非アルコール性脂肪肝炎(NASH),非アルコール性脂肪肝(NAFLD) 診断

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なすび医学ノート

個人的なまとめノートで,医療情報を提供しているわけではありません.
診療は必ずご自身の判断に基づき,行ってください.
当ブログは一切の責任を負いません.

アルゴリズム

ステップ① その他の肝疾患の否定

飲酒歴

非飲酒者である=
エタノール換算で1日男性で30g未満,女性で20g未満

1日20g
日本酒1合
ビール中ビン1本
ウイスキーW1杯
焼酎ぐいのみ1杯
ワイングラス2杯
*純アルコール量=酒量(mL)×濃度(%)×比重(0.8)÷100で算出される.

その他の肝疾患

ウイルス性肝炎,自己免疫性肝炎,原発性胆汁性肝硬変等の成因の明らかな肝疾患を否定する.
*NASHの20%に抗核抗体陽性があり,自己免疫性肝炎とのオーバーラップが示唆されている.

ステップ② 血液検査

血小板
20万/μLをきっていると,肝線維化ステージが3以上である可能性がある.
・15万/μLの報告もあり,こっちが現実的?

膠質反応(ZTT/TTT)の上昇
血清アルブミンの減少とγ-グロブリンの増加(IgG/IgM)を反映.

ステップ③  FIB-4 index

age (yr) × AST (IU/L)/[血小板(万/μL)×10× √ALT (IU/L)]

<1.30:低値→経過観察
1.30~2.67:中間値→NAFIC score
>2.67:肝生検

ステップ④ NAFIC score

NA=NASH,F=ferritin,I=Insulin,C=Collagen
1)血清フェリチンが高い(男性で300 ng/mL以上,女性で200 ng/mL以上) →1点
2)空腹時インスリンが高い(10μU/mL以上) →1点
3)Ⅳ型コラーゲン7Sが高い(5.0 ng/mL以上) →2点

以上の点数が合計して,2点以上であれば,単純性脂肪肝よりもNASHである可能性が極めて高い.
0点ではNASHの可能性が低い.
・感受性は60%,特異性は87%

血液検査

血小板減少
肝疾患の進行に伴い,脾臓が腫大し,脾機能が亢進する.

肝酵素
男性でALT 30IU/L以下,女性でALT 20IU/L以下,かつAST>ALTを満たさない.

CRP,フェリチン
1)急性期炎症反応として上昇.血中CRP値と相関.
2)肝細胞の破壊により,血中に逸脱.
3)鉄過剰:NASHでは鉄の過剰摂取,鉄吸収抑制の低下になる.
 生体防御機構として,フェリチンを増加させることで遊離鉄を取り込もうとする.

ヒアルロン酸
・肝臓の類洞内皮細胞に取り込まれ代謝されるが,肝線維化進展に伴い,産生が増加し,また類洞内皮細胞障害のためヒアルロン酸が増加する.

Ⅳ型コラーゲン7S
Ⅳ型コラーゲンは基底膜を構成する.
正常の肝臓の類洞には基底膜は存在しないが,肝線維化進展に伴って基底膜の増生が起こり,Ⅳ型コラーゲン分子の一領域であるⅣ型コラーゲン7Sが上昇するとされる.

スコアリングシステム

FIB-4 index・NAFIC scoreは上記参照.

画像診断

脂肪滴の沈着はエコー,CT,MRIなどで同定可能であるが,線維化を明確にとらえることは困難.

腹部エコー

スクリーニング対象
腹囲男性85cm以上,女性95cm以上.
20歳時より体重が10kg以上増加
1年間で体重3kg以上の増減
男性で食べる速度が速い.

肝実質高輝度 bright liver
肝細胞の30%以上に大滴性の脂肪沈着があれば感度100%,特異度93%.

肝腎コントラスト陽性 Hepato-renal contrast;HR contrast)
右葉(S6)に接する右腎の皮質に比べて肝実質の輝度が上昇.
軽度の所見.

深部減衰 deep attenuation
プローブから離れるつれて肝実質の輝度が徐々に下がっていく.
中等度の所見.

脈管の不明瞭化 vascular blurring
脈管,特に肝静脈と肝実質の境界が不明瞭.
高度の所見.

まだら状脂肪沈着
肝実質に脂肪が不均一に沈着している状態.

限局性脂肪沈着 focal fatty change
肝臓の一部が脂肪化している状態.

地図状脂肪沈着 geographic pattern
地球儀の大陸のように脂肪が沈着している状態.

focal spared lesion(pseudo tumor:偽腫瘍)
肝実質全体に脂肪沈着がある中で,特に胆嚢床近傍(S5やS4)で脂肪化が軽いエリアの所見.

肝腫大
左葉外側区域の腫大は左側,胃側に伸びていく.

肝萎縮
中等度以上に線維化が進展したNASHでは左葉は腫大し,右葉は萎縮する.

肝表面
進展した場合,輝線が途切れ途切れ(輝線の断裂).胆嚢床の硬化・直線化.

腹部CT

X線の吸収値(Hounsfield Unit:HU)を用いて肝臓の脂肪化を定量的に評価できる.

肝臓に脂肪沈着があると吸収値が低下するため,変化が乏しいとされる脾臓の吸収値(約50HU)との比(Liver/Spleen ratio:L/S比)を用いて,肝臓の脂肪化の程度を定量をする.

肝細胞の30%以上に大滴性の脂肪沈着がある場合,検出感度82~93%.特異度100%で脂肪肝が検出できる.

肝臓内に脂肪沈着なし(約60HU):L/S比 1.2程度
肝臓内に30%以下の脂肪沈着(約55HU):L/S比 1.12程度
肝臓内に30~60%の脂肪沈着(約50HU):L/S比 1.01程度
肝臓内に60%以上の脂肪沈着(約45HU):L/S比 0.9程度

肝線維度 Fibro Scan®

脇腹に当てたプローブ内の装置から発生した弱い振動が,肋骨の間を通って肝臓に伝わり,超音波を使って振動が肝臓を伝わる速度を測る.

・肝臓の弾性度は肝線維化の程度と正の相関
・測定値は弾性値としてあらわされる(単位kPa)

F0:No fibrosis(線維化なし)
F1:Portal fibrosis without septa(門脈域の線維性拡大)
F2:Few septa(線維性架橋形成)
F3:Numerous septa without cirrhosis(小葉のひずみを伴う線維性架橋形成)
F4:Cirrhosis(肝硬変)

診断

診断基準(NASH)

以下の3つが必須

①非飲酒者である:エタノール換算で1日男性30g/日,女性20g/日未満.

②肝組織所見が脂肪肝炎
1)大滴性の脂肪沈着
2)炎症細胞浸潤
3)肝細胞の風船様腫大

③他の原因による肝疾患の除外
B型肝炎・C型肝炎,自己免疫性肝炎,薬物性肝障害を除外する.

鑑別診断

大滴性脂肪肝

・過度の飲酒
・C型肝炎(genotype3)
・Wilson病
・リポジストロフィー
・飢餓
・経管栄養
・無βリポ蛋白血症
・薬剤:amiodarone,methotrexate,tamoxifen,ステロイドなど

小滴性脂肪肝

・Reye症候群
・薬剤(valpronate酸,抗レトロウイルス薬)
・急性妊娠脂肪肝
・HELLP症候群
・先天性代謝異常(レシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ欠損症,コレステロールエステル蓄積症,Wolmon病)

病理

所見

炎症細胞浸潤

風船様変性 ballooning degeneration

マロリー・デンク体 mallory body

線維化 fibrosis
肝細胞周囲を取り囲むような線維化や類洞に沿った線維化が特徴的で,線維化が進行すると架橋を形成し,さらに偽小葉に至る.

matteoni分類

type 1
脂肪沈着のみ[fatty liver alone]
→simple fatty liver→fatty liver(NAFL)

type 2
脂肪沈着[fat accumulation]+小葉内の炎症[lobular inflammation]
→steatohepatitis(NAFL)

type 3
脂肪沈着[fat accumulation]+肝細胞の風船様変性[ballooning degeneration]
→steatonecrosis(NASH)

type 4
type3+マロリー・デンク体[Mallory hyaline] or 線維化[fibrosis]
→steatonecrosis+Mallory body or fibrosis→NASH

NAS:NAFLD Activity Score

5点以上→NASH,3~4点→境界型,2点以下→NAFL

①脂肪化の程度[Steatosis]
5%未満:0点,5~33%:1点,33~66%:2点,66%超え:3点

②実質の炎症の程度[Lobular inflammation]
なし:0点,200倍拡大で2ヶ所未満:1点,2~4ヶ所:2点,5ヶ所以上:3点

③肝細胞の風船様変性[Hepatocyte ballooning]
なし:0点,数個:1点,多数:2点

brunt分類(NASHと診断した場合)

活動性

病期
Stage 1:perivenular / perisinusoidal / pericellular fibrosis
Stage 2:Stage 1 + portal fibrosis
Stage 3:bridging fibrosis
Stage 4:肝硬変

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