腫,神経芽腫,胚細胞腫,悪性リンパ腫,転移性下垂体腫瘍,ランゲルハンス細胞組織球症

腫瘍類似疾患
ラトケ嚢胞,くも膜嚢胞

非腫瘍性疾患
下垂体炎(リンパ球性下垂体前葉炎・漏斗下垂体後葉炎・汎下垂体炎),IgG4関連疾患,サルコイドーシス,多発血管炎性肉芽腫症,感染性肉芽腫(真菌・結核・細菌性など),下垂体膿瘍,下垂体過形成,脳動脈瘤

下垂体腺腫

非機能性の下垂体腺腫の場合,他の疾患との鑑別が画像では難しく,病理組織学的な検索が必須となる.

大部分は,良性腫瘍とされているが,clinically aggressive adenomaとされる組織亜型の存在が知られている.

下垂体前葉ホルモンや下垂体前葉細胞の分化に関与する転写因子の発現の有無を免疫組織化学的に検索する必要がある.
・腫瘍増殖能を規定する因子として,Ki-67 labeling indexを記載することとなり,下垂体腺腫の多くはKi-67 labeling index 1~2%程度.

TSH産生下垂体腺腫 TSHoma

非常に稀であるが,臨床的にはTSH不適合分泌症候群として発見されることが多く,甲状腺ホルモン不応症との鑑別が困難なケースがある.

薬物治療として,ソマトスタチン受容体作動薬であるランレオチドが本邦で保険収載され,治療薬として承認された.

プロラクチノーマ

原因として胚細胞性変異は知られていたが,体細胞変異は長らく不明であったが,SF3B1遺伝子変異が19.8%に同定された.

クッシング病

転移

・転移経路としては,血行性,頭蓋骨からの直接浸潤,髄膜播種があるが,血行性転移が一番多い.
・頭蓋内転移性腫瘍の0.4%,外科的治療が行われた下垂体腫瘍患者の1%,剖検例の5%の患者で認められる.
・原発巣としては,肺癌が最も多く(36.8%),乳癌が22.9%,腎癌が7%,消化器癌が6.5%,甲状腺癌は2%と本邦の報告がある.

症候

症状

・視野障害
・複視
・頭痛
・意識障害
・嘔気,嘔吐
・食欲低下
・尿崩症

診断

病変に伴う症候を評価するため,内分泌検査で下垂体機能異常の有無を,眼科的検査で視機能障害の有無を調べる.

同時に可能な限り鑑別診断のための検査を行う.

内分泌検査

採血は早朝空腹時に行い,血中のGH・IGF-1・PRL・TSH・FT4・ACTH・コルチゾール・LH・FSH・テストステロン(男性の場合)・E2(女性の場合)を測定する.

必要に応じて適切な負荷試験を行う.

視野検査

視野検査は静的視野検査の感度が高い.

下垂体MRI

鞍隔膜や第三脳室の漏斗陥凹に進展するダンベル型が,下垂体転移に特異的な所見.

治療

下垂体腺腫以外

画像上,下垂体腺腫以外の病変が疑われる場合,疑われる各疾患の治療方針に基づき,治療方針を立てる.

無症状の場合には経過観察を基本とする.
*若年者は増殖能の高い腺腫や他の腫瘍性病変の可能性がある.
*高齢者も悪性腫瘍の可能性がある.
→経過観察を行う場合はより慎重な対応が必要.

下垂体腺腫

下垂体腺腫が画像上強く疑われた場合には内分泌検査を行う.

機能性下垂体腺腫

それぞれの機能性下垂体腺腫の治療指針に従う.

非機能性下垂体腺腫

画像診断(主に MRI)上,腫瘍が視神経・視交叉を圧迫しており,眼科的な検査で視機能障害が明らかな場合は手術療法が推奨される.

画像診断(主に MRI)上,腫瘍が視神経・視交叉に接触あるいはこれを圧迫しているが,眼科的な検査で明らかな視機能障害が証明できない場合は相対的手術適応とする.
*年齢・合併症・全身状態などに配慮し,十分なインフォームドコンセント(IC)を行った上で,患者が手術を希望する場合には手術を実施する.
*手術療法を選択しない場合には経過観察とする.

上記以外の場合は原則として定期的な経過観察とする.
→当初は3か月後およびその6か月後とし,以後は1年毎にMRIと血中下垂体前葉ホルモンおよびその標的ホルモン基礎値を測定する.
→MRI上,腫瘍の増大傾向が明らかな場合には手術療法を考慮する.

明らかな進行性の下垂体機能低下症がある場合には手術も考慮する.
下垂体機能低下症がある場合には適切な補充療法を行うことが必要.
*下垂体腫瘍による下垂体機能低下症については明確なエビデンスはない.

GH の補充は重症GH分泌不全症で考慮されるが,腫瘍の存在する状況では補充による有益性がその危険性(腫瘍の増大など)を上回る場合に考慮される.
→十分なICを行ったうえで最終的な方針を決定する(GH補充による腫瘍増大のエビデンスはない).

タイトルとURLをコピーしました