正常圧水頭症 Normal pressure hydrocephalus

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なすび医学ノート

個人的なまとめノートで,医療情報を提供しているわけではありません.
診療は必ずご自身の判断に基づき,行ってください.
当ブログは一切の責任を負いません.

○認知障害,歩行障害,尿失禁を呈する症候群で,脳室拡大はあるが髄液圧は正常範囲内で,髄液シャント術によって症状改善が得られる.

○クモ膜下出血や髄膜炎に続発する二次性正常圧水頭症と,原因の明らかでない特発性正常圧水頭症(idiopathic normal pressure hydrocephalus:iNPH)とに分けられる.

症候

○歩行障害がもっとも病初期から生じ,2 番目には認知障害,3 番目に排尿障害が高頻度に認められ,これらの3 徴が揃うのは60% 程度であるとされる.

歩行障害

○3 徴の中で最も特徴的である.
○単位時間あたりの歩数が少なく,遅い.
○歩幅の減少(small-step gait),足の挙上低下(magnet gait),歩隔の拡大(broad-based gait)が三大特徴である.
・歩隔は広くなるとともに外股になる.
・歩幅は狭くなり,しかも歩行中に著明に変動する.
・起立時や方向転換時には特に不安定になり,転倒することもある.
・歩行開始時に足を床から持ち上げられずモゾモゾと足踏みし,歩行を開始できない(start hesitation).
→一般に失行性・失調性歩行と表現される.

認知機能障害

○前頭葉機能障害がやや特徴的である.
○注意障害,思考速度の低下,概念転換機能障害が目立つ.
○記憶障害の中でも再生は冒されているが再認は比較的保たれがちである.
○多くの例で自発性低下,易疲労性,焦燥,情動不安定を含む何らかの精神症状がみられる.

排尿障害

○頻尿および尿失禁がみられ,膀胱容量の減少,排尿筋の過活動が認められ,これらとともに,歩行障害や認知障害も尿失禁に関与している.

頭部CT

○画像上全脳室拡大を認めることが水頭症診断においては必須.
○Evans index(両側側脳室前角間最大幅その部位における頭蓋内腔幅)は0.3 を超える.
○くも膜下腔はシルビウス裂とそれ以下で拡大し(少なくとも狭小化せず),高位円蓋部で狭小化している.

頭部MRI

○シルビウス裂の拡大があり,くも膜下腔の脳脊髄液が不均一な分布を示す特徴を持った水頭症をくも膜下腔の不均衡な拡大を伴う水頭症(disproportionately enlarged subarachnoid-space hydrocephalus ; DESH)と呼び,典型的な特発性正常圧水頭症の所見とされる.
○一般にMRI水平断よりMRI冠状断で評価しやすいが,熟練すれば水平断でも冠状断と同等に診断できる.

治療

○iNPHに対するエビデンスのある有効な治療は,現在シャント術のみ.
○手術法は他の交通性水頭症に対する手術法と同様であり,多くは脳室・腹腔短絡術(ventriculo-peritoneal shunt)で治療される.
○最近は腰部くも膜下腔・腹腔短絡術(lumbo-peritoneal shunt)もより低侵襲な治療法として選択されることも多くなっている.
○変形性腰椎症や脊柱管狭窄症が合併していれば適応にならない.

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