骨粗鬆症 治療

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なすび医学ノート

個人的なまとめノートで,医療情報を提供しているわけではありません.
診療は必ずご自身の判断に基づき,行ってください.
当ブログは一切の責任を負いません.

○治療目標は,脆弱性骨折を抑制することにある.
・脆弱性骨折の中でも,椎体骨折,大腿骨近位骨折,橈骨遠位端骨折は骨粗鬆症に頻発する三大骨折.このうち,椎体骨折と大腿骨近位骨折は,長期の渡ってQOLの低下を招くだけでなく,再骨折リスクを高め,最終的には健康寿命を縮めるとされている.

食事療法

○カルシウム(700-800mg) 日光浴 夏30分,冬1時間
○ビタミンD(400-800IU)
○ビタミンK(250-300μg)

運動療法

○50歳~:ウォーキング,有酸素荷重運動(骨密度),背筋強化訓練(椎体骨折抑制)
○高齢者:バランス訓練(転落防止),ウォーキング(日光浴)

薬物療法

薬物治療開始基準

○脆弱性骨折(大腿骨近位部or椎体骨折)あり
○脆弱性骨折(大腿骨近位部or椎体骨折以外)あり+BMDがYAMの80%未満
○脆弱性骨折なし+BMDがYAMの70%未満
○脆弱性骨折なし+BMDがYAMの70%以上80%未満+FRAX®の10年間の骨折確率(主要骨折)15%以上+大腿骨近位部骨折の家族歴
*FRAX(Fracture Risk Assessment):WHOが作成した,10年後の個人の骨折絶対リスクを評価するツール.

薬剤選択の原則

○骨折予防効果のある薬剤を選択する.
・70歳以降の骨粗鬆症患者では,大腿骨近位部骨折の予防が最も重要
→アレンドロネート,リセドロネート,デノスマブのいずれか.
・若年の50歳くらいの症例では,椎体骨折の予防が重要

○SERMは閉経後女性のみに用いる.

○男性では骨折予防効果に関する十分な治療成績をもつ薬剤はない.

治療効果の判定

○骨代謝マーカーの変化率で判定し,最小有意変化(minimum significant change;MSC)を超える変化を示した場合に有効とする.

高回転型

○治療開始後半年まで骨吸収マーカーの低下により,効果が評価される(測定は1回のみ).
・6ヶ月以内に骨吸収マーカーが30%以上低下しない場合は,服薬状況を十分に確認する.
・ビスホスホネートやSERMは,治療開始3ヶ月後までに骨吸収マーカーの低下を認め,BAPの低下は3ヶ月以降から認める.
・治療薬によって,変化の程度が違う.ビスホスホネート>SERM>活性型ビタミンD

○以降は骨密度の変化を6~12ヶ月毎に確認する.
・症状の改善や関節症状の改善をしばしば認めるが,副次的治療効果.
・骨密度の上昇は全例に期待されるものではない.骨密度の低下が2回以上認める場合は治療薬の変更を検討.

○骨密度測定が実施できない環境では新規骨折を認めない場合,骨代謝マーカーの改善を認める例では3年間は治療を継続することが勧められる.

ビスホスホネート製剤 bisphosphonate;BP

骨密度↑↑ 骨質→
・骨リモデリング抑制
・石灰化度上昇
・骨密度上昇
・架橋成熟促進

○現在のファーストラインの選択薬.
○ピロリン酸類似の合成化合物で体内に取り込まれると速やかに骨中のハイドロキシアパタイトに吸着し,破骨細胞に直接作用して,アポトーシスを誘導することにより強力な骨吸収抑制能を示す.
・一度吸収されたビスホスホネートは破骨細胞に取り込まれ,血中濃度が低下しても骨中に沈着して効果を発揮するので投与間隔をあけることが可能.

○経口投与の場合はもともと低い吸収率が食後はさらに低下し,長く食道に留まると食道潰瘍や食道炎が生じることがあるので,起床時に約180mLの水で服用し,服用後30分は臥床を避ける必要がある.
・GERDのリスクがを有する患者では,点滴剤や経口ゼリー剤を選択する.

○最近,心筋梗塞や癌の発生抑制効果を示唆する報告もある.

○ビスホスホネート5年開始後に中止した者と,5年以上継続した者で,骨折率に有意差なし.
→5年継続したら,休薬(中止)か継続を検討.

ビスホスホネート関連顎骨壊死 bisphosphonate related osteonecrosis of the jaw;BRONJ

○BP製剤を投与されている癌患者や骨粗鬆症患者が,抜歯などの侵襲的歯科治療を受けた後にBRONJが発生することが報告されている.
・臨床症状は,骨露出/骨壊死,疼痛,腫脹,オトガイ部の知覚異常(Vincent症状),排膿,潰瘍,口腔内瘻孔や皮膚瘻孔,歯の動揺,深い歯周ポケット,X線写真で骨融解像や骨硬化像.
・発生率は低く,海外の報告では1/10000~100000人年と推定されるが,日本口腔外科学会全国調査では0.01~0.02%程度とされている.ベネフィットがリスクをはるかに上回る.
・BPの窒素含有の有無や投与法により異なり,ゾレドロン酸投与で最も高い.局所的リスクファクターは口腔衛生状態の不良が挙がっており,歯科治療中又は今後治療予定がある場合には注意が必要.
・投与前に口腔内の管理状態に問題がないことを確認する.
・問題がある場合は,適切な歯科検査を受け,侵襲的な歯科処置をできる限り済ませてから,ビスホスホネートを開始する.
・投与中に歯科処置が必要になった場合は,できる限り非侵襲的な歯科処置を受ける.
・侵襲的な歯科処置が避けられない場合でも,休薬せずに歯科治療を進めることを原則とする.

非定型大腿骨骨折 atypical femoral fractures;AFFs

○BP製剤やデノスマブを服用している患者において,大腿骨転子下あるいは骨幹部骨折の発生が報告されている.
・発生頻度は低く,大規模臨床試験では23/万人・年でベネフィットがリスクを上回っている.
・長期BP製剤投与中の患者ではリスクが高くなる可能性もあるので,鼠径部あるいは大腿部の鈍痛やうずく痛みを訴えるときは本骨折を念頭に精査を進める.

アレンドロン酸ナトリウム

ボナロン®
ボナロン900ug 点滴静注バッグ ®
・4週間に1回div(30分以上かけて)
・週1回ボナロン35mgと同程度の腰椎および大腿骨の骨密度増加
・骨移行性が内服薬にくらべいい.
フォサマック®

○骨密度・椎体骨折・非椎体骨折・大腿骨近位部骨折すべてにおいて有効性A
○透析患者には避けたほうがいい?

リセドロン酸

ベネット®
アクトネル®
ジェネリックあり

○骨密度・椎体骨折・非椎体骨折・大腿骨近位部骨折すべてにおいて有効性A

ミノドロン酸水和物

リカルボン®

○骨密度・椎体骨折において有効性A.
○50mgは4週に1回投与の経口ビスホスホネート.
○日本人骨粗鬆症患者において,プラセボに対する骨折防止効果を検証できた初のBP系薬剤(椎体骨折に効果).
○優れた骨密度増加効果早期から強力な骨吸収マーカー低下作用を示す.

イバンドロン酸

ボンビバ錠®100mg 1ヵ月に1回内服 大正富山・中外
ボンビバ静注®1mg 1ヵ月に1回静注

○骨密度・椎体骨折において有効性A

ゾレドロン酸水和物

リクラスト®5mg
・1年に1回5mgを15分以上かけて点滴静注.

○急性腎障害の報告あり,腎機能のチェックが必要.

抗RANKLモノクローナル抗体

○RANKLとRANKの結合を阻害して,破骨細胞の分化と機能に直接作用して骨吸収を著明に抑制する.
→海綿骨および皮質骨の骨量が増加して,骨強度が増強すると考えられている.
○皮質骨の多孔性抑制効果もある.

低Ca血症予防

CKD合併例では重症化しやすいので,必ずビタミンDを補充し,CaとPをfollow upする.

○カルシウムとビタミンDの合剤:デノタス®チュアブル(600mgのカルシウム+400IUの天然型ビタミンD)
・含まれるビタミンDが天然型であり,腎機能障害時は活性化能低下しているため,使用は推奨されない.

デノスマブ denosumab

プラリア® 第一三共
60mgを6カ月に1回,皮下注射する.

○骨密度・椎体骨折・非椎体骨折・大腿骨近位部骨折すべてにおいて有効性A
○長期にわたって効果が持続するため,基本的には継続する.
・中止する場合は,骨代謝が急激に変わるので,ビスホスホネートを挟む.

○欧米の閉経後女性対象の大規模臨床試験では3年間で椎体骨折のリスクが68%,大腿骨近位部骨折が40%低下し,また海綿骨だけでなく皮質骨の骨密度の増加もみられた.
・ 本邦でも欧米と同等の成績が得られている.
○第Ⅲ相臨床試験(DECIDE試験)
デスノマブ 60mg vs アレンドロネート 70mgでは,骨密度(大腿骨近位部・腰椎など全般)を有意に増加させた.特に大腿骨に強い.
J Bone Miner Res 2009; 24: 153-161
○4週間に1回120mg皮下注が多発性骨髄腫と固形癌の骨転移による骨病変に対して,6ヶ月に1回60mg皮下注が骨粗鬆症に対して認可された.
・乳癌や前立腺癌では癌細胞自体にRANKL/RANKが発現しており,デノスマブの抗癌効果も報告されている.

ロモソズマブ

ヒト化スクレロスチンモノクローナル抗体
イベニティ® アステラス

○スクレロスチンは骨細胞から分泌される糖タンパク質で,骨芽細胞による骨形成を低下させると同時に破骨細胞による骨吸収を増加させることにより,骨量増加を阻害する.
・ロモソズマブはスクレロスチンに結合し,WNTシグナル伝達の抑制を阻害することで作用を示す.

活性型ビタミンD3製剤

骨密度→ 骨質↑
・破骨細胞前駆細胞から破骨細胞への分化や形成を抑制
・骨芽細胞の分化,成熟に働きかけ,骨の石灰化を促進する.
・酵素LOX活性改善
・受容体を介して腸管におけるCa吸収を改善.
・適切な骨代謝マーカーは存在しない.

○本邦の幅広い年齢層と重症度を対象とした大規模臨床試験において骨密度増加効果,骨折予防効果が証明されており骨粗鬆症患者全般に使用可能.
適応:高齢者(ビタミンD欠乏),食事摂取量低下症例,腎障害(二次性副甲状腺機能亢進症)

○高Ca尿症と高Ca血症に注意する→UCa/UCr<0.3を維持する.
・血中/尿中Caの上昇を認めた場合は,減量もしくは休薬を行い,2週間後に改善を確認する.改善しない場合は副甲状腺機能亢進症の合併を検討する.

アルファカルシドールやカルシトリオール

○骨量増加作用はわずかしかないが,メタアナリシスでは脊椎骨折の防止効果が証明されている.
・単独の大規模臨床試験で骨折抑制効果を証明したものがないため,セカンドラインおよびファーストライン治療薬の併用薬として位置づけられている.

○海綿骨の微細構造の改善に加えて,ビタミンDの筋力増加や運動能力改善作用を介して,転倒率を低下させている可能性が示唆されており,高齢者への使用が推奨される.

エルデカルシトール

○骨密度・椎体骨折において有効性A
○骨吸収を抑制するとともに骨形成を維持させることにより,骨密度と力学的強度を増加させる.
・アルファカルシドールを上回る椎体骨折抑制効果,腰椎および大腿骨の骨密度上昇作用が認められている.
・筋線維への影響を介して,筋パワーの低下を改善することも報告されている.
・アルファロールの半量でOK.

ヒトPTH

骨密度↑ 骨質↑
・骨芽細胞機能改善
・酵素LOX機能改善
・新生骨基質増加

○PTHは持続投与した場合は骨吸収を示すが,間欠投与にすると骨形成促進作用が認められる.
適応:骨密度低下が著しい症例,既存骨折を認める症例,骨形成が低下している症例、,ステロイド性骨粗鬆症,ビスフォスフォネート無効例,痛みを伴う症例

テリパラチド teriparatide

フォルテオ®

○骨密度・椎体骨折・非椎体骨折において有効性A
○遺伝子組み換えヒトPTH(1-34)で前骨細胞数の増加,抗アポトーシス作用,骨細胞からのsclerostin分泌抑制を介して骨形成を促進するとともに骨質も改善する.
・一方で,骨吸収も促し,皮質骨を脆弱化させることが分かっており,非椎体骨折リスクを上昇させる可能性が指摘されている.
→海綿骨の多い椎体の強度を上昇させるためなら有効.

○現在,骨形成促進作用を有する薬剤はテリパラチド以外にはなく,重症の危険性の高い骨粗鬆症,具体的には複数の椎体骨折のある高齢の患者や,BP製剤やSERMによる治療でも骨折を生じた患者などの使用が勧められる.

○テリパラチドには連日皮下注射製剤と週1回皮下注射製剤の2種類がある.
・使用期間の上限は連日が24ヶ月,週1回が18ヶ月.
・その後は骨吸収抑制薬などによる逐次療法で効果を維持する必要がある.

○治療効果は1~3ヶ月目に血清P1NPの上昇が治療効果と最も相関する.
→この時点で,少なくとも2倍以上の上昇を認めない場合は,自己注射手技の再確認など,確実に薬剤が投与されていることを確認する.

○本剤は生涯に24ヶ月までの使用制限があり,休薬後は特に女性で急速に骨密度が低下するため,ビスホスホネート製剤もしくはSERMに切り替えて治療を継続することが必要である.

○血管平滑筋が弛緩するので,血圧が下がる.
・透析患者には要注意.非透析日か透析前.

ビタミンK2製剤

骨密度→ 骨質↑

○ビタミンK2はオステオカルシンのカルボキシル化を介して骨形成を促進し,PTHにより惹起された骨吸収活性を有意に抑制するので,ビタミンK2摂取不足は骨折の危険因子となる.

メナテトレノン

グラケー®

○骨密度上昇とは別の機序を介した骨折抑制効果があると考えられ,より高齢者での有用性が示唆される.
○治療開始後3ヶ月目の血清ucOCの低下が治療効果の指標となる(測定は1回のみ).
○ワーファリンとの併用は禁忌だが,内服による凝固能亢進の懸念はない.

カルシトニン製剤

○破骨細胞に受容体があり,破骨細胞活性を抑制することから骨吸収抑制作用を持つ.
・ビスホスホネート製剤と比較すると骨密度増加効果は少ない.
○他の骨代謝改善薬にない中枢性・末梢性の疼痛抑制効果がある.
・骨粗鬆症患者が訴える疼痛はADL(日常生活動作)障害に直結するので,ガイドラインでは骨粗鬆症に起因する疼痛に対し,グレードAの位置づけとなっている.

女性ホルモン

○エストロゲンは強力な骨吸収抑制作用を示し,閉経後女性の腰椎や大腿骨の骨量を増加させる.
○海外の大規模臨床試験やメタアナリシスによりビスホスホネート製剤に匹敵する臨床効果があることがわかっている.
・骨量増加や骨折予防に関するエビデンスは結合型エストラジオールロゲンによるもので,本剤は本邦では骨粗鬆症の保険適応を受けていない.
・本邦で骨粗鬆症の保険適応であるエストリオール,エストラジオールは明らかな骨折予防のエビデンスはないので,ガイドラインではグレードCとなっている.

選択的エストロゲン受容体モジュレーター selective estrogen receptor modulator;SERM

骨密度↑ 骨質↑
・抗酸化作用
・架橋パターン正常化

○エストロゲン受容体に結合し,組織特異的にエストロゲンのアゴニストやアンタゴニストとして作用する.
○抗乳癌作用や脂質代謝改善作用があるので,閉経後比較的早期の女性では第一選択.
適応:骨量減少例(軽症例),胃腸障害を有する症例,生活習慣病合併症例,乳癌のリスクがある症例

○男性でもSERMによる骨質改善効果を示唆する研究結果が報告させている.
○深部静脈血栓症予防のため,入院・手術などで長期臥床する場合や飛行機での海外渡航の場合には休薬する.

ラロキシフェン

エビスタ®

○骨密度・椎体骨折において有効性A
○骨・脂質代謝にはアゴニストとして,子宮内膜・乳房組織にはアンタゴニストとして作用し,BPと異なり石灰化を介さずに骨強度を増加する.
・MORE試験では新規椎体骨折防止効果に加え,重症骨粗鬆症では非椎体骨折にも発生抑制効果があることが示された.

バゼドキシフェン

ビビアント®

○第三世代.
○骨密度・椎体骨折において有効性A
○骨折リスクが高い患者群での骨折予防効果が高い.

カルシウム製剤

○わずかに骨密度の増加効果を認めるが,単独では骨折危険性の低下,QOLの維持改善作用は弱いので,主治療薬ではなく他の骨粗鬆症治療薬を使用する場合に基礎治療薬として併用する.

○国民栄養調査の結果では日本人のCa摂取量は多くの年齢階層で食事摂取基準を下回っており,骨粗鬆症治療のための摂取目標値は800mg以上とされている.
→食事で十分にCaが摂取できない症例には推奨される.

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