肥満症 手術療法

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なすび医学ノート

個人的なまとめノートで,医療情報を提供しているわけではありません.
診療は必ずご自身の判断に基づき,行ってください.
当ブログは一切の責任を負いません.

以下のいずれか or 両方
①胃を小さく形成する→胃の容量を減らす.
②食べものが通る部分の小腸を小さくする(バイパス)→消化吸収を抑える.

期待される効果

代謝改善機構

前腸仮説(Forgut hypothesis)・後腸仮説(Hindgut hypothesis)

栄養物通過速度の上昇

腸内細菌の変化と胆汁酸の上昇

胃による胆汁酸制御機構

腸管による栄養素検知と臓器連関

栄養制限説による異所性脂肪の低下

食欲中枢の変化

血糖改善効果

合併症進展抑制

血圧改善

脂質プロフィール改善

リバウンドが少ない

手術適応

日本肥満症治療学会のガイドライン(2013年版)

あくまでガイドラインであり,実際の保険適応は異なる.

年齢が18歳から65歳までの原発性(一次性)肥満であり,内科的治療を受けるも十分な効果が得られ,次のいずれかの条件を満たすもの.
1) 減量が主目的の手術(Bariatric Surgery)適応は,BMI 35以上であること
2)併存疾患(糖尿病,高血圧,脂質異常症,肝機能障害,睡眠時無呼吸症候群など)治療が主目的の手術(Metabolic Surgery)適応は,BMI 32以上であること.

ただしこの適応での手術は臨床研究としてのものであり,厳格なインフォームドコンセント,臨床登録および追跡調査などを必須とする.

米国国立衛生研究所のガイドライン(1991年)

1)BMI≧40以上 or BMI≧35+肥満関連疾患(糖尿病・高血圧症,脂質異常症,睡眠時無呼吸症候群など)
2)手術に先立って,内科治療(食事療法,運動療法,薬物療法,栄養カウンセリング,その他の減量プログラムなど)が十分に行われている.
3)外科医,内科医,看護師,管理栄養士,運動療法士,心理療法士など,複数の専門家により,術前評価や術後管理が行われている.

手術適応とならない場合

1)二次性肥満
→原疾患を治療することで改善する見込みがある.

2)薬物中毒,アルコール中毒,コントロール不良の精神疾患(統合失調症・双極性障害・境界型人格障害など)を合併している場合

3)外科治療に伴うリスク,予想される治療効果,手術を受けた場合でも生活習慣改善が必要であることなどについて理解し,同意を得ることができない場合

4)重度の心不全,狭心症など,手術リスクが高い場合

手術のリスク

術後30日の手術関連死亡率は,0.3%

術後合併症発生率は3.4%.

腸管の手術によって,完全には食欲・認知・食行動異常は是正されない.
1)術後一過性に減った食欲は時間とともに戻り,食べたくても食べれず,吐いて苦しむケースもある.
2)術後数年しての体重のリバウンドや糖尿病の再発・悪化

独特の性格傾向と精神疾患の合併

術後長期合併症としての栄養障害

骨粗鬆症・骨折の増加

自殺率の増加

腹腔鏡下スリーブ状胃切除術(保険適用あり)

胃の外側を切除し,バナナ状の細い胃に形成する.
→摂食制限のみ

特徴

・食事摂取の制限による体重減少
・グレリン(食欲を刺激するホルモン)が減少
・日本で一番行われている。海外でも急増中
・保険で可能な唯一の減量手術

問題点

・比較的新しい術式で、長期成績が出ていない
・バイパス系手術に比べ、リバウンドの可能性、糖尿病の改善率が悪い
・手術はシンプルだが合併症は治りづらい(縫合不全、胃管狭窄など)
・食道裂孔ヘルニア/逆流性食道炎が悪化することがあるため,持っている場合は避けるべき.

保険診療の適用基準

BMI≧35の場合
・6カ月以上の内科治療を継続している.
・糖尿病,脂質異常症,高血圧症,睡眠時無呼吸症候群のいずれかを合併している.

BMI 32.5~34.9の場合
・6カ月以上の内科治療を継続している.
・糖尿病を合併しており,HbA1c≧8.4%
・高血圧(治療しても6カ月以上SBP≧160mmHg),脂質異常症(治療しても6カ月以上LDL≧140mg/dL or non-HDL≧170mg/dL),睡眠時無呼吸症候群(AHI≧30)のうち,1つ以上を合併している.

調節性胃ハンディング術

胃にシリコン製のバンドを巻き,胃を砂時計状に形成する.
→摂食制限のみ

・バンドの上側の小さい胃が少量の食事で満たされることで満腹感が生まれる.

スリーブバイパス術(先進医療の認可)

スリーブ状胃切除に小腸のバイパスを組み合わせたもの.
→摂取制限+吸収制限

・糖尿病に特に効果がある.
・術後の胃の観察ができる(胃バイパスの欠点を補う)
→胃癌のリスクを有する症例でもOK

・最も手術が煩雑
・栄養障害の可能性
・ビタミンサプリメントの摂取が必要

ルーワイ胃バイパス術 Roux-en-Y gastric bypass;RYGB

胃を上下に切り分け,上側の小さい胃と小腸をつなげる.

・糖尿病と逆流性食道炎に特に効果がある.

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