monoclonal gammopathy of renal significance;MGRS

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なすび医学ノート

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モノクローナル免疫グロブリン血症(MG)を伴う,腎障害の組織型.

単クローン性免疫グロブリン沈着症 monoclonal immune deposition disease;MIDD

免疫グロブリンは形質細胞で産生されるが,重鎖と軽鎖の遺伝子が存在する染色体は,それぞれ14番,κ鎖2番,λ鎖22番と別の場所に格納されている.
 免疫グロブリン産生のシグナルが入ると,重鎖,軽鎖は別々に転写されて蛋白質の合成が行われ,重鎖蛋白,軽鎖蛋白がそれぞれに小胞体に運ばれて合体して正常の免疫グロブリンが形成される.
 その際に,重鎖より軽鎖がやや多めに産生されるので余分な軽鎖は血中に放出され,それを遊離軽鎖(フリーライト®)と呼んでいる.

κ鎖の分子量は約2.5万であるが,λ鎖は重合しやすいために2倍の分子量があり,糸球体基底膜を通過しにくい.
→κ鎖よりλ鎖のほうがやや血中濃度が高い(κ鎖 3.3-19.4mg/dL,λ鎖 5.7-26.3mg/dL).κ/λ比も重要.

paraproteinの糸球体沈着症のうち,顆粒状沈着を示すものとしてMonoclonal Immunoglobulin DepositionDisease(MIDD)が知られており,そのなかで最も頻度の高いのがκもしくはλ鎖の一方だけが沈着しているLight Chain Deposition Disease(LCDD)である.約80%がκ鎖由来.

原疾患の65%は多発性骨髄腫であるが,骨髄中の形質細胞増加を認めず血清および尿免疫電気泳動ではM蛋白やBence Jones蛋白を認めない症例もある.

血液学的には治療を要する段階ではないと判断されるが腎疾患としては早期介入すべき状態であることから,骨髄腫の前段階とされるMGUSにおける腎障害の概念を中心にMonoclonal Gammopathy of Renal Significance(MGRS)という概念が定着してきている.

光学顕微鏡上,LCDD,重鎖沈着症(heavy chain deposition disease:HCDD),軽鎖重鎖沈着病(light & heavy chain deposition disease:LHCDD)には差がないので,まとめてmonoclonal Ig deposition disease(MIDD)と呼ばれるようになった。

AL型全身性アミロイドーシス

細線維構造物の沈着するアミロイドーシスと異なり,κ鎖が沈着している症例が優位であり,糸球体基底膜とともに尿細管基底膜への沈着が観察される.

治療は骨髄腫に準じた多剤併用化学療法が行われることが多いが,近年はBortezomibを中心とした治療の有用性が確立してきている.
なお,Bortezomibの保険適用は,多発性骨髄腫 or マントル細胞リンパ腫.

軽鎖沈着症 light chain deposition disease;LCDD

主として,形質細胞性腫瘍から産生される免疫グロブリン軽鎖が全身性に沈着することで,肝障害・腎障害を来たす.

LCDDでは,AL型アミロイドーシスとは対照的に,κ鎖がλ鎖に比べて圧倒的に頻度が高い(κ:λ=6:1).

腫瘍量の増加に先行して各種臓器障害を来たすことが多く,多発性骨髄腫の診断基準を満たさなくとも発症することがある点に注意.

腎障害はほぼ必発であり,腎機能が進行性に低下し,腎不全に至る.
その他の標的臓器としては,肝臓・肺・心臓などが知られており,肝不全・肺実質障害・心筋炎などを来たす.

κ鎖沈着症例ではメサンギウム基質の結節性領域への沈着が主体で,λ鎖沈着症例では糸球体基底膜や尿細管基底膜への沈着が主体となるとされている.

蛍光免疫染色により,軽鎖の糸球体係蹄壁,メサンギウム領域,尿細管基底膜,傍尿細管毛細血管基底膜,細動脈壁への沈着が認められる.

電子顕微鏡像では無構造or細顆粒状の高電子密度沈着物が糸球体基底膜のlamina densaから内皮下側にかけて見られ,メサンギウム基質にまで広がる.
・尿細管基底膜外側や細動脈内皮下領域まで沈着する.
・通常,細線維構造が見られないのが特徴.

予後は不良であり,約6割の症例で尿毒症or死亡に至ることが知られている.
一方で約半数の症例では,治療により腎機能の改善を認めており,治療による臓器障害の改善が期待される.

治療として確立されたものは存在しないが,背景疾患である形質細胞の異常増殖に対する治療が重要と考えられており,ボルテゾミブを用いた治療が推奨されている.

重鎖沈着症 heavy chain deposition disease;HCDD

軽鎖重鎖沈着症 light and heavy chain deposition disease;LHCDD

proliferative glomerulonephritis with monoclonal IgG deposits;PGNMID

モノクローナル免疫グロブリン沈着を伴う増殖性糸球体腎炎.

PGNMIDは特に血中にMGが検出されない頻度が高い.

腎病理

光学顕微鏡

糖尿病性糸球体硬化症類似の結節性硬化病変を特徴とする.

分葉形成が顕著であるが,メサンギウム細胞増殖は軽微で,メサンギウム基質増生もなく,沈着性疾患が考えやすい.

蛍光所見

軽鎖のみが糸球体係蹄~メサンギウム領域,尿細管基底膜から細動脈壁に陽性となる.

電子顕微鏡

沈着物は線維構造をとらず,粒状.

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