壊死性筋膜炎 necrotizing fasciitis

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なすび医学ノート

個人的なまとめノートで,医療情報を提供しているわけではありません.
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○皮下脂肪組織と固有筋膜の間にある浅層筋膜の細菌性炎症で組織壊死を引き起こす嫌気性菌が原因の感染症の一つ.

Fournier壊疽 Fournier’s gangrene

○肛門周囲膿瘍・外傷・尿路感染などから,陰部や肛門周囲に急速に炎症が進行して,急激な経過をたどり,会陰部や陰嚢に生じるもの.
・肛門周囲膿瘍を契機とするものが全体の約半数を占め,70~80%は糖尿病に合併している.
・その他,直腸癌の腸管壁穿破,放射線治療後に発症する.

病態

○細菌が皮下組織に進展し,肛門周囲・陰嚢/睾丸,会陰/大腿部の筋膜や筋肉内で膿汁の貯留が起こり,腐敗ガス・毒素を産生して組織が腐ることが原因.
・嫌気性菌と好気性菌の混合感染によって重症化する.

○糖尿病や免疫不全などで易感染性宿主(compromised host)に起因する場合は,非clostridium性ガス壊疽(non-clostridial gas gangrene)が増加し,ガスを産生することが少ない.
・半数は糖尿病の人に発症し,50~70代によく起こり,男女比は25対1と圧倒的に男性に多く見られる.

症候

○高熱,ショック症状を認め,局所所見では肛門や陰嚢周囲に発赤・腫脹・圧痛,著しい浮腫を認める.
・典型的には,陰嚢や陰茎(女性では陰唇など)の腫脹,疼痛,発赤から始まる壊死性筋膜炎であり,皮膚の一部が黒化(black spot),潰瘍化し,会陰部から腹部や大腿部に拡大し,また全身性毒性が強く,筋組織も侵される重症型もある.

○腹部単純X線写真で会陰,大腿,鼠径部の皮下ガス像が認められたら診断は確実.
○CTにて会陰・大腿・鼠径部の皮下ガス像が認められることも診断に有用である.

治療

○細菌性ショックに対する全身療法を行い,局所は切開・開放して,排膿と洗浄を行う.

○嫌気性菌と好気性菌などによる混合感染が劇症化の原因(synergistic infection)とされるが,高圧酸素療法(Hyperbaric Oxygen Therapy:HBO)は白血球の活性酸素による殺菌能(oxidative killing)を賦活化することから広域な抗菌作用を発揮し,非clostridium性の壊死性筋膜炎などに対しても抗菌薬投与,病巣掻爬,HBOの三者が不可欠であることが動物実験や臨床実績から明らかにされている.

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