腎性尿崩症 nephrogenic diabetes insipidus;NDI

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なすび医学ノート

個人的なまとめノートで,医療情報を提供しているわけではありません.
診療は必ずご自身の判断に基づき,行ってください.
当ブログは一切の責任を負いません.

・腎臓の集合管においてAVPに対する感受性が減弱し,尿濃縮の機序が障害され,多尿をきたす疾患.
・腎性尿崩症は,先天性と続発性に分けられる.1/3が先天性をしめる.

病態

先天性

・家族性で幼児期までに発症する.
・ADH(V2)レセプター異常症であり,V2レセプターそのもの(伴性劣性遺伝,90%),あるいは ADH の作用により調節される水チャンネル(管腔側に存在するアクアポリン2:AQP2,10%)の遺伝子異常(ほとんどが常染色体劣性遺伝)による.

続発性

・原因としては,慢性腎不全,慢性腎盂腎炎,間質性腎炎,多発性嚢胞腎,閉塞性尿路疾患などの腎疾患,電解質異常(低K血症や高Ca血症),薬物がある.
・成人の二次性腎性尿崩症の原因として最も多いのが,炭酸リチウム.
・その他の薬剤として,フォスカルネット,デメチルクロルテトラサイクリン,イホスファミド,オフロキサシン,アムホテリシンBなど.

リチウム

・内服者の約半数に種々の程度の尿濃縮障害が生じ,15-20%の患者がNDIを発症すると報告されている.
・内服後,数日から数カ月でNDIを発症すると報告されている.
・リチウムは集合管の上皮型ナトリウムチャネル(ENaC)より細胞内に取り込まれ,アデニル酸シクラーゼやグリコーゲンシンターゼ酵素活性を阻害し.aquaporin2(AQP2)の細胞膜への発現を阻害する.
・長期間のLi製剤の内服によって間質の線維化や糸球体硬化が引き起こされ,MRIでは微小嚢胞が検出されるようになり,数十年で最終的には末期腎不全に至るとされる.

治療

・腎性尿崩症の治療の中心は,多尿により失われた水分を補給し,かつ尿量をできる限り現象させることと,尿量が依存する溶質(Naと尿素)の排泄を減少させるために,塩分や蛋白質の過剰摂取を制限すること.
・薬物療法ではサイアザイド系利尿薬やNSAIDsが使用されてきた.
・ナトリウム制限により,サイアザイド系利尿薬の効果を最大限に高めることができる.継続可能な範囲での減塩を行うことが有効である.

・二次性腎性尿崩症の治療についてはその原因疾患を突き止め原因薬剤を除くことが重要である.その原因として多いものは抗鬱うつ薬であるリチウム製剤の使用である.
 リチウム製剤を使用している患者の20-30%が多尿をきたしているとされる.

サイアザイド系利尿薬

・最大50%程度までの尿量減少が得られる.
・緩徐に効果を示すため,急性期での有用性は低い.
・機序としては,主に遠位尿細管でのNa再吸収量を阻害し,尿中へのNa排泄量を増やすことで,循環血液量の減少を生じ,糸球体濾過量の減少と近位尿細管での水・Na再吸収増加により,尿量の減少を招く.
・サイアザイド系利尿薬は,アンケート調査では先天性NDIに使用され,その多くが有効であった.
・二次性の患者においても,55%の症例に使用されており,71%で有効であった.
・サイアザイド系利尿薬はヒドロクロロサイアザイド/トリクロルメチアジドが主に使用されており,いずれも常用量からやや多めが必要となることが多い.
 乳幼児で経鼻胃チューブなどでの水分投与を行なっている場合には水中毒の予防のため少量から開始する.

NSAIDs

・単独もしくはサイアザイド系利尿薬との併用で腎性尿崩症の治療に用いられ、その作用機序は腎でのプロスタグランジンの産生を抑制することで腎血流を減少させ,近位尿細管/遠位尿細管でのNa+の再吸収を促進するためと考えられている.
→ADH作用が増強し,25-50%程度の尿量減少が期待できる.
・急速に効果を示すが,腎機能障害の副作用から長期間の使用は推奨されていない.
・使用されるNSAIDsはインドメタシン,メフェナム酸と選択的COX-2阻害薬のセレコキシブ,メロキシカムがある.
・副作用として消化性潰瘍など胃腸障害,血小板減少などの造血器障害,腎機能障害が懸念されるため長期投与は慎重に行う.

カリウム保持性利尿薬やカリウム徐放製剤

・低カリウム血症に対して併用する.
・スピロノラクトンは本アンケート調査では使用例の50%が有効であった.
 スピロノラクトンも尿量の減少作用がある.

DDAVP

・腎性尿崩症の成因から考えて無効であると考えられてきたが,アンケート調査では先天性で8/32=33%,二次性で7/10=70%が有効であった.
・軽度であれば,ある程度尿量を減少させることが可能と考えられている.

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