ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬 Mineralocorticoid receptor antagonist;MRA

医学ノート(なすび用)

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腎臓の遠位尿細管および接合集合管の基底側細胞膜を通って,細胞内に入り,ミネラルコルチコイド(アルドステロン)の受容体への結合を阻害し,皮質集合管でのNa+再吸収を阻害.

薬理

最大作用強度1~2%.

ミネラルコルチコイド受容体が活性化する経路は,レニン-アンジオテンシン-アルドステロンの系の最終産物であるアルドステロンが結合することで活性化するアルドステロン依存経路の他にも,肥満・高血糖・食塩過剰摂取などの非アルドステロン依存経路があることが判明している.

強い降圧効果

1)RAS阻害薬では抑制できない非アルドステロン依存経路も抑制することでより強い降圧効果を示す.
2)低レニン性高血圧に特に効果が期待でき,治療抵抗性高血圧に対する降圧薬としても有用.

肥満・メタボリック症候群などの病態では,低分子量G蛋白Rac1が腎内MRを活性化して血圧上昇・腎障害を惹起することが明らかにされている.

最近,アルドステロンが高血圧患者の減塩困難の一因である可能性が指摘されており,MR拮抗薬により味覚が改善する可能性がある.

心保護

アルドステロンは心血管系に障害作用を及ぼすため,アルドステロン拮抗薬は臓器保護効果がある.

心不全や心筋梗塞後において予後を改善するとのRCTが多く,高血圧を伴うこれら心疾患に適応となる.

腎保護

蛋白尿を減少させる効果が確認されている.

これまでのデータでは,MR拮抗薬追加はGFRの低下抑制作用は示されていない.

適応

心不全

心不全や心筋梗塞後において予後を改善するとのRCTが多く,高血圧を伴うこれら心疾患に適応となる.

NYHAⅡ度以上のHFrEF
推奨クラスⅠ・エビデンスレベルA
高血圧合併心不全
推奨クラスⅠ・エビデンスレベルA
糖尿病合併心不全
推奨クラスⅠ・エビデンスレベルA
CKD合併心不全
CKDステージG3に対し,推奨クラスⅠ・エビデンスレベルA

副作用

RA系阻害薬との併用や腎機能障害,心不全などで高K血症を生じることがあり,注意を要する.

MR選択性が低いスピロノラクトンは,男性の女性化乳房・陰萎,および月経痛などの副作用がある.

分類

ステロイド型MR拮抗薬(ステロイド誘導体)
スピロノラクトン
エプレレノン

新規非ステロイド型MR拮抗薬(低分子化合物)
エサキセレノン
フィネレノン(未承認)

MR:ミネラルコルチコイド受容体 GR:グルココルチコイド受容体 AR:アンドロゲン受容体 PR:プロゲステロン受容体

スピロノラクトン spironolactone

アルダクトンA®

25mg錠/50mg錠/10%細粒

適応疾患:高血圧症(本態性・腎性など),心性浮腫(うっ血性心不全),腎性浮腫,肝性浮腫,特発性浮腫,悪性腫瘍に伴う浮腫・腹水,栄養失調性浮腫,原発性アルドステロン症の診断・症状の改善

スピロノラクトンのみは尿細管分泌を受けず,血管側から皮質集合管に入り、アルドステロン受容体に作用する.

1)安価で,作用時間が長く,1日1回の投与でよい.
2)MRに対する親和性が高く強いMR拮抗作用がある.
3)アンドロゲン受容体拮抗作用やプロゲステロン受容体刺激作用のため,男性には女性化乳房・陰萎,閉経前女性では月経不順・月経痛などの性ホルモン関連副作用が多い.
4)糖尿病性腎症に対する制限はない.
5)K製剤との併用が可能(併用注意)

使用方法

50~100mg/日を分割投与(年齢・症状に応じて適宜増減)

エビデンス(慢性心不全)

RALES試験

重症の慢性心不全患者を対象
重篤な高K血症を増やすことなく,心不全患者の死亡率・入院頻度を減らす.
臨床試験の対象は平均65歳(n=1,663)で比較的合併症も少ない集団.

RALES_循環器トライアルデータベース

エプレレノン eplerenone

セララ® ファイザー

25mg錠/50mg錠/100mg錠

適応疾患:高血圧症,慢性心不全(RAS阻害薬・β遮断薬・利尿薬などの基礎治療を受けている患者)

MRに対する親和性が低く,MR拮抗作用は弱いが,MR選択性が高く,性ホルモン関連副作用は極めて少ない.選択的アルドステロンブロッカーとも呼ばれた.

1)投与量は血圧ではなく,血清Kに基づいて決定する.
2)蛋白尿を呈する糖尿病患者には投与禁忌とされる
3)降圧効果以外に臓器保護および代謝改善作用を有する.
4)男性の女性化乳房・陰萎,および月経痛などの副作用が少ない.

使用方法(慢性心不全)

1日1回25mg/dayから開始.
→血清K,患者の状態に応じて,4週間以降を目安に1日1回50mg/dayへ増量.

中等度の腎障害
25mg/2daysより開始,25mg/dayまで.

禁忌
1)成分に対し過敏症の既往歴がある患者.
2)高K血症(投与開始時にK 5.0mEq/L以上)
3)重度の腎機能障害(CCr 30mL/min未満)
4)重度の肝機能障害(Child-Pugh分類クラスC)
5)K保持性利尿薬を内服中
6)イトラコナゾール,リトナビル,ネルフィナビルを投与中

慎重投与
1)CCr 30~50mL/min未満
1日1回25mg/2daysより開始.
→血清K,患者の状態に応じて,4週間以降を目安に,1日1回25mg/dayへ増量する(最大25mg).
2)微量アルブミン尿または蛋白尿を伴う糖尿病患者
3)K製剤を投与中

血清K値による調整
K 5.0mEq/L未満→維持または増量
K 5.0~5.4mEq/L→維持(投与開始時に5mEq/Lを超えていれば禁忌)
K 5.5~5.9mEq/L→減量ないし中断
K 6.0mEq/L以上→中断
*中断後,K 5.0mEq/L未満になったら,25mg/2daysより再開.

使用方法(高血圧症)

1日1回50mg/dayから開始.
→効果不十分な場合は,1日1回100mg/dayへ増量できる.

禁忌
1)成分に対し過敏症の既往歴がある患者.
2)高K血症(投与開始時にK 5.0mEq/L以上)
3)重度の腎機能障害(CCr 30mL/min未満)
4)重度の肝機能障害(Child-Pugh分類クラスC)
5)K保持性利尿薬を内服中
6)イトラコナゾール,リトナビル,ネルフィナビルを投与中

*心不全と異なり,以下も禁忌!
1)クレアチニン・クリアランス 50mL/分未満
2)微量アルブミン尿 or 蛋白尿を伴う糖尿病患者
3)K製剤を投与中

血清K値による調整
K 5.0mEq/L未満→維持
K 5.0~5.4mEq/L→減量を考慮
K 5.5~5.9mEq/L→減量ないし中止
K 6.0mEq/L以上→直ちに中止

エビデンス(心不全)

EMPHASIS-HF(海外)

軽症収縮不全患者において,eplerenone群はプラセボ群より死亡および心不全による入院を低下した.

P:2,737例.55歳以上のNYHA心機能分類Ⅱ度,EF<35%,ACE阻害薬,ARBあるいは両薬剤併用,β遮断薬の推奨量または最大忍容量を投与している薬物治療例.追跡21ヵ月(早期終了).
E:eplerenone群(1,364例)
C:プラセボ群(1,373例)
O:eplerenone群はプラセボ群より死亡および心不全による入院を低下した.
心血管死+心不全による初回入院の複合エンドポイント(一次):eplerenone群249例(18.3%) vs プラセボ群356例(25.9%):RR 0.63(p<0.001)
全死亡(二次):171例(12.5%) vs 213例(15.5%):RR 0.76(p=0.008)
心不全による入院(二次):164例(12.0%) vs 253例(18.4%):RR 0.58(p<0.001)
*10人に1人は5.5mEq/Lを超える高カリウム血症が発生していた.

EPHESUS(海外)

至適治療にeplerenoneを加えると更なる予後改善効果がみられる.

P:6632例.AMI発症後3~14日の心不全(EF≦40%)が対象で,ACE阻害薬,アンジオテンシン受容体拮抗薬,利尿薬,β遮断薬などの標準治療を受けている.平均年齢64歳.16カ月追跡.
E:eplerenone群(3313例)
C:プラセボ群(3319例)
O:eplerenone群で合併症と死亡が低下した.
死亡:eplerenone群478例(14.4%)vsプラセボ群554例(16.7%)RR 0.85(p=0.008)
心血管死あるいは心血管イベントによる入院:eplerenone群885例(26.7%)vsプラセボ群993例(30.0%)RR 0.87(p=0.002)
*心臓突然死もeplerenone群で低下していた.

エサキセレノン esaxerenone

ミネブロ® 第一三共

1.25mg錠/2.5mg錠/5mg錠

適応疾患:高血圧症

1)ミネラルコルチコイド受容体への選択性が高い.
2)男性の女性化乳房・陰萎,および月経痛などの副作用が少ない.
3)エプレレノンと異なり,「高血圧症」の病名でCCr 30~60mL/分の症例,微量アルブミン尿または蛋白尿を伴う糖尿病患者に対しては慎重投与になっており,使用できる
4)RAS阻害薬に対し,追加ができる.
5)利尿作用は強くなく,脱水はあまり起きない?
6)K製剤との併用が禁忌

使用方法(高血圧症)

通常
1日1回2.5mgより開始
→効果不十分なら5mgまで増量

30≦eGFR<60mL/min/1.73㎡,微量アルブミン尿・蛋白尿を伴う糖尿病患者の場合
1日1回1.25mgより開始.
→4週間以降に2.5mg/dayまで増量.最大5mg/dayまで増量可.

開始後,2週間以内と約1ヵ月時点で血清K値を確認する.

禁忌
1)成分に対し過敏症の既往歴がある患者.
2)高K血症(投与開始時にK 5.0mEq/L以上)
3)重度の腎機能障害(CCr 30mL/min未満)
4)K保持性利尿薬,K製剤を内服中

血清K値による調整
K 5.0mEq/L未満→維持
K 5.0~5.4mEq/L→減量を考慮
K 5.5~5.9mEq/L→減量ないし中止
K 6.0mEq/L以上→直ちに中止

エビデンス

国内第Ⅲ相試験

本態性高血圧症に対するCa拮抗薬,RAS阻害薬に追加した場合
効果・安全性は検証すみ(エサキセレノン 5mg).
52週後に単剤で,SBP -23.7mmHg,DBP -12.3mmHg
52週後にCa拮抗薬併用,SBP -20.5mmHg,DBP -13.1mmHg
52週後にRAS阻害薬併用,SBP -23.0mmHg,DBP -12.6mmHg

アルブミン尿(UACR 30~1000mg/gCr)を有する2型糖尿病を合併した高血圧症(エサキセレノン 1.25~5mg)
12週後にSBP -13.7mmHg,DBP -6.2mmHg.
eGFRcreはほぼ変化なし,UACRの変化率は-35.3%

CKD(30≦eGFR<60mL/min/1.73㎡)を合併した高血圧症(エサキセレノン 1.25~5mg)
12週後にSBP -17.8mmHg,DBP -8.1mmHg.
eGFRcreはほぼ変化なし,UACRの変化率は-28.6%

原発性アルドステロン症を合併した高血圧症(エサキセレノン 5mg)
12週後にSBP -17.7mmHg,DBP -9.5mmHg

国内第Ⅲ相臨床試験(ESAX-HTN試験)

フィネレノン

ケレンディア®10mg錠/20mg錠 バイエル

2型糖尿病を合併する慢性腎臓病(末期腎不全・透析施行中の患者を除く)の適応.

医学ノート(なすび用)
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なすび院長

勤務医に疲れ,定期非常勤と投資でなんとかしのごうというひっそり医.
好きな分野は,糖尿病・腎臓病です!(゚∀゚)

ネット上で念願のなすびクリニックを作るも,今日も改装中で,いつ再開するのやら・・・
勉強好きで,私用に細々とまとめています.

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事務長:かえる

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