マグネシウム magnesium;Mg

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なすび医学ノート

個人的なまとめノートで,医療情報を提供しているわけではありません.
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 体内ではカルシウム(Ca),ナトリウム,カリウムに次いで4番目に多い陽イオン.

生理

1)健常な成人では,体内の総Mgは約25g(Caの約1,000 gに比べると比較的少ない量).

2)99%は骨や筋肉などの細胞内に存在し,残りの約1%が細胞外液に存在.
・総Mgの60~65%は骨に蓄えられており,残りの約25~30%は筋肉の細胞内,10~15%は他の軟部組織に存在する.
・細胞内のMgの大部分は,蛋白質や核酸,細胞内器官などと結合もしくは複合体を形成した形で存在している.

3)細胞外液中に存在するMgは,体内の総Mgの1%程度であり,血液中ではさらに少なくなり総Mg の約0.3%.

Mgバランスは,主に腸管吸収と腎排泄により規定されるが,Mgの体内動態を調節してMgバランスを主要なホルモンは存在しない.
→骨からのMg動員が遅く,厳密なMg調整ホルモンがないため,低Mg血症は容易に生じる.

1)成人は食事から1日約260mgのMgを摂取し,小腸で主に吸収する.
・TRPM(transient receptor potential melastatin)6/7チャネルを介する経細胞輸送
・タイトジャンクションを介する傍細胞輸送
2)最終的に,体外には便と尿として約130mgずつ排泄する.
3)腎糸球体では,血清Mgの約70%が濾過される.
→その後,近位尿細管(20%),Henle上行脚(70%),遠位尿細管(5%)で各々再吸収される.

通常の状態では,血清Mg濃度は,1.7~2.4 mg/dLの範囲に調節されている.

1)血液中Mgの約60%はイオン化Mgであり,このイオン化Mgに生物学的活性が存在する.
2)約30%はアルブミンやグロブリンなどの蛋白と結合しており,残りの約10%は,重炭酸,リン酸やクエン酸などのような陰イオンと複合体を形成している.
→内イオン化Mgおよび複合体を形成しているMgは,腎臓で排泄され,また透析で除去される.

役割

 細胞内のイオン化Mgは,細胞内の総Mgの1~10%にすぎないが,このイオン化Mgが,エネルギーの産生や利用,蛋白質や核酸の合成,膜輸送といった細胞内において重要な働きを果たしている.

1)MgはATP/GTP(adenosine triphosphate/guanosine triphosphate)の補因子として600種類以上の酵素の活性に不可欠
→シグナル伝達・DNA(deoxyribonucleic acid)やタンパク質の合成・エネルギー代謝・膜安定化・細胞の概日リズム調節に重要

Mgと副甲状腺ホルモン

 CaはCa感知受容体を介してPTHの分泌を調節しているが,Mgのような陽イオンもCa感知受容体に作用する.
・Ca 感知受容体におけるMgの結合部位はCaと異なっているとされており,またCa感知受容体に対する作用も,Caに比較して2~3倍程度弱い.
・副甲状腺細胞を用いた実験において,中等度の低Ca状態では,MgはPTHの分泌を低下させたが,正常から高Ca状態では,Mg の効果は減弱もしくは消失したことが報告されており,MgによるPTH抑制作用は,Ca濃度が中程度低下している状態で,発揮されることが示唆されている.

Mgと骨代謝

 Mgは骨代謝において,重要な役割を果たしていると考えられている.
・Mg欠乏動物では,骨の成長障害,骨形成の低下,骨吸収の増加や骨量の減少がみられる.
・ヒト培養骨芽細胞において,培養液にMgを添加することにより,細胞増殖,アルカリフォスファターゼ(ALP)活性,オステオカルシン発現や石灰化が増加することが報告されている.

 骨のMg含有量は,全身のMg貯蔵量の良い指標と考えられている.

Mgと血管石灰化

 Mgは血管石灰化を抑制することが知られており,血管平滑筋細胞において,Mgは細胞内へのCa沈着,骨芽細胞様細胞への形質転換や細胞のアポトーシスを抑制したことや,細胞外におけるヒドロキシアパタイトの形成を抑制したことが報告されている.

 石灰化に関連する因子であるbone morphogenetic protein 2(BMP‒2)やrunt‒related gene 2(RUNX2),オステオカルシンやALP の発現を抑制し,同様に石灰化抑制因子であるオステオポンチンやマトリックスグラ蛋白質(MGP)の発現を増加させることが示されている.

心血管疾患,うっ血性心不全,不整脈や高血圧症といった疾患と関連していることはよく知られている.

1)合計約53万人を対象とした19の研究のメタ解析においても,Mg摂取量もしくは血清Mg濃度は,心血管疾患のリスクと負の関連を認めていた.
2)Mgと心血管疾患が関連する機序の1つとして,Mgは炎症と関連しており,炎症を抑制する方向に作用していることが考えられている.

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