過活動膀胱

医学ノート(なすび用)

overactive bladder;OAB

なすび専用のまとめノートで,医療情報を提供しているわけではありません.
ちゃんとした正書や情報提供サイトを強く推奨します.
当ブログは一切の責任を負いません.

尿意切迫感を必須の症状とする症状症候群.

尿意切迫感=突然に起きる強い尿意であり,排尿を我慢することができないような知覚.

通常は頻尿を伴う.1日8回以上の排尿回数が頻尿の定義として定められている.

頻尿や夜間頻尿を伴うことが多く,切迫性尿失禁を伴う.
・切迫性尿失禁は診断に必須の条件ではないが,OAB患者の約53%に切迫性尿失禁が認められ,OAB wetと分類されている.尿失禁のない群をOAB dryとよぶ.

疫学

有病率は,地域住民の5~20%とされる.

有病率は年齢と共に上昇し,女性に多い.

病態

脳血管障害,脊髄疾患などの神経因性や,前立腺肥大症,加齢,骨盤底の脆弱化など非神経因性のものがある.

神経因性過活動膀胱

①脳血管障害,Parkinson病,多系統萎縮症などの脳疾患
②仙髄より上位の脊髄損傷,多発性硬化症,二分脊椎などの脊髄疾患
③腰部脊柱管狭窄症による馬尾神経障害
④糖尿病性自律神経障害などの末梢神経障害

非神経因性過活動膀胱

メタボリック症候群を背景とした膀胱の血流障害,自律神経系の活動亢進,膀胱の慢性炎症が関与していると考えられている.

男性の場合,前立腺肥大などの膀胱出口部閉塞は,発症に大きく関与している.

女性の場合,女性ホルモンの分泌低下や骨盤臓器脱,発症の一因となる.

診断

診断には,他疾患の除外が必要であり,検尿にて血膿尿および超音波検査にて残尿のチェックは最低限必要.

問診

過活動膀胱に必須症状とされる尿意切迫感や,付随する頻尿,切迫性尿失禁,排尿困難などについて聴取する.

原因となる疾患の既往,肉眼的血尿,排尿時痛の有無などについて確認する.

症状問診票

過活動膀胱の診断や症状の重症度評価,治療の効果判定に質問票を用いる.

本邦で開発された,過活動膀胱スコア Overactive bladder syndrome score (OABSS) がよく用いられる.
・尿意切迫感が週1回以上であることが必須条件であり,3点以上でOABと診断される.

排尿日誌

排尿時刻,排尿量などを記録する排尿記録(日誌)が症状の把握に有用.

治療

行動療法

侵襲がなく,副作用が少なく,経済的にも優れているいるため,まず試みる.
高齢者にも推奨される治療法.

生活指導
過剰な水分摂取やカフェイン摂取の抑制,早めの排尿,外出時のトイレ位置確認などのトイレ習慣の改善を指導.1日尿量が2000mLを超えないような水分摂取.

体重減少
有効とされる.

膀胱訓練
尿をできるだけ我慢し,排尿間隔を少しずつ延長させ,膀胱容量を増加させる訓練.

理学療法
骨盤底筋を意図的に収縮させる訓練(骨盤底筋体操)と筋電図などによるバイオフィードバック療法.

排泄介助
個々の排尿パターンにあわせて一定間隔で尿失禁が起きる前にトイレに誘導する.ADLの低い高齢者や認知障害の患者で行う.

薬物療法

女性患者の場合,抗コリン薬やβ3作動薬による治療が有効.
*残尿量が50~100mLの場合は専門医に紹介

50歳未満の男性の場合,神経疾患や慢性前立腺炎などが原因の場合があり,専門医に相談する.

50歳以上の場合,前立腺肥大症に伴う過活動膀胱であることが多い.
→α1遮断薬,ホスホジエステラーゼ5阻害薬による治療が有効.

抗コリン薬

膀胱のムスカリン(M)受容体に結合し,アセチルコリンがM受容体に結合するのを阻害.
→アセチルコリンによって引き起こされる膀胱平滑筋の異常な収縮が抑制される.

口内乾燥,便秘,眼調整障害,排尿困難などの副作用があり,継続使用ができない症例も多く認められる.

ウリトス®
トビエース®
ベシケア®
バップフォー®

β3アドレナリン受容体刺激薬

膀胱のβ3アドレナリン受容体に結合して,畜尿期のノルアドレナリンによる膀胱の弛緩作用を増強し,膀胱容量を増大させる.

ミラベグロン

ベタニス® アステラス
25mg/50mg錠

1日1回50mg 食後
*肝機能障害(Chlid-Pugh 7~9),腎機能障害(eGFR 15~30)は,1日25mgから開始.

ビベグロン

ベオーバ®
1日1回50mg投与
2019年12月1日より長期処方可能に
禁忌:アレルギー以外なし

β3アドレナリン受容体を選択的に刺激し,細胞内Ca2+濃度が低下することで膀胱平滑筋を弛緩させ(in vitro),膀胱容量を増大させる(カニクイザル).
・ピロリジン骨格を導入→代謝安定性の向上,CYP阻害の低減
・右側環状構造の最適化→OFF-target副作用の回避,遺伝毒性の回避,CYP阻害の低減

尿意切迫感(正常化率28.9%),頻尿(正常化率31.9%),切迫性尿失禁(正常化率55.9%)に対し,52週まで有効性を維持.

QOLの指標となったキング健康調査票のすべての項目を改善.

懸念された心拍数増加やQT延長は観察されなかった.

医学ノート(なすび用)
スポンサーリンク
なすび院長

勤務医に疲れ,定期非常勤と投資でなんとかしのごうというひっそり医.
好きな分野は,糖尿病・腎臓病です!(゚∀゚)

ネット上で念願のなすびクリニックを作るも,今日も改装中で,いつ再開するのやら・・・
勉強好きで,私用に細々とまとめています.

妻:りんご
長女:いちご
次女:れもん
三女:みかん
事務長:かえる

なすび院長をフォローする
なすびクリニックは今日も改装中!
タイトルとURLをコピーしました