肥満細胞症 mastocytosis

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なすび医学ノート

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皮膚 or 他の組織・器官への肥満細胞浸潤を特徴とする疾患群.

皮膚肥満細胞症と全身性肥満細胞症に分けられる.

疫学

すべての病型で稀であり,正確な発症頻度は不明であるが,デンマークからの報告によると,罹患率は10万人あたり0.89とされている.

病態

腫瘍細胞の顆粒から放出されるヒスタミンやロイコトリエンなどに起因するものと,腫瘍細胞の浸潤に基づくものに分けることができる.

診断

トリプターゼ

診断に重要なトリプターゼは,肥満細胞の顆粒中に存在し,ヒト好塩基球には微量の存在しか認められないことにより肥満細胞の特異的なマーカーとされている.

測定は全身性肥満細胞症,アナフィラキシーにおいて有用とされるが,全身性肥満細胞症では特に著明な上昇を認める.

全身性肥満細胞症の診断基準(WHO分類2017)

大基準+小基準1つ以上 or 小基準3つ以上を満たす.

大基準
多病巣性で密集した肥満細胞浸潤を認める(骨髄など皮膚以外の生検標本で,15細胞以上の肥満細胞の集合)

小基準
①骨髄細胞スメア標本で肥満細胞の25%以上が異形成を示す.あるいは,臓器生検標本で紡錘形の肥満細胞浸潤を認める.
②骨髄など皮膚以外の病変部でKIT(コドン816),遺伝子変異を認める.
③骨髄・血液・皮膚以外の組織で肥満細胞がCD2,CD25を発現する.
④血清トリプターゼが20ng/mL以上に上昇する.

病型分類(WHO分類2017)

慢性全身性肥満細胞症
B所見:2項目まで
C所見:0
・最も多い病型で,臨床経過は慢性であるものの,重度のアナフィラキシーが出やすいことが特徴.

くすぶり型全身性肥満細胞症
B所見:2項目以上
C所見:0

進行性全身性肥満細胞症
C所見:1項目以上
骨髄スメア肥満細胞比率:20%まで

肥満細胞白血病
C所見:1項目以上
骨髄スメア肥満細胞比率:20%以上

造血器腫瘍を伴う全身性肥満細胞症

B所見
①組織学的に骨髄への肥満細胞浸潤≧30% and 血清トリプターゼ値>20ng/mL
②脂肪細胞減少を伴う骨髄過形成
③骨髄異形成症候群や骨髄増殖性腫瘍の診断基準を満たさない造血異常
④臓器腫大・臓器障害を伴わない肝脾腫触知やリンパ節腫大(CTやエコーで2cm以上)

C所見
①血球減少(絶対好中球数<1000/μL or Hb<10g/dL or 血小板<10万/μL)
②腹水や肝機能障害を伴う肝腫大
③脾機能亢進を伴う触知可能な脾腫
④低Alb血症や体重減少を伴う吸収不良
⑤病的骨折を伴う巨大骨融解
⑥臓器への肥満細胞浸潤が原因となる命に関わる臓器障害

治療

根本的な治療法はなく,肥満細胞メディエーター関連症状に対する薬物療法を行うことが基本.

第一選択は抗ヒスタミン薬であり,H1受容体拮抗薬とH2受容体拮抗薬を併用する.

再発性のアナフィラキシーを呈する症例では,最大用量での使用が推奨される.

消化器症状が強い症例では,クロモグリク酸ナトリウムを併用する.

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