循環血液量減少性ショック oligemic shock

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なすび医学ノート

個人的なまとめノートで,医療情報を提供しているわけではありません.
診療は必ずご自身の判断に基づき,行ってください.
当ブログは一切の責任を負いません.

分類

以下の2つの場合に起こる.

出血性ショック hemorrhagic shock

血管が破綻しそこから血液が血管外へ失われる出血(上部消化管出血や外傷による出血など)

ClassⅠ
失血量 <750mL(15%)
血圧 正常
脈圧 正常
呼吸数 14~20回/分
意識 やや不安

ClassⅡ
失血量 750~1500mL(15~30%)
心拍数 正常
血圧 正常
脈圧 狭い
呼吸数 20~30回/分
意識 少し不安

ClassⅢ
失血量 1500~2000mL(30~40%)
心拍数 120~140bpm
血圧 減少
脈圧 狭い
呼吸数 30~40回/分
意識 不安・昏迷

ClassⅣ
失血量 >2000mL(>40%)
心拍数 >140bpm
血圧 減少
脈圧 狭い
呼吸数 >35回/分
意識 昏迷・無気力

体液喪失 fluid depletion

血管の破綻はないが血管透過性の克進から血液の血竣成分のみが血管外へ漏出する場合(急性膵炎,広範囲熱傷など)

病態

まず犠牲になるのが皮膚・筋肉で,そのため皮膚蒼白が出現する.

ショックの代償機序としてカテコールアミンが分泌され,これが汗腺を刺激し汗が分泌される(熱放散という生理学的発汗ではない).

次に犠牲になるのが腹腔内臓器・腎臓.
・ショックで時間尿量が減少するのは代償機序により腎血流が減少するため
→時間尿量減少は,内臓の血流を犠牲にしなければならないほどショックが進行したことを示唆する.

ショックでは心拍数の増多がみられるが(100回/分以上),これも顕著でない場合が少なくない.
→ショック指数を用いる.

出血性ショックから死亡までのmedian time(中央値)は2時間.

診断

循環血液量減少性ショックの本態は前負荷の減少であるが,血圧は循環血液量の減少を反映し直線的に低下するわけではない.
→診断は血圧ではなし基礎筏患の評価に基づいた臨床的な徴候によって行う.
→皮膚蒼白・冷感と冷汗,微弱な脈拍,爪床の毛細血管のrefilling遅延(圧迫解除後2秒以上)によりショックを強く疑うことが重要.

循環血液量が減少すると,生体は重要臓器(脳・心臓)への血流を優先させるため,それ以外の臓器への血流を遮断しようとする(代償機序として血管抵抗を上昇させる).

治療

治療の原則は,出血には止血,血管透過性亢進には原疾患の治療.

初期治療(蘇生)はABCDE,特に細胞外液製剤(必要なら血液製剤も併用)を十分投与する.

蘇生のゴールは十分な組織血流の回復にあり,皮膚蒼白・冷感の消失(大量輸液による低体温を防止した場合),時間尿量の増加はよい目安となる.

循環血液量の15~20%
細胞外液系輸液剤を出血量の2~3倍投与(全身状態が良好な患者)

循環血液量の20~50%
膠質浸透圧を維持するために,まず人工膠質液を投与
組織への酸素供給不足が懸念される場合は赤血球液を投与

循環血液量の50~100%
細胞外液補充液+人工膠質液+赤血球液に加え,適宜,等張アルブミン製剤を投与.
人工膠質液を1000mL以上必要とする場合も等張アルブミン製剤の使用を考慮.

循環血液量の100%以上
上記の他,FFPや血小板濃厚液の投与も考慮

止血

患部に対しては,局所圧迫が有効でなければ止血帯が推奨.

胸腔,腹腔,骨盤腔の複数出血の場合,最大出血部位から開創する.

トランサミンは最初の10分で1g,次の8時間で1gが有効.

輸液

循環動態が不安定な場合は,20~ 40mL/kgの乳酸加リンゲル液などの細胞外液製剤をできるだけ急速(10~20分間)に投与する.
・静脈内投与した乳酸加リンゲル液のうち,血管内にとどまるのは投与量の30%程度に過ぎないため(残りは血管外の細胞外液スペースに移行する),乳酸加リンゲル液で出血量を補おうとすれば出血量のおよそ3倍量を投与する必要がある.

大量補液は,低体温,腹部・四肢のコンパートメント症候群,炎症,ARDS,多臓器障害,希釈性凝固障害(dilutional coagulopathy)のリスクあり,できるだけ避ける.
→意識と橈骨脈拍を保つ少量の生食・乳酸リンゲルの投与が重要.
・外傷による急性出血患者では最初の6時間内の晶質液輸液は3L以内に留める(血液製剤は含まない).

蘇生に,アルブミン,高張食塩水,高張デキストランの使用は生理食塩水に比べて利点はない.

輸血

Hb<6g/dL→必須
Hb 6~10g/dL→患者の状態や合併症にあわせて
 上部消化管出血では7g/dL,周術期は7~8g/dLがトリガー
Hb>10g/dL→不要

血液製剤は抗凝固剤の citrate(クエン酸)を含むため,正常人ではクエン酸は肝臓で迅速に代謝されるが,出血性ショックではクエン酸は蓄積し低カルシウム,凝固障害が進行する.
→大量輸血では4単位のどんな血液製剤の輸血もCaCl 1gを静注し電解質を確認する.

Ir-RBC-LR2(400mL)→1バッグの容量=280mL,Hb量約19g/dL

予測上昇Hb値(g/dL)=投与Hb量(g)÷ 循環血液量(dL)
*RBC-LR-400mL輸血投与→体重60kgで,Hb約1.3g/dL↑

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