pain
2020年の新定義では,「実際の組織損傷もしくは組織損傷が起こりうる状態に付随する,あるいはそれに似た,感覚かつ情動の不快な体験」と改定された.
今までは痛みを医療者からの切り口で定義していたが,新定義では痛みを経験している側からの切り口で考えて定義することができた.
なすび専用のまとめノートで,医療情報を提供しているわけではありません.
ちゃんとした正書や情報提供サイトを強く推奨します.
当ブログは一切の責任を負いません.
時間的な分類
急性疼痛
怪我などにより組織が傷害されると痛みを生じるが,怪我が治癒すると痛みは改善する.
危機を回避する役割を持つが,これが同時に引き起こされる反射や免疫応答は組織を治癒するための役割を持つ.
慢性疼痛
3ヵ月以上持続する痛み.
痛みが続くために不安・うつ・恐怖が生じたり,痛みに伴う恐怖を回避する行動を伴ったりする.
行動変容には治療依存なども生ずる.
複雑な痛みの状態が続いている背景には,心理・社会的な背景が存在し,また痛みが続くことでそれが増悪するなど個人の問題以外の要素も関与していることが多い.
神経メカニズム的な分類
侵害受容性疼痛
組織の損傷,損傷の危険性がある場合に生じる痛みであり,侵害受容器の活性化により生じる疼痛.
末梢神経遠位端にある侵害受容器の活性化(痛みを伝える末梢神経の興奮)により生じる疼痛.
組織の損傷や損傷を引き起こすような強い刺激を侵害刺激という.
日常生活でよく経験する痛みの大半.
足先を強打
→直後にぶつけた部位にピンポイントに鋭く俊敏な痛み(fast pain)
→時間が空いてから鋭いがジーンとした足先全体に持続する遅い痛み(slow pain)
神経障害性疼痛
侵害受容器や痛覚伝導路を含む体性感覚神経系の病変や疾患によって生じる疼痛.
神経の損傷に伴い自発痛や,侵害受容器の刺激に対する過剰な反応や感度の上昇,異所性の興奮などの反応が起こる.
背景には,受容体やシグナルの伝導を司っているイオンチャネルの変化や神経ネットワークの異常なども引き起こされていると考えられている.
nociplastic pain(痛覚変調性疼痛)
侵害受容器を活性化するような損傷やその危険性のある明確な組織損傷,あるいは体性感覚系の病変や疾患がないにも関わらず,痛みの知覚異常・過敏により生じる疼痛.
代表格は線維筋痛症.
多くは女性であり,病気など身体的のみならず心理社会的な要因が引き金となっていることもある.