骨粗鬆症 osteoporosis

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なすび医学ノート

個人的なまとめノートで,医療情報を提供しているわけではありません.
診療は必ずご自身の判断に基づき,行ってください.
当ブログは一切の責任を負いません.

国内外の長期横断研究から骨粗鬆症が生命予後に影響を及ぼすことが明らかになっており,早期の治療介入が重要.

ぜい

評価

問診

続発性骨粗鬆症や低骨量をきたす他の疾患の既往歴
ステロイド薬治療,アルコールの過剰摂取,関節リウマチ,性腺機能低下症,炎症性大腸疾患,長期間の不動,臓器移植,糖尿病,甲状腺疾患,慢性閉塞性肺疾患

骨粗鬆症に伴う骨折の臨床的危険因子

生活様式
カルシウム摂取状況,運動・日常の活動性,喫煙の有無,飲酒歴など

家族歴
特に骨粗鬆症や骨折
・骨密度は遺伝的要素が大きく影響する(50~70%程度).
・両親の大腿骨近位部骨折がある場合には,ない集団と比較して,骨粗鬆症性骨折のリスクは1.54倍,大腿骨近位部骨折は2.27倍.

女性
閉経:年齢,自然か人工か
やせ型はリスクが高い(EPIDOS研究).

FRAX®(fracture risk assessment tool)

WHOが開発した評価法.40歳以上が対象.
今後10年内に予想される,骨折するリスクの確率が計算できる.

骨密度 70~80%の場合の治療の参考になる.
→将来10年間の骨折発生確率が15%以上なら骨粗鬆症の治療を考慮

https://www.sheffield.ac.uk/FRAX/tool.aspx?country=3

身長

椎体骨折による身長短縮を反映.
→3cm以上(日本人では2cm以上)で疑う.
→自覚がないことも多いので,高齢者の場合は,初診時に椎体X線撮影を行う.

25歳時の身長より4cm以上の身長低下があある場合は,椎体骨折を罹患しているリスクは2.8倍.

一般的に脊柱後弯の増強と身長の低下は,椎体の扁平化や楔状変形が複数の椎体に発生して生ずることが多い.

椎体X線写真(胸腰椎)

椎体の骨折・変形,退行性変化の判定,骨粗鬆症に類似した疾患(腰背部痛,円背や低骨量を呈する疾患)との鑑別に必要.

測定を行いC/A,C/Pのいずれかが0.8 未満,またはA/Pが0.75未満の場合を圧迫骨折と判定する.
A:前縁高,C:中央高,P:後縁高

椎体の高さが全体的に減少する場合(扁平椎)には,判定椎体の上位または下位のA,C,Pよりそれぞれが20%以上減少している場合を圧迫骨折とする.

骨塩定量 bone mineral density measurement

骨量測定と骨塩定量:骨基質と骨塩を合わせた量を測定することを骨量測定というが,実際は困難であるため,骨塩量をDXAなどで測定している.

骨密度 bone mineral density;BMD
骨サイズの影響を除外するために,DXAでは骨塩量を骨面積(cm2)で,QCTやpQCTでは骨塩量を骨体積(cm3)で割った値で示す.

測定対象

1)骨粗鬆症治療を行なう可能性がある症例を対象とする.
2)65歳以上の白人女性
・危険因子を有する65歳未満の女性においては,骨折リスク評価のための測定は有効.
・高齢日本人女性においても推奨される.
3)男性における骨密度と骨折リスクに関する十分なデータはないが,高齢男性では骨密度の予知力は女性とほぼ同じであり,測定の対象となる.
4)脆弱性骨折を有する症例は重症度判定のため,測定の対象となる.

年齢・骨密度・骨折既往などの危険因子を総合して評価する方が,単一での評価より優れている.

橈骨1/3や,中手骨,大腿骨頚部など皮質骨が多い部位が適している.

腰椎は高齢者では骨棘の増加や,BMIの影響を受けやすい,圧迫骨折などがあると骨密度が過大評価されるなどの問題がある.

DXA(dual X-ray absorptiometry) 二重X線吸収法

・2種の異なるエネルギーのX線を照射し,骨と軟部組織の吸収率の差により骨密度を測定.
・いずれの部位でも精度よく,迅速に測定できる.
・骨折リスクをよく反映する椎体や大腿骨計測に最も適しており,骨粗鬆症の診断に最適.
腰椎や大腿骨頸部を同時に測れるような施設ではどちらかの数値で低いほうを使用する
・腰椎は年齢とともに骨棘などができて,カルシウムの密度が局所的に高くなり,見かけ上,骨密度が高く出ることがある.

検査結果にあるグラフは縦軸がBMD(骨密度),横軸が年齢となっていて,年齢別の平均値は2つの色の境界線にあたり,2つの色の部分は健常者の95%が含まれる範囲(標準偏差の±2倍)を示す.

Area(cm2):骨面積.骨のX線写真の二次元での面積.

BMC(g):骨塩量・BMD(g/cm2):骨密度=骨塩量÷骨面積

T-score:標準となる若年成人女性のYAM(平均骨密度)と比較して,測定値を偏差値と%で表示したもの.
→WHOの診断基準にあてはめれば,-1.0SD 以上は正常(normal),-1.0SD~-2.5SDは骨量減少(osteopenia),2.5SD以上減少した場合を骨粗鬆症(osteoporosis)になる.

PR(Peak Reference):検査結果が若年成人女性のYAMの%にあたるかを示す.
→2000年度の診断基準にあてはめれば,80%以上は正常,70~80%は骨量減少,70%未満は骨粗鬆症となる.

Z-score:検査を受けた患者と同年齢・同性者と比較して,測定値を偏差値と%で表示したもの.

腰椎測定DXA

L1-2 or L2-4を基準値とする.

○:骨折発生頻度の高い領域を高い精度で測定,骨折リスクの評価に最も優れる.
○:大腿骨近位部骨折の相対リスクを最も予測でき,同部位の骨密度は椎体骨折を始め,あらゆる骨折の予知能に優れる.
○:ステロイド骨症の変化,薬物効果の変化を最もよく捉えることができる.
×:大動脈石灰化や変形性脊椎症の影響を受け,65歳以上では正確な測定が困難である場合が多い.
×:二次元測定であるため,骨の大きさの影響を受ける.

大腿骨近位部DXA

頸部 or total hip(total proximal femur)を用いる.

○:大腿骨近位部骨折リスクを最もよく反映し,他の骨折リスクの検出にも優れる.
×:日本人では再現性が低い.
×:内旋困難例や変形性股関節症では測定困難.

橈骨DXA・SXA

副甲状腺機能亢進症(および手術後)の経過観察.
椎体・大腿骨DXA測定困難症例での骨粗鬆症診断.

○安価,皮質骨の状態を知ることができる.
×薬物治療への感度が低い.

骨代謝マーカー bone metabolism marker

病態や骨折リスク,治療効果の評価に用いられる.

高回転型の骨粗鬆症では骨吸収と骨形成いずれの指標も上昇し,高値であれば骨折リスクが高いと判断される.

骨代謝マーカーが著しく高い場合は,骨代謝に影響を与える基礎疾患が存在する可能性を検討する.

骨代謝マーカー高値となる内分泌疾患:甲状腺機能亢進症,原発性副甲状腺機能亢進症.

骨吸収マーカー↑,骨形成マーカー↓:悪性腫瘍の骨病変,Cushing症候群

測定の基本

・早朝空腹時の採血,採尿
・骨折後の場合,受傷後24時間以内(骨折の影響回避のため)
・前治療の影響の考慮
・急激な生活習慣の影響を回避(安定を待つ)
・測定方法や測定機関の基準値をもとに評価

骨吸収マーカー

1つ選ぶ,診断時と治療開始後6ヶ月以内に1回のみ保険適応.

TRACP-5b tartrate-resistant acid phosphatase(酒石酸抵抗性酸性ホスファターゼ)-5b (トラップ5bと呼ぶ)
・破骨細胞に存在する酵素で骨吸収亢進とともにその血中濃度が上昇する.
・腎機能低下,透析の影響は受けない.

NTX type I collagen cross-linked N-telopeptide 1型コラーゲン架橋N-テロペプチド
・骨のⅠ型コラーゲンの分解産物で破骨細胞の骨吸収が起こる際に産生される.
・腎代謝性物質であり,腎不全患者では異常高値を示す.腎不全患者においても骨吸収系マーカーになるが,その基準値は腎機能正常者と違うことに留意が必要.

CTX Pyridinoline cross-linnked carboxyterminal telopeptide of type I collagen 1型コラーゲン架橋C-テロペプチド

DPD deoxypyridinoline デオキシピリジノリン

骨形成マーカー

1つ選ぶ, 診断時と治療開始後6ヶ月~1年間隔で測定

BAP bone-specific alkaline phosphatase 骨型アルカリホスファターゼ
・腎機能低下,透析の影響は受けない。

P1NP type I procollagen N-terminal propeptide 1型プロコラーゲンNプロペプチド

オステオカルシン
・骨芽細胞から分泌される.
・49個のアミノ酸からなるオステオカルシンには,γカルボキシラーゼによってカルボキシル化されたGla型オステオカルシン(GlaOC)と,全くあるいはほとんどカルボキシル化されていないGlu型オステオカルシン(ucOC)がある.
・ヒトでもマウスでも体内では大部分がGlaOCとして骨基質に埋もれているが,血中にもわずかに存在し,約8割がGlaOC,残りの約2割がucOCとして循環している.
・腎機能低下により上昇するため,注意が必要.

骨マトリックス関連マーカー

診断時と治療開始後6ヶ月以内に1回のみ保険適応

ucOC undercarboxylated osteocalcin 低カルボキシル化オステオカルシン
骨のビタミンK2が不足すると上昇.

診断基準

低用量をきたす骨粗鬆症以外の疾患 or 続発性骨粗鬆症を認めず,骨評価の結果が下記の条件を満たす場合,原発性骨粗鬆症と診断する.

Ⅰ 脆弱性骨折あり

低骨量(骨密度がYAMの80%未満 or 脊椎X線像で骨粗鬆化がある場合)が原因で,軽微な外力によって発生した非外傷性骨折.

骨折部位は脊椎・大腿骨頸部・橈骨遠位端など.

Ⅱ 脆弱性骨折なし

YAM(young adalt mean)=若年成人平均値(20~44歳)

骨密度は原則として,腰椎骨密度とする.
*高齢者において,脊椎変形などのために腰椎骨密度の測定が適当でないと判断される場合には,大腿骨頸部骨密度とする.
*これらの測定が困難な場合は,橈骨→第二中手骨→踵骨の順.

脊椎X線像での骨粗鬆症の評価は,従来の骨萎縮度判定基準を参考にして行う.
なし→骨萎縮なし
疑いあり→骨萎縮度Ⅰ度
あり→骨萎縮度Ⅲ度

続発性骨粗鬆症の鑑別検査

血算
正球性貧血→多発性骨髄腫
小球性低色素性貧血→吸収不良症候群,摂食障害など
白血球増加(顆粒球増加,好酸球/リンパ球減少)→Cushing症候群,ステロイド内服

生化学検査
高Ca血症→原発性副甲状腺機能亢進症
低Ca血症→ビタミンD欠乏症
低P血症→骨軟化症,ビタミンD欠乏症
高ALP血症→原発性副甲状腺機能亢進症,甲状腺機能亢進症,骨軟化症,骨Paget病
肝機能異常→肝硬変などの重症肝疾患
低コレステロール血症→甲状腺機能亢進症
高血糖→糖尿病,ステロイド内服

血清
CRP高値→関節リウマチやそのほかの慢性炎症性疾患

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