肥満関連腎症 Obesity-related Glomerulopathy;ORG

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なすび医学ノート

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1974年に肥満と蛋白尿の関連が初めて報告され,2001年にKambhamらは腎生検6818例中BMI>30の肥満71例の解析を以下のように報告している.
1)ORGは腎生検施行例の2%の頻度である.
2)1986年から2000年の15年で10倍に頻度が増加している.
3)巣状糸球体硬化症(FSGS)の組織像をとるが,原発性のFSGSと被殻してネフローゼ症候群の頻度が低く,血清Albレベルは高く,血清Choレベルは低く,浮腫の頻度が低い.

【3徴】
1)病的な肥満症:BMI>40
2)浮腫を認めない蛋白尿
3)正常血清アルブミン値
上記に加え,高血圧による腎硬化症,糖尿病性腎症を除外する.

疫学

予後

現在,予後は特発性巣状糸球体硬化症より良好で経過は緩徐であると考えられている。

8年間の観察期間で,14%が血清Cr値の倍加,3.6%で末期腎不全への進行が認められ,必ずしも良好ではないと考えられている.

病態

肥満者のインスリン抵抗性,交感神経,レニン・アンジオテンシン系の亢進
→近位尿細管でのNa再吸収亢進
→尿細管糸球体フィードバックにより輸入細動脈が拡張
→糸球体腫大

原因としては,肥満における心拍出量や循環血液量の増加が,糸球体高血圧や糸球体血液量の増加を導き,hyperfiltrationを生じることが考えられている.

肥満に合併しやすい高血圧,高脂血症,耐糖能異常などが増悪因子となり,またインスリンやレプチンなどの代謝性因子が関与していることが考えられ,メタボリック症候群腎症(metabolic syndrome nephropathy)という概念が提唱されてきている.

肥満者は非肥満者に比し,GFRで61%増加しており,濾過率(FF)が上昇している.

蛋白尿が出現する機序としては,糸球体の腫大からくるポドサイトの相対的不足が考えられている.
・ORGではコントロールに比べ糸球体の体積が約1.5倍となるものの糸球体体積あたりのポドサイトの密度は約0.5倍となっていたと報告されている.
→障害を受けたポドサイトは脱落し,尿蛋白増加とその後の分節硬化へ進むと考えられている.
・アディポサイトカインやLDL-Cなどの関与も示唆されている.

症候

腎病理

巨大化した糸球体
成人における糸球体サイズの報告の多くは150-170μm程度であるが,ORGでは200μm以上との報告が多い.

軽度のメサンギウム基質の拡大と基底膜の肥厚
臨床的に糖尿病を有さなくても,約50%の症例に認める.

巣状分節性糸球体硬化(FSGS)
・7割に認められる.また,足突起の形態的変化と尿蛋白排泄量は相関する.
・特発性FSGSと比較すると足突起の組織障害は軽く,血清 Cr の上昇は緩除で,末期腎不全への進行も少ない.
・採取糸球体に対するFSGSの割合はORGでは3-50%(平均12%)で,一次性の平均39%と比べて少ない.
・部位は血管極近傍が多いとされている.

足突起の融合・消失

治療

現在のところRCTで証明された治療法はないが,体重減少,高血圧(アンジオテンシン変換酵素阻害薬,アンジオテンシンII受容体拮抗薬),高脂血症(スタチン系),耐糖能異常の治療は重要である.

重症例にステロイド療法が有効であった報告も出されているが,肥満を助長させるためまずしない.

手術による合併症も懸念されるため,ORGに対して一般的ではない.

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