個人的なまとめノートで,医療情報を提供しているわけではありません.
診療は必ずご自身の判断に基づき,行ってください.
当ブログは一切の責任を負いません.
アスピリンなど非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)による潰瘍
risk factor
■High risk:出血潰瘍既往歴(特に最近),複数のリスク要因(3以上)
■Moderate risk:65歳以上,高用量NSAIDs,潰瘍既往歴,アスピリン・ステロイドもしくは抗凝固薬の使用
■Low risk:なし
症候
心窩部痛、吐血、下血など.
NSAID潰瘍ではその鎮痛作用により腹痛を訴えず,急な吐下血で発症する場合がある.
最近内服している薬剤についてはすべて聴取する.
治療・予防
NSAID中止
NSAID内服の場合は,可能な限り中止.
■COX-2選択的阻害薬(セレコキシブ)
NSAID中止ができない場合.
関節リウマチ患者を中心にした検討で,セレコキシブとロフェコキシブは,消炎鎮痛に関しては従来のNSAIDと同等である一方,胃潰瘍の発生は低率であった.
長期投与では心血管系の副作用に留意する.
プロトンポンプ阻害薬 PPI
第一選択.
保険診療上,胃潰瘍で8週間,十二指腸潰瘍で6週間の投与.
H2受容体拮抗薬 H2RA
NSAIDによる胃潰瘍の発生に関するメタアナリシスでは,常用量のH2RAが有効であるという根拠はない.
予防的に使用する場合は,高用量の使用が妥当.
予防で使用するときは,PPIもH2RAも保険適応は再発抑制であり,潰瘍の既往の記載が必要
PG製剤
ミソプロストール サイトテック®
PGの不足分を補う.
予防に関するミソプロストールの有効性はメタアナリシスで証明されている.
しかし,消化器系の副作用,特に下痢の頻度は800㎍/日で高い.
→低用量(400-600㎍/日)の使用が望ましい.
妊婦には禁忌!
PPIに比較するとその有効性は低い。
H.pylori除菌
NSAID 内服継続が必要な場合,H.pylori陽性であれば除菌が潰瘍再発予防に勧められる.
H.pylori陽性のNSAID潰瘍の場合は,活動期に除菌を行うと,潰瘍治癒率が落ちるとの報告があり,治癒確認後に除菌療法を考慮する.